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第8話・夢

「ここは…どこだ?」


 リュートは気が付くと真っ白な空間にいた。あの後、暗くなったので家族は宿に戻り、キャスリーはいつの間にかどこかへ出て行ってしまったため、リュートは寝る事にしたのだった。


「あなたの夢の中です。」


 突然背後から声が聞こえたため、リュートは振り向いた。すると、そこにいたのは長い金髪の女性だった。


「私はアルフィナ、この世界の女神です。」


「女神!?」


 女性からの自己紹介に驚きの表情を浮かべるリュート。


「そうです、今、あなたの夢に干渉して語りかけているのです。」


「俺の夢に…」


「はい、先ほどの闘いもこっそり見てました。」


「ふーん、なるほどね」


「うひゃあ!!」


「キャスリー!?」


 いつの間にかリュートの足元にいたキャスリーに驚く二人。


「散歩から戻ってきてみたらあんたの意識に何かが干渉してるのを感じたのよね、何か面白そうだから私も混ぜて貰ったわ。」


「混ぜて貰ったって、全く猫妖精は自分勝手なんですから……」


 アルフィナは頭を抱えていた。


「で、女神様が俺に何の用で?」


「あ、そうでした。 実はあなたに伝お願いがあるのです。」


「お願い?」


「はい、他の転生者を止めて欲しいのです。」


「他の転生者を?」


「転生者? どういう事?」


 リュートが転生者である事を知らないキャスリーが首を傾げる、リュートはキャスリーに説明した。


「ふーん、あんたにそんな秘密があったのね。」


「正直、なんでこの世界に生まれ変わったのかは俺自身わかんねえんだけどさ。」


「それについては私がわかっています。」


 アルフィナの言葉に、リュートとキャスリーが目を向ける。


「あなたをこの世界に生まれ変わらせたのは、四星古龍(エンシェント・カルテット)の一角、灼王ドライグです。」


「四星古龍?」


 首を傾げるリュートだったが、キャスリーは驚きの表情を浮かべていた。アルフィナの説明によれば、頂点種族とされるドラゴンの中でも頂点に君臨する四体、その名は灼王(しゃくおう)ドライグ、氷君(ひょうくん)ウィーバ、嵐妃(らんひ)アルコー、地帝(ちてい)ガラジャというらしい。そしてキャスリーによれば、ちょっとした気まぐれで複数の国を滅ぼすような力を持つという。


「そんな奴らがなんで俺を?」


「それに関しては……その……」


 突然どもるアルフィナ、リュートとキャスリーは訝しげな表情であった。アルフィナの説明によると、アルフィナは力を付けすぎ四星古龍を封印するため挑んだが、四体の力は予想を遥かに超えていたという。


「それで……嵐妃一体に惨敗してしまった挙句、力の殆どを奪われてしまい……」


「情けないわね。」


 キャスリーの言葉がアルフィナの胸に突き刺さった様子だった。


「……そ、そして……私の力を奪い取った四体は、その力を使って暇潰しを始めまして……」


「暇潰し?」


 アルフィナの説明によれば、奪われた神の力を使えば、異世界に少しだけ干渉する事も出来るという。それでリュートの生前の世界に干渉し、適当にそれぞれ死者の魂をそれぞれ一人ずつ引きずり込み、竜族の力を与えて転生させたという。


「それで、誰の転生者が一番強くなるか勝負しようと……」


(……なんちゅーはた迷惑な奴らだ……)


「それで、他の転生者を止めてくれって、なぜ俺に……?」


「四人の転生者にまともな人が、貴方しかいないもので……」


 その言葉に、ハッと何かに気付いたリュート。


「ひょっとして、あいつも……」


「はい、先ほど貴方と闘ったティグリオ・ヴァルアルドもその一人、氷君ウィーバの転生者です。」


「それであんたと同じ力を持っていたのね。」


「まさか、他の転生者みんなあんな奴なのか?」


「……お世辞にも。善人とは言えません。」


「マジか……」


 頭を抱えるリュート。


「他の転生者達は竜の力で何をしでかすかわかりません……なので、貴方に他の転生者に対する抑止力になって欲しいのです。」


「成程な……」


 リュートは腕を組んで考える。


「……まあとりあえず……見て見ぬふりもなんだしな、目に付く限りは止めてやるよ。」


「ありがとうございます!!」


 勢いよくリュートの両手を握るアルフィナ。


「お、おう。」


 その時、突然アルフィナの身体が透け始めた。


「どうした!?」


「どうやら、今の力ではこれ以上の介入はできないようですね、あと、私の事は内密にお願いします、あの四体に存在を知られたら、今度こそ消滅させられてしまうかもしれませんので。」


 眩い光と共にアルフィナは消え去った。


「……?」


 そしてリュートは目を覚ました、窓から外を見るとまだ夜だった。


「なんか、面倒な事になったみたいね。」


 リュートの上で丸まって寝ていたキャスリーが起き上がる。


「ああ……他の転生者か……」


 リュートは自身の拳を見つめながら、ティグリオとの闘いを思い出していた。


(他の転生者も、あれ程の奴らなのか……)


 リュートは気を引き締めた様子の表情をしていた。

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