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不適合者のレギュレーター  作者: シャロン=ミ
使徒の残滓戦争編

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EP73 元老院の断末魔と、新たな闇の萌芽

地下最奥の崩壊跡から遠く離れた、王都の厳重な結界に守られた元老院の隠し執務室。

 クリスタルの魔導モニターに映し出されていた地下の映像が、ノイズと共にプツリと途切れた。

「ば、馬鹿な……! あの不死竜が、あの人間一匹に討ち取られただと……!?」

 元老院の最高幹部の一人が、青ざめた顔で高級な魔導椅子から転げ落ちるように立ち上がった。

 計画のすべてが狂い、地下での隠蔽工作も、エルフの騎士たちの覚醒によって完全に水泡に帰したのだ。モニターの前で老齢の議員たちが頭を抱え、絶望に満ちた声をあげる。

「なんてことだ……すべて、すべてがご破算だ……っ!」

「我々がどれだけの歳月をかけて、この計画を……!」

 彼らが企てていた裏のシナリオ――それは、使徒の転移エラーや謎の疫病を意図的に利用し、国中を混乱の渦に巻き込むことであった。

 その真の目的は、私腹を肥やすための醜い既得権益の維持にほかならない。

戦時体制を作り上げ、最高元老院へ強大な権力を一極集中させること。

終わらない軍需特需と、続く戦後復興の利権で莫大な富を得ること。

民衆の恐怖の矛先を他国に向けさせ、自らの失政や疫病の真相を完全に隠蔽すること。

そして、戦争の混乱に乗じて敵国の豊かな資源利権まで根こそぎ手に入れること。

 平和な外交など彼らにとっては邪魔でしかなかった。すべては、自らの権力と富を永遠にするためのマッチポンプの戦争計画だったのだ。それが今、アイフェリスの告発と女王への書状によって、すべて明るみに出ようとしている。

「おしまいだ……私たちの一族も、積み上げてきた財産も、すべて剥奪される……!」

 絶望に打ち震え、ただ怯えるだけの議員たちの中で、一人の男だけが不気味に歪んだ笑みを浮かべていた。

 中央に座る元老院の最高実力者――その老獪な男は、ガタガタと震える部下たちを一瞥し、冷酷に吐き捨てる。

「……何を情けない声を上げている。まだ、すべてが終わったわけではない」

「なっ……! 閣下、しかし王都にはすでに証拠が……!」

「ふん。綺麗事ばかり並べる女王や、あの生意気な小娘アイフェリスどもに、これ以上好き勝手はさせんよ」

 男はドス黒い魔力を帯びた指先で、手元の禁制品である「使徒の転移制御デバイス」を強く握りしめた。その瞳に、狂気に満ちた光が宿る。

「こうなれば……最後の手段だ。王都の中心部で、あの疫病を人為的に再爆発させる」

「っ……! まさか、王都の民を人質に……!?」

「そうだ。王都がパニックに陥れば、我々の罪など再び闇に葬られる。逆らう者はすべて異端として処断し、恐怖政治を敷けばいい。……行け、計画を最終段階へ移行しろ。ふふふ……ハハハハハッ!」

 地下の決戦が終わり、束の間の平和が訪れようとしているその裏で、元老院の残党によるさらなる卑劣で巨大な陰謀が、静かに、そして確実に動き出そうとしていた。

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!

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また次話でお会いしましょう!

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