↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不適合者のレギュレーター  作者: シャロン=ミ
使徒の残滓戦争編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/145

EP64 暴かれる「解体」の秘密と、動き出す元老院

カイエンがアイフェリスの応急処置を終え、地下遺跡のさらに奥へ足を踏み出そうとしたその時だった。

「――そこにいたか、裏切り者の懐刀め!」

 突如として、背後の暗がりから厳めしい声が響き渡った。

 振り返ったカイエンとアイフェリスの視線の先――崩れかけた石壁の陰から、数人のエルフ元老院の直属騎士たちが姿を現した。彼らはアイフェリスを追跡してこの地下回廊へと潜り込んできたのだ。

 しかし、騎士たちの視線はアイフェリスよりもむしろ、その傍らに立つカイエンの姿へと釘付けになっていた。先ほどの戦闘で、カイエンが「解体」の力を解放した際に周囲に漂っていた微細なノイズや、空間の理が歪んだ痕跡が、未だに彼の足元に渦巻いていたからだ。

「なっ……なんだ、あれは……?」

「人間の肉体が、まるで砂のように……崩れて……消える……?」

 騎士のひとりが恐怖に顔を引きつらせ、武器を持つ手をわずかに震わせた。

 彼らが目撃したのは、単なる強力な魔術などではない。この世界の基礎プログラムそのものを書き換えて「破壊する」という、エルフの常識を完全に踏みにじった神の領域、あるいは悪魔の業だった。

「待て、違う……!」

 アイフェリスは咄嗟に身を翻し、元老院の騎士たちを制止するように声を張り上げた。

「この男の力は、聖域を蝕む疫病の正体を暴くための――」

「言いがかりだ!」

 騎士の隊長が恐怖を怒気でねじ伏せるように、アイフェリスの言葉を遮った。その瞳に宿るのは、理不尽な現実に対する拒絶と、得体の知れない異物に対する強烈な敵意だった。

「見ろ! あの人間こそが、我が聖域を内部から腐らせている真の呪いの元凶だ! 肉体の理すら冒涜するその姿こそ、人間どもが持ち込んだ『穢れ』そのものではないか!」

 騎士たちは一斉に鋭い矢や魔導の槍を構え、カイエンとアイフェリスを包囲するように踏み込んでくる。

 彼らにとって、目の前で起きた「解体」の目撃は、元老院が主張してきた「人間こそが悪の根源」という歪んだ正当性を裏付ける決定的な証拠になってしまったのだ。

「……面倒なところに見つかったな」

 カイエンは小さく舌打ちし、再び魔剣の柄に手をかけた。その瞳の奥で、静かに魔眼が怪しい光を放ち始める。

「カイエン、待って! 彼らはただ、恐怖から……!」

「恐怖だろうが何だろうが、俺たちを殺す気でいる連中に手加減する余裕はない。それに――」

 カイエンは視線を地下回廊の奥へと向ける。

 先ほどよりもさらに激しく地鳴りが響き、壁に刻まれた古の紋様が不気味な赤い光を点滅させ始めた。

「――あっちの『目覚め』が間に合っちまうぞ」

 エルフの騎士たちの目撃によって、「解体」の秘密が敵に知れ渡った。

 逃げ場のない地下の最奥部で、人間、エルフ、そして封印された竜が交錯する、最悪の最終局面が幕を開けようとしていた。

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!

「続きが気になる!」「面白かった!」と思っていただけましたら、

☆☆☆☆☆評価やブックマークで応援していただけると、とても励みになります!

皆さまの応援が、執筆を続ける大きな力になります。

また次話でお会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。