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『異世界の通貨が日本円!? スキル【100円ショップ】をもらった平凡大学生、100均グッズと弓の戦術で最強美少女たちと無双&経済支配!』  作者: 月神世一


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EP 4

ようこそポポロ村! 狂気の農業体験

T-ACEを村の入り口にある広場に停め、スライドドアを開けて外に出る。

そこには、見渡す限りの緑豊かな畑と、のどかな木造の家々が並ぶ、絵に描いたような平和な農村の風景が広がっていた。

「わぁ……空気がとっても美味しいです! 本当にのどかで素敵な村ですね」

サリーが両手を広げて、深呼吸をする。

「そうね。帝都(リトル東京)のネオンも悪くないけど、たまにはこういう静かな場所でゆっくりスローライフを送るのも……」

ライザが穏やかな笑みを浮かべた、その時だった。

「待てェェェッ! この野郎、今日こそ逃がさねぇぞォォォッ!!」

「「「えっ?」」」

突如、畑の奥から麦わら帽子を被った農家のおじさんが、クワを振り回しながら猛烈なダッシュで飛び出してきた。

そのおじさんが追いかけているのは――二本の足(根っこ)を器用に動かして、信じられないスピードで爆走する『オレンジ色の物体』。

「ギャァァァァァァァァッ!!」

「……に、人参が、悲鳴を上げて走ってるわよ!?」

ライザが目を剥いて絶叫した。

「あれが噂の『人参マンドラ』か! 引っこ抜くと悲鳴を上げて脱走を図るっていう……」

「タ、タロウさん、こっちに向かってきますぅっ!」

逃げ惑う人参マンドラが、僕たちの足元へ向かって猛スピードで突っ込んでくる。

僕は咄嗟にスキル『100円ショップ』を起動し、【虫取り網(伸縮タイプ)】と【防音イヤーマフ】を召喚した。

「ライザ、サリー、耳を塞げ! ……そォォォいっ!」

イヤーマフを装着した僕は、タイミングを見計らって虫取り網をフルスイング。見事、暴走する人参マンドラを網の中に捕獲することに成功した。

「ギャァァァ……キュッ」

網の中で暴れていた人参は、しばらくすると観念したのか、普通のただの人参へと戻った。

「ぜぇ、はぁ……あ、あんたたち、旅のお方かい? 助かったよ。あいつら足が速くてよぉ」

農家のおじさんが、肩で息をしながら近づいてきた。

「いえいえ。それにしても、すごい農業ですね。戦場より過酷じゃないですか?」

僕が苦笑いしながら人参を手渡すと、おじさんは豪快に笑った。

「ガッハッハ! ポポロ村の野菜は、どれもこれも元気が良すぎてなぁ! よかったら、あんたたちも収穫を手伝っていかねぇか? 報酬に、採れたての『ネタキャベツ』を分けてやるよ!」

「あ、やりますっ! 私、畑仕事なら得意ですから!」

サリーが目を輝かせて立候補した。

というわけで、僕たち(ストゼロを飲んで車で寝ているルチアナ以外)は、おじさんの畑で収穫の手伝いをすることになった。

まずは、丸々と太ったキャベツ畑だ。

「よし、この大きくて美味しそうなキャベツを……えいっ」

サリーが小さなナイフでキャベツの根元を切ろうとした、その瞬間。

『待って! 待って切らないで! 命だけは助けて! 代わりに村長の奥さんの不倫のスクープを教えるから! 実は相手は隣の鍛冶屋でね……!』

「ひぃぃぃっ!? きゃ、キャベツが喋りましたぁぁっ!! しかもドロドロの愛憎劇を……ッ!」

サリーがナイフを放り出して尻餅をついた。

「これが『ネタキャベツ』ね……。包丁を入れようとすると命乞いをしてくるって……」

ライザがドン引きしながらキャベツを見下ろす。

「面白いネタ(ゴシップ)を喋るキャベツほど、甘みが増して美味いらしいぞ。……よし、もっと他に面白いネタはないか?」

僕がナイフをチラつかせると、キャベツは『ひぃぃ! 実は村の入り口の地蔵の下に、村長のヘソクリが……!』と次々と暴露を始めた。

「よし、十分美味そうだな。スパッ」

暴露を聞き終えた後、僕は容赦なく根元を切り落とした。無慈悲なスローライフである。

その時、少し離れた大豆畑の方から、ルチアナの悲鳴が聞こえた。

「きゃあぁぁぁっ!? ちょっと、なによこれ!! アタシの芋ジャージのズボンが、勝手にズリ落ちて……ッ!!」

見ると、寝起きでフラフラ歩いてきたルチアナが、ズボンを足首まで下げた状態で(可愛いイチゴ柄のパンツ丸出しで)しゃがみ込んでいる。

「あー、お嬢ちゃん、悪いね。ちょうど『ダイズラ豆』の収穫期でよ。収穫の波動を浴びると、カツラがズレたりズボンが落ちたりするんだわ」

おじさんが申し訳なさそうに頭を掻く。

「なんなのよこの破廉恥な豆はぁぁっ!! 神への冒涜よぉぉっ!!」

ルチアナが顔を真っ赤にして涙目でズボンを引き上げている。ギャグ漫画か。

「……タロウ。あっちの土に埋まってるタマネギ、なんだかすごく……嫌な感じがするんだけど」

ライザが、畑の隅を指差して顔を引きつらせていた。

見ると、土から半分だけ顔を出したタマネギが。

『たまんねーなオイ! ゲヘヘ……このエルフの姉ちゃんのグラビア、最高だぜ……』

と、器用に葉っぱを使って、土に隠した『エロ本』を熟読しながら親父くさい笑い声を上げていた。

「出たな、最低の野菜『玉んねぎ(タマンネギ)』……。手で直接エロ本を没収すると精神的ダメージを受けるからな。ここは100均チートの出番だ」

僕はスキルで【マジックハンド】を召喚し、少し離れた場所からカシャッと玉んねぎのエロ本を掴み取った。

『ああっ!? 俺の生きがい(エロ本)がぁぁっ!!』

玉んねぎは一瞬発狂したように葉っぱを振り回したが、すぐに急激な虚無感に襲われたように動きを止め、スゥッと静かになった。

『……ふっ。所詮、この世の快楽など一時の幻。……我が身を食べたまえ』

(完全に賢者モードに入りやがった……)

「よし、これで辛味が抜けて、最高のオニオンスープの材料になるぞ」

僕は賢者モードのタマネギをスポッと引き抜き、カゴに放り込んだ。

「……はぁ。ポポロ村の農業って、魔神王と戦うより精神的に疲れるかもしれないわね」

ライザが、どっと疲れた顔で額の汗を拭う。

「ガッハッハ! あんたたち、なかなか見込みがあるじゃねぇか! どうだい、この村で本格的に畑でもやってみる気は……」

おじさんがそう言いかけた、その時だった。

「――おい。俺のシマ(畑)で、勝手に素人をスカウトしてんじゃねぇぞ」

畑の奥、巨大な太陽芋の葉の陰から、低い、しかし強烈な毒気を孕んだ声が響いた。

麦わら帽子を目深に被り、口には太い『ポポロシガー』を咥えた、人間サイズの『樹人オートマトン』。

エルフの森のバグであり、この村の守り神。

突然変異体『ネギオ』が、紫色の煙を吐き出しながら、ゆっくりと僕たちの前に姿を現した。

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