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第五十八章


 穏やかな朝がまた訪れていた。


 徐々に暑くなっていく季節、早い時間故の薄い太陽光にも、微かに激しさが乗っている。


 そんな朝日を受け、エンディミオン宮殿は、また眠りから目覚めていた。


「ダメですって」


 マリアが不思議そうな顔で、ルナに首を振る。


 彼女たちは勤めの為に、アイリス姫の寝所に訪れていたのだ。


 だが、その前に武器を持った兵士が立ち塞がり、


「申し訳ありませんが、今は立ち入りが出来ません」


 と、侍女の二人は礼儀正しく、しかし断固として阻まれた。


「しょうがないからファンニ様の所に行こう、ルナ。きっと何かお仕事があるわ」


 踊るような闊達な足取りで、マリアがエンディミオン宮の廊下を進んだ。


 ルナは、「そうね」と答えると、マリアに続く。


 ふと、何かを感じ振り返る。


 だがアイリス姫の寝所の扉は固く閉められ、左右に兵士が立っている。


「ルナー、早くー」


 マリアはもう随分遠くまで行っており、ルナを急かして手を振っている。


「マリア、待って」


 何やらの思考を断ちきり、ルナも早足になった。



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