EP81 女王の謁見と、新たな未来
里を襲った悪夢のような激闘から数日後。
回復したエルフの里の深奥、厳かな空気が漂う宮殿の大広間にて、カイエン、マキマ、そしてヒナの三人は正式に呼び出されていた。
玉座に腰掛けていたのは、銀髪を美しく纏ったエルフの女王。その凛とした佇まいは、長い年月を生きてきた者の圧倒的な威厳と慈愛を同時に感じさせる。
そして、その女王の背後には、懐刀として引き締まった表情のアイフェリスが静かに控えていた。
「よくぞ来てくれました、人間の子らよ。そして……我が里を救ってくれたことに、深く感謝します」
静寂の中、女王が口を開く。その声音は美しく、広間に響き渡った。
「今回の『忘れられた神』を用いた一連の襲撃事件……その黒幕は、我が国の政治を牛耳っていた『元老院』の者たちの仕業でした」
女王は真摯な瞳で三人の顔を見据え、はっきりと告げる。
「彼らが企てていた不当な侵略はここで終わりです。これより我が国は、人間側との『戦争はしない』。そして、互いの誇りと尊厳を尊重し、人間とエルフで『正式に国交を結ぶ』ことをここに宣言します」
それは、永きにわたる種族間の対立の歴史を塗り替える、歴史的な平和的宣言だった。
カイエンは一瞬眉をひそめ、冷静に問いかける。
「……なら、その首謀者である元老院の連中は今どこにいる?」
「……彼らは数日前、何者かによって密かに暗殺されました。評議会の会議室にて、帝国の者たちの仕業か……全員が討たれたと報告を受けています」
女王の言葉に、カイエンは小さく息を呑む。帝国側の仕業だと察したカイエンは、静かに目を伏せた。
「そうか……」
広間が静まり返ったその直後、女王はスッと玉座から立ち上がり、なんと自らの身体を折り曲げ、三人の前で深く頭を下げた。
「ともかく、今回の件は本当に助かりました。エルフの女王として、心からお礼を言います」
「なっ――! 女王様、頭を下げるのはご遠慮くださいっ!」
背後で控えていたアイフェリスが、慌てた様子で一歩前に踏み出し、女王を制止しようと声を上げる。
しかし、女王は静かに首を横に振って顔を上げ、アイフェリス、そしてカイエンたちを見据えて穏やかに微笑んだ。
「いいえ、アイフェリス。顔を上げなさい。これは必要なことです……。今回は、腐敗した元老院の暴走を私自身が未然に止められなかった私の責任。そして何より、危機の最中、私には彼らに頼るしかなかった……この不甲斐なさを、私は忘れてはならないのです」
その言葉には、為政者としての重い責任感と、里を守れなかった自責の念、そして救ってくれた者たちへの心からの敬意が込められていた。
張り詰めていた空気が、温かな信頼の色へと変わっていく。
こうして、血塗られた陰謀の幕が下り、人間とエルフの間に新たな平和の架け橋が築かれるのだった。
忘れられた神・・・疫病の使徒ですが、今後本物が出る予定です!また、後のエピソードで!
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