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不適合者のレギュレーター  作者: シャロン=ミ
使徒の残滓戦争編

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EP70 霧が晴れる真実と、騎士たちの覚悟

 圧倒的なビームの余波が神殿跡を揺らし、砂煙がもうもうと立ち込める。

 その中で、信じられない光景が広がっていた。

「っ……うそだろ……」

 先ほどまで恐怖に怯え、あるいはカイエンたちを敵視していた元老院の騎士たちが、呆然と目を見開いている。

 彼らの最前線に立って酸の雨や衝撃を受け止め、身を挺して部下たちを守り抜いたのは――他でもない、彼らを束ねるはずの老練な「兵士長」だった。しかし、その背中はすでに広範囲の毒と酸によってボロボロに溶かされ、もはや立ち上がる力すら残されていない。

「兵士長が……俺たちを……守った……?」

「なぜだ……! あんたは、あの人間どもをここで討ち取れと……!」

 震える声で問いかける部下たちに、兵士長は苦悶の息を吐きながら、力なく首を横に振った。

 その時、崩れかけた瓦礫の陰から、アイフェリスが毅然とした足取りで歩み出てきた。その気高い瞳には、もはや迷いはない。

「わからないの……!? 貴方たち、まだ気づかないのかしら!」

 アイフェリスの凛とした声が、混乱する神殿跡に響き渡る。

「私たちが憎むべき相手は、人間などではないわ! この世界を狂わせ、古の竜をも冒涜して操る――『使徒』の仕業なのよ! この戦争の原因も、聖域が歪められたことも、すべてはあの使徒たちのバグが引き起こした災厄よ!」

 その言葉に、元老院の騎士たちの間に電流が走ったような激震が走る。

 これまで元老院が言い聞かせてきた「人間排斥」という大義名分。その裏で進んでいた保身と隠蔽、そして目の前で起きたこの異常な事態の真実。すべてのパズルのピースが繋がり、彼らの脳裏に掛かっていた深い霧がパァッと晴れていく。

「我々は……なんて愚かな……」

「保身のために、真実から目を背け、あろうことか本当の脅威を見誤っていたというのか……!」

 自分たちの無知と保身の罪深さを恥じ、騎士たちはガタガタと震えながらも、それぞれの武器を強く握りしめた。

 兵士長が命を懸けて守ってくれたこの現実と、アイフェリスの気高い叫びが、彼らの腐りかけていた誇りを呼び覚ましたのだ。

「全軍、聞け……!」

 先頭に立つ副官の騎士が、血を吐くような決意を込めて叫ぶ。

「我々は元老院の犬ではない! エルフの誇り高き守護者として、この聖地と……未来を繋ぐ者たちと共に戦う! 姫殿下の指揮に従え、魔力支援バッファを総員展開――ッ!!」

 アイフェリスが気高く掲げた王家長杖スタッフから、純白の聖域の光が神殿全体へと溢れ出す。

 それはかつての排他的な呪縛を完全に打ち破り、人間であるカイエンの魔力と共鳴する、奇跡の総力支援陣形だった。

「ふん……。やっと足手まといから、使い物になる駒になったか」

 膝をついていたカイエンがゆっくりと立ち上がり、魔剣の刃に映る不敵な笑みを深める。

 使徒のバグを纏うアンデッド・ドラゴンを前に、人間と、覚醒したエルフの騎士たちがひとつになって最後の決戦へと立ち上がるのだった。

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!

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また次話でお会いしましょう!

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