聖女
「昨日夕方に聖女様が来ていたよ。帰ったと伝えたら、また来るってさ。」
朝から出勤すると聖女様が来ていたと教えらる。ありがとうと伝えいつもの日課に入る。皆ルイ様が聖女様だって知ってるんだ。知らなかったのは私だけ?本を片付け一息つく。今日はさすがにリュート様は来ないだろう。
「聖女様って可愛いよねー。聖女な上に可愛いし明るく人柄も良いって羨ましいわぁ。」
「本当に。羨ましい。」
「高位貴族たちが我先にと求婚しているらしいよー。」
「じゃきっとリュート様も…」
へ?魔術師団長?あの方がそんな訳ないじゃない!と笑っている同僚の声など、深く落ち込む私には微塵も聞こえていなかった。
「セシリア居る?聖女様が来ているけど。」
「ゴメン。今手が離せないから悪いんだけど、断ってもらってもいい?」
「オッケー。断っとくね。」
中で作業をしていた私に同僚が声をかけてくれ、断りよろしくと頼む。昨日も来てくれたのに悪いなと思ったけど、今は会いたくない…。モヤモヤが晴れたら謝ろう。
「じゃ今日も行ってきます。」
「いってらっしゃーい。ごゆっくり。」
配達へと今日も出かける。各所に寄り楽しく談笑しながら終わらせていく。あと数冊だな…と思いながら廊下を歩いていると、遠くに魔術師団の皆さんが見える。真ん中にひときわ目立つリュート様がいる。今日も素敵で見つめてしまう。
目が合った気がする?…あ、って思ったら、リュート様が穏やかに微笑み手を振ってくれる。極上の笑顔に眩しすぎて目が潰れそう。そんな事を1人思っていると、周りに居た令嬢達がざわつく。自分に対してだと皆主張していたので、さっさと退散する。はぁ…やはり皆に優しいのだろうな。
ただいまと図書館に戻り退勤までおとなしく仕事をする。疲れたなーっと思いながら家に帰ると、お父様から手紙が来ていて至急家に来るようにと書かれていた。珍しい。次の休みは…3日後だ。急には休めないしその時に帰るか。
ーーーーー
「セシリア様ー!」
朝から出勤した途端ルイ様が走ってくる。あ、昨日断ったんだった。また来てしまった。どうしよう。
「…ルイ様おはようございます。どうしました?」
「私何か気に障ることしましたか?!ごめんなさい!鈍感で気が利かないっていつも言われるんです。セシリア様には嫌われたくないです…」
「何もされてないですし、嫌ってないです。ただルイ様は聖女様なのですよね?高貴な方なので…」
ルイ様は悲しそうな顔をして、言わなくてごめんなさいって。セシリア様とは普通にお友達になりたくて…と俯いている。
「仕事に行かないとダメなので、ごめんなさい。」
私は言い訳をし逃げる。あんな可愛らしいルイ様に対して、リュート様と仲が良い事に嫉妬をして傷つけなんて最低だ。2人を応援するなんて今の私には出来ない。頭が痛い…心も痛いしツライ。私は何をしているのだろうか。
「セシリア大丈夫?!顔色悪いよ?」
「…え?そう?」
「今日はお休みにしたら?忙しくないしゆっくり休みなよ。」
皆が言ってくれ家に帰る。1人落ち込んでしまう。あ、実家に帰ろう。お父様も用事があるみたいだし、急ぎ支度をして自分へと向かう。
辻馬車に乗り込み1時間ほど進むと久しぶりの我が家に着いた。今の時期家族は王都に居るので会えるのだけど、休みは本に没頭していたためあまり帰っていなかった。
「ただいま。お父様は今居ますか?」
お嬢様が帰られた!と皆喜んでくれ、お父様は執務室に居るとの事で向かう。扉をノックしセシリアですと言うと、勢いよく扉が開いた。
「セシリア!!!」
え?何??私怒られるような事した?!入りなさいと言われ怯えながらソファーに腰をかける。向かい側にお父様も座り、紙を差し出される。何これ??
「心当たりはあるか?」
「はい?何ですかこれ?」
「…釣書だ。」
釣書…誰に?私に?お兄様?どういう事だろう。何故こんなのを見せられているのか全くわからない。
「はぁ?お兄様にですか?」
違う!セシリアにだ!と怒られる。心当たりなんかあるはずがない。理不尽過ぎる。
「リュート·フォン·バンフィールド様からだ!本当に心当たりないのか??」
リュート様?何故?




