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第三章 16 リズカード・オーウェン

 リズカードとフーロは、コントラ・ディアノメアス到達への準備を急ピッチで進めたが、それでも一週間程度かかってしまった。今回の作戦は「リズカード」以外の組織を巻き込むものなので、各種調整や最低限の調査に時間を取られてしまった形だ。


 ノイスにはミクシアン撲滅に反対するオルガンを組織してもらった。以前、内部告発を試みた時、情報が漏出してノイスが軟禁される騒ぎとなったので、今回は慎重に味方を選出し、秘密裏に資金と情報、装備の提供と、裏工作を依頼した。


「トルネ管轄以外のシステムはだいたい抑えてある。後は君がやりたいようにやれ。あ、だが一応、後でボットでも修復し易いようにしておいてくれると助かる」

「善処する」


 それから、今回の作戦はほとんど頭脳を使わない代わりに、人数が必要だった。

 適当に集めるなら互助を掲げるスワードを通すのが早いが、その裏にはトルネ・ライゴーがいるので頼ることはできない。


「あたしに考えがある。任せといて」


 その点はフーロに宛てがあるようで、任せることにした。

 そして、数々の調整を経て定まった決行当日──事務所の玄関に立ったリズカードは、壊れた小瓶を握りしめて呟く。


「エレカ……」


 結局、彼女は戻ってこなかった。けれども、死んでしまったわけでもない。エレカはまだ形式上、「リズカード」に雇われたままのため、何かあればミクシアの発する危険信号が雇い主のフーロのもとにも届くはずだった。

 彼女は生きている。その事実があるだけでリズカードはまだ希望を持つことができた。


「リズ様」


 連絡役として居残るフーロは緊張の面持ちで声をかけてくる。次の瞬間には死んでしまうのではないかというプレッシャーにやられて、この一週間で窶れたように見える。

 今日までよく耐えてくれた。その頑張りに報いるためにもリズカードは──今日、ネナと会って、中世から巡り巡ってきた因縁に決着をつける。


「ボス、行ってくる」

『よし! 出陣だ、賢迅公!』


 と、リズカードの頭に載ったスナウが吠えた。

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