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【コミカライズ進行中】スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす  作者: Gai


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千三百十二話 今更な話

「っ、あの気配は……」


アラッドたちが終幕の舞台へと到着する数分前、以前感じた気配と似たような気配を感じ取った。


「……アラッド、今のって」


「スティームも気付いたか」


アラッドだけではなく、スティームまで気付けたのは理由があった。


それは……二人が以前対面した強敵と似たような存在だったから。


「ねぇ、なんか激ヤバイ気配を感じるんだけど、二人は知ってるの?」


「知ってるとは言えないけど、多分……Aランクのドラゴンがいると思う」


「えっ!!!??? ってことは、Aランクドラゴンを従魔にしてる人がいるってこと?」


可能性がゼロではない。

自分たちの傍に、同じような立場の友人がいる。


今回の戦争を通し、アラッドと全ての面で同じく異質とは限らなくとも、同じぐらい常識外れな面、才を持つ者がいることを知った。


(轟炎竜と同等の存在感……いや、凶悪さは轟炎竜やデネブより上か?)


アラッドたちが存在感を感じる場所までかなりの距離はあるにもかかわらず、尋常ではない凶悪さがスティームたちに伝わってくる。


「…………クロ、向こうに行ってくれるか」


「っ……ガルルゥ」


「解ってる。他の戦場にいる人たちも向かってるだろうけど、だとしても……間違いなく、多くの死者が出る」


「……ルルルゥ」


クロとしても、アラッドの言いたいことは解る。


轟炎竜とはクロもアラッドと共に戦っており、Aランクドラゴンの強さは十分理解している。

この距離からでも感じられる凶悪さが、どれだけの強さを物語っているのか……解る。


ただ、クロとしてはやはり相棒であり、友人であるアラッドの身が一番大事だった。


「ありがとう。心配してくれるのは嬉しい。だから、約束する……俺は絶対に死なないと」


「……ガゥ」


相棒は、覚悟を決めている。

この状態のアラッドは考えを変えることはない。


それを理解し、クロは尋常ではない凶悪さを感じる場所へと走り出した。


「ふぅーーーー」


「約束しちゃったね~~、アラッド」


「……今更な話だ。実家の人たちにも約束してるんだ……破るわけないだろ」


「……アラッド」


「解っている。この先で終わらせられるとしても、油断出来ないことはな」


アラッドたちはアラッドたちで、そう遠くない場所から動かない気配を感じ取っていた。


当然……クロもその気配には気づいていた。

だからこそ、アラッドの頼みに対し、直ぐに同意しなかった。


(この先にいるのであれば……確実に、終わらせる)


それでも、アラッドは先にいる強敵に負けるつもりは……殺されるつもりは毛頭ない。


「…………」


友の表情を見て、スティームはほんの少し不安な気持ちを覚えた。


(……勿論、倒すことも重要なのは解ってる。でも…………少しだけでも、助けるという選択肢を頭に置いておこう)


スティームはアラッドが全てを出し切れば、負けるとは思えない。


だが、全てを出し切った結果、亡くなってしまう可能性はゼロではない。


(アラッドは自分の身を大事にしろって言うけど……僕にとっては、それも負けと同じだから)


アラッドからすれば、他国の戦争なのにパーティーメンバーだからといって参加してくれているスティームを死なせるわけにはいかない。


そんなアラッドの気持ちが解らないスティームではない。


それはそれとして、スティームとしても……戦争という場で亡くしたくなかった。


(……私も同じ気持ちです、スティーム。アラッド……あなたはこれからのアルバース王国の希望となり、象徴となる。あなたはそれを望まないと思いますが、それでも……あなたを、亡くすわけにはいかない)


アラッドを守りたいという気持ちは、フローレンスも同じだった。


唯一……ガルーレだけは二人ほどリーダーに関してあれこれ考えず、最終局面であろう戦場へ向け、闘志を高めていた。


(ぃよ~~~し!!!! 次で、全部を出し切る!!!!!!)


それが彼女をベストパフォーマンスへと導く精神状態。


同じくヴァジュラも最後の戦いへ向けて闘志を燃やしており、ファルも表情にこそ現れていないが、心の内で静かに炎を滾らせていた。


各々が最大限にまで闘志を高めた状態で……終幕の舞台へとたどり着いた。







「……あんた達が、ゴリディア帝国側の総大将と、その側近……護衛たちで合っているか?」


迫るアラッドたちの気配は把握しており、巨大なテントの前に多くの者たちが待ち構えていた。


その中には……魔力量は並ではないが、明らかに戦闘をすることはないだろう高貴な空気を身に纏う者がいた。


「君が、あの噂のアラッドか」


「初めまして、ゴリディア帝国の王族殿」


「ほぅ……私の事を知っているのか?」


アラッドたちを前にしても余裕を崩さない美形の男は楽しげに笑みを浮かべる。


「いいや。自国の王族と会ったことがあるため、貴族とはまた違う雰囲気から察しただけです」


「ふむ…………知らぬのも無理はないか。さて、無駄に血を流す前に一つ提案しよう。アラッドよ、ゴリディア帝国に来ないか」


計画を狂わせた原因、多くの強者を殲滅した敵を前にして勧誘。


その行動にスティームやガルーレは口が半開きになり、護衛者たちもなんとか呆れた表情を顔に出さないのに必死となっていた。

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