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スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす  作者: Gai


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千二百十二話 最善と奇跡

アッシュとシルフィーから、少々離れた場所で木竜がまだ闘志を消さず、寧ろ最後の灯だと言わんばかりに燃え上がらせるジャルディと戦っている。


ユニコーン親子には常にそれなりに強者たちが押し寄せている。

そして……リエラ、ラディア、ライホルトの三人に丁度新たな襲撃者が仕掛けた。


更に加えて、アッシュとシルフィーが……一人の冒険者を討伐し終え、おそらくポーションを取り出そうとした。


(貫くッ!!!!!!!)


男はするりぬるりと人波を掻い潜り、旋風を纏った槍を突き出した。


男は騎士の中では珍しく、武芸百般寄り。

そのため、接近して攻撃したいが、それはそれとしてギリギリ勘付かれない位置から攻撃したい。


それらの条件を満たすのに、槍という武器は非常にぴったりだった。


だが……次の瞬間、木の壁が現れた。


(っ!!!!!????? あの、爺さんかッ!!!!!)


結果として、男が放った突きはそれなりに質の高い槍に旋風が纏われており、咄嗟に展開した壁ということもあって、貫きはした。


ただ、男は壁の奥の光景を見ずとも、この突きに奇襲は失敗したと判断。


その判断は、最善中の最善と言えた。

木の壁奥ではシルフィーが自身の愛用している大剣ではなく、いざという時の為に兄であるアラッドが用意してくれた、元が火竜であるドラゴンゾンビの素材をメインに造られた大剣を取り出し、盾にしていた。


咄嗟の動きであったため、大剣は弾かれるも、刃こぼれなどは一切なく、しっかりと持ち主の身を守った。


「フッ!!!!!」


だが、最善の判断を取った男は奇襲が失敗した……だけで終わることはなく、即座に槍を手放し、後方に下がりながら携帯していた細剣を引き抜き、先程空けた穴目掛け……風刺を放った。


「っっっっっ…………ぁ」


結果だけ見ると、その風刺はシルフィーの心臓、喉、頭を貫くことはなかった。


即死させることには失敗。

ただ、シルフィーの思考ではなく本能が判断して全身に炎を纏わせたが、男が放った風刺は彼女の体を……貫いた。


確かに……確かに貫いた。

貫いた場所は、右肺。

呼吸に関わる場所であり、頑丈な肉体を持つ者たちであれば、体に小さなが空いたとしても根性で何とかするこちは不可能ではないが、肺に穴を空けられるとそうもいかない。


(不味いっ!!!)


(シルフィーっ!!!!!)


(不覚っっっ!!!!!!!)


(なんたる、醜態だッ!!!!!!!)


木竜たちは心中で状況が状況であったにせよ、シルフィーが決して無視出来ないダメージを負った現実に己を叱責。


直ぐに命を落とすことはない。

それでも……アッシュがポーションをシルフィーに使おうとすれば、その隙に男がアッシュを仕留める可能性がある。


「シル、フィ…………ッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


「なっ!!!!!!!???????」


あと一歩で、雷を纏ったロングソードを叩き込み、未来あるアルバース王国の有望な若手を仕留められそうだった。


標的はタッグメンバーが大ダメージを負ったからか、やや放心状態。

仕留めるには……絶好のチャンスであった。


それは、間違いなかった。

だが、あの一歩のところで仕留められるタイミングで……青年の雰囲気が一変。


(い、今のは)


絶好のチャンスであったにもかかわらず、男は退いた。

男は脳に自身が斬殺、滅殺される光景が思い浮かび、本能的に退いてしまった。


「ァァァアアアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!!!!!!!」


悲しみの叫びか……それとも、怒りの咆哮か。

どちらとも取れる声がアッシュの口から零れる。


どの場所でも叫び声が、怒声が、爆発音や風斬り音が響き渡っている。

そんな戦場の中であっても、青年が零した声は……多くの者の耳に入った。


(まずっ!!!!! あぁ……クソ。突いちゃ、いけねぇ……奴だった、か)


男が反応するよりも早くアッシュが動き……その首を斬り落とした。


あり得なかった。

どう考えても、あり得ない光景だった。


二人の身体スペックを詳細に数字にすることが出来れば、どれだけ不可能なのか良く解る。


確かにアッシュの戦闘センスはズバ抜けているが、それだけではどうしようもない強敵はいくらでも存在する。

意図的に身体能力のリミッターを解除しても、本来であればアッシュが男に敵う事はない。


奇跡が一つ……二つは起きなければひっくり返らない差が二人の間にはあった。


だが、その差をひっくり返す奇跡が、起きてしまった。


「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!!!!!!!!!」


彼を知る者が見れば、間違いなくアッシュらしくないと答える。


そういった戦いになれば、少なからず闘争心は湧き上がる。

それでも、勝つ為にそれを表に出すことはなく淡々と、冷静に事を進め……粛々と仕留める。


それが、アッシュという男。


しかし、今のアッシュは悲しみと怒りが混ざった雄叫び上げゴリディア帝国の戦闘者たちを斬って貫き、いとも簡単にその命を奪っていく。

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