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第5話・邂逅

間隔が空いてしまってすみません、どうぞご覧ください。

 リュートは3日後の編入試験を受けるため家族で王都に来ていた、キャスリーはリュートの頭に乗っている。


「うわー、ここが王都かー!!」


 カイトは初めて来る王都の賑やかな様子にはしゃいでいた。


「相変わらず賑やかだな。」


 リュートは5年前にランディと一緒に来ており、その時と変わらない様子に呟く。


「国王が有能だからな、だから国民にも活気がある。」


「……同じ王国でも偉い違いね。」


「何か言ったか?」


「何でもないわ。」


 キャスリーがリュートの頭の上で呟くが、リュートは聞いていなかったようだ。


「まずは宿に行って、荷物を置いてきましょう。」


「そうだな、行くぞ2人とも。」


 アメリアにランディが答え、4人は宿に向かって歩きだす。


「それにしても、やけにエルフが多くね? 前からだっけ。」


 リュートは5年前と比べて増えている耳の長い人種を見て言う。


「ああそれか、ここ最近人里にエルフが増えてるらしいぞ。」


リュートの問いにランディが答える。


「何でまた?」


「さあ、俺もそこまでは……」


「色々としがらみがあるのよ、結構めんどくさい種族だから」


 ランディがカイトにきかれるが知らないらしい、するとキャスリーが口を開いた。


「どういうこと?」


 カイトに聞かれたキャスリーが話す、その話によるとエルフは本来複数の部族で暮らす種族であり、それぞれの部族のしきたりを大事にするが、同じエルフでも部族によってしきたりや思想が違うという。


「んで、数ある部族の中には思想が過激だったりしきたりが過剰に厳しかったりする連中もいるのよ、その関係で部族同士争ってるパターンも少なくないの、そういった色々な部族のしがらみから逃れて人里に来るエルフがここ最近増えてんのよ。」


「でも、大丈夫なの? そんな厳しい部族から抜け出して、追われたりするんじゃない?」


 アメリアがキャスリーに問う。


「部族からうんと離れていれば大丈夫だそうよ? 基本的に頭の固い奴は縄張りから離れないし。」


「エルフって強くて美人揃いな種族だって聞いてたけど、色々大変なんだねー。」


「ま、それだけあって色々プライドも高い奴らだしね。」


 色々な話をしている内に宿に到着、それぞれ父母と兄弟で一部屋ずつ借りて荷物を置く。


「俺、王都見て周りたい!」


 荷物を置くと間髪いれずカイトは外に飛び出していく。


「あ、おい! カイト!」


 リュートは後を追って飛び出す。キャスリーもそれに付いていく


「ちょっと二人とも! もう……」


「ハハハ、落ち着きがない所は君に似たのかもな、俺も子供の頃は君に振り回されたもんだよ。」


「……」


 ランディの言葉にバツが悪そうな顔をするアメリア。


「まあ、カイトはあれでしっかりしてるし、この町は治安も良い、リュートも一緒なら大丈夫だろう。」



=====



「ったく、勝手に飛び出しやがって」


「まあまあ、元気なのは良いことだと思うわよ。」


 カイトを捕まえたリュート、カイトは頭にできた小さめのタンコブを押さえていた、キャスリーもリュートの足下にいる。


「イテテ……大丈夫だよ、道は覚えてるからさ。」


「そう言う問題じゃねーわ。」


「そんなことよりさ、早く色々見て回ろうよ!」


「待てっておい! ったく……」


「本当元気が良いわねー。」


 再び駆け出すカイトを追うリュートとキャスリー、その後、町の武器屋に服屋や魔法道具店等、色々な店を見て回り、その途中で買った焼きたてのパンを頬張っている。


「美味えなこのパン。」


「本当だねー……あ、チキンだ!」


 カイトがフライドチキンを売っている屋台に目を付け、駆け出そうとする、しかし、リュートはカイトの襟を掴んで止める。


「これ以上はやめとけ、母さんにどやされるぞ。」


「えー……」


 カイトが頬を膨らませていると、キャスリーの耳がピクリと動く。


「どうした? キャスリー。」


「何か騒がしいわね……それにこの音と声……」


 キャスリーは急に走りだす。


「あ、おい、キャスリー!?」


「どうしたのさ!」


 二人はキャスリーを追う、するとキャスリーが向かう先には、大勢の人が集まっていた。


「確かあそこは広場だったよな……」


「あ、キャスリーが人混みに入ったよ。」


 二人は人混みに入り、人を掻き分ける。人混みを抜けてキャスリーに追い付くとそこには、リュートと同い年ぐらいの一組の男女がいた、少年は銀髪青目、少女は緑の長いポニーテールに金色の目、そして手にはグレイブを持っている、状況からして闘いの最中だが、少年は無傷、少女はボロボロで片膝を着いており、明らかに一方的だった。


「ハアハア……クッ」


「おいおい、どーしたぁ? まさか偉そうに大見得きってこの程度じゃねーよなあ。」


 少年は笑いながらしゃがみ、少女と目線を合わせる。


「……舐めるなぁああ!!」


 少女は少年に対してグレイブを振るう、それに対して少年は防御の構えを取る。すると、少女はニヤリと笑いー


フォン


 少女の身体が一瞬淡い光に包まれると、一瞬で少年の背後に回った。


「一瞬で後ろに!?」


瞬間移動魔法(ワープ)か!」


 二人が少女の使った魔法に驚く、少女は不意を突くのに成功したと思い、笑みを浮かべていた。しかし……


「しまっ……なーんてな。」


 少年は一瞬焦ったような表情を浮かべたが、すぐにその表情が偽りだったことを告げる。 


「……なっ!?」


 突然少女の身体が空中で固まり、身動きが取れなくなる。そして、二人の周りで砂が集まり、複数の砲丸程の球体を作る。


「コメット・サンド、行け」


 少年の言葉と共に、砂の球体が一斉に少女に向かう、少女は身動きの取れないまま空中で滅多打ちにされ、吹き飛ばされる。


「ぅ……ぁ……ぁ……」


ドスッ


「ヴッ!」


 少女が仰向けに横たわったまま弱々しい声を上げていると、少年は少女の腹を踏みつける。


「ハハハ、よえーなぁ! やっぱ口先だけかぁ!」


「ひどい……」


「うわぁ、趣味悪……」


 少年の所業にカイトとキャスリーが声をもらす、リュートは少年を止めようと歩きだすが、側にいた大人の男性に肩を掴まれ止められる。


「やめた方がいい、君までやられるぞ。」


 リュートは男性を睨み付けるが、男性は続けて話す。


「知らないのか? あいつはティグリオ・ヴァルアルド、この街じゃ有名なならず者だよ、性格は最悪だけど実力は確かだ、この前も止めに入った男数人があいつ1人にやられてる。」


 リュートは肩を掴む男性の手を払いのける。


「だからってこのまま見て見ぬ振りなんて……!」


「もうすぐ騎士団が来る! だから今は……」


「もうやめて!」


 突然制止する声が響く、全員が目を向けると、声の主は青白いふわふわなツインテールの少女だった。


「お願い……もう、これ以上アリカを傷付けないで……私の事は……もういいから……」


 ツインテールの少女は涙声で近づきながら少年、ティグリオに願う。しかし、ポニーテールの少女、アリカはグレイブを強く握り締める。


「心配……いらないわ……キャロル……私はまだ……負けて……ない……」


「駄目だよ! これ以上はアリカが……」


「あんたに……あんなこと言ったこいつを……私は……絶対に……許さ……ない……!」


ガシッ


 アリカはグレイブをティグリオに突き刺そうとするが、ティグリオは片手でグレイブを掴み、止める。そして、ティグリオは止めに入ったツインテールの少女、キャロルにもう片方の掌を向ける。


「ッ!?」


 すると、キャロルの身体が淡い光に包まれ、身動きが取れなくなった。ただし、頭部だけは包まれていない。


「ま……待ちなさい! キャロルに何を……グゥ!」


 ティグリオはアリカを踏みつける足に一層力を入れる。


「別に、なーんか小綺麗な友情劇見せつけられてムカついたからよぉ、ちょいとアイツに痛い目にあってもらおうかなーって」


 そう言うとティグリオはキャロルに向けて炎の玉を展開する。


「すいませんが、止めに入ります、カイト、協力してくれ。」


「?」


 その時、リュートはカイトにこっそり耳打ちしていた。


「止めて! お願いだから……キャロルだけは……!」


「あ……ぁぁ……嫌……嫌……」


 アリカは涙目で懇願する、キャロルは恐怖で涙を流し、首を左右に振る。


「心配すんな、ちょっと面が滅茶苦茶になるぐらいの火傷負ってもらうだけだ。」


 キャロルに向けられた火の玉がさらに大きくなる。


「まあ、恨むんなら、でしゃばった自分を恨むんだ……な。」


 ティグリオが指をパチンと鳴らす、すると、火の玉はキャロルの頭部に向かって飛んでいった。


「駄目ぇーーーーーーー!!!」


「嫌ぁーーーーーーー!!!」


ボォン


 アリカとキャロルの必死の叫びもむなしく、火の玉はキャロルの頭部に命中、キャロルの頭部は炎に包まれた。 


「あ……ぁぁ……ぁ……」


 アリカの表情が絶望に包まれる、ティグリオはその表情を見て笑みを浮かべていた。


「許さない……あんただけは……絶対に……!」


 アリカはティグリオを睨み付ける、そしてティグリオはキャロルの頭部を包んでいた炎を消すが……キャロルの頭部は傷一つ無かった。


「えっ……」


「なに……」


 アリカとティグリオが驚く、キャロル自信も驚きの表情を浮かべていた。よく見るとキャロルはティグリオの物ではない別の魔力と魔法によるものと思われる冷気によって包まれており、それが炎からキャロルを守ったのだ。さらにその魔力によってキャロルの身動きを封じていたティグリオの魔力が弾かれる。


「……誰だ!! 余計な横槍を入れやがったのは!!」


 ティグリオは苛ついた表情で叫ぶ、それに答え、人混みから出てきたのはリュートだった。


「俺だよ。」


 ティグリオはリュートを睨みながら歩み寄る。すると、こっそりキャスリーと一緒に人混みに隠れて近づいていたカイトが魔法で身体を強化し、アリカを担いでキャロルに近づく。


「え? ちょ、ちょっと……」


「いいから離れるよ、お姉さんもほら」


「えっ……」


 カイトはアリカを担いだままキャロルの手を引いて人混みに混ざり、アリカを座らせる。


「傷がひどくて治るかはわかんないけど、一応治癒魔法かけるね。」


 カイトはアリカに治癒魔法をかける。


「あ、ありがとう……」


「でも、あの人は大丈夫なの?」


 キャロルがリュートを心配しているが、カイトは自信に満ちた表情だった。


「大丈夫、俺の兄ちゃん強いから。」


 カイトの視線の先ではリュートとティグリオが3m程の距離で対峙していた。


「なんの真似だ?」


 ティグリオはリュートを睨みながら問いかける。


「別に、ムカつくから邪魔した。」


 それに対してリュートは素っ気なく答える。


「…………」


「…………」


ザッ


 数秒の沈黙の後、先に動いたのはティグリオだった。地面を軽く蹴ると、一瞬でリュートの背後に周り、即頭部を狙って右回し蹴りを繰り出す。


サッ


「……!?」


 しかし、その回し蹴りは命中する事なく空を切る。


ドガッ


「ガァッ!!」


 すると、今度はリュートがティグリオに向かって後ろ回し蹴りを繰り出す、その蹴りはティグリオの顔面を的確に捕らえた。ティグリオは数m吹っ飛んでうつ伏せになる。


「すげぇ!」


「ティグリオに一撃入れたぞ!」


 ギャラリーがリュートに対して称賛の言葉を与える。


「すごい……」


「ね、強いでしょ。」


(いえ……浅いわね……)


 アリカが驚きの声を上げ、カイトが誇らしげに話すが、キャスリーはティグリオの様子からダメージが浅い事に気付いていた。


(とっさに自ら跳んでダメージを軽減したわね、それに障壁も使ってたわ……)


 ティグリオは起き上がり、自身の鼻を触る、すると、先程のリュートの蹴りで鼻血が出ていた。


「やってくれんじゃねぇか……コラァ!!」


「!!」


ガッ


 ティグリオは一瞬でリュートとの距離を詰め、右ストレートを繰り出す、それをリュートは左手でガードする。ティグリオは続けて左フックを繰り出し、リュートはそれをガード、ティグリオはそこからとてつもないラッシュを仕掛ける。


ドガガガガガ


「ウオオォラアアアァ!!」


(くっ……こいつ……)


 リュートはなんとかガードしていくが、ティグリオのラッシュの一撃一撃の重さに驚愕する。


バギッ


「ガッ!!」


 ついにティグリオの右フックがリュートの頭部にヒット、リュートはぐらついた。


ドゴッ


「ガフッ!!」


 さらにティグリオは前蹴りで追い討ちをかける、リュートは仰向けに倒れた。


「ああ!」


「兄ちゃん!!」


 キャロルとカイトが叫ぶ、しかし、リュートが直ぐに起き上がったので、三人は安堵の表情を浮かべた。


(こりゃあ……思ったよりきついかもな……)


 リュートは口を袖で拭い、対峙するティグリオに対して気を引き締める。


というわけで、ライバル登場回でした、次話は本格的にドンパチやります。

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