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灰の監視員(レギュレーター・アイ)  作者: シャロン=ミ


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EP5 再会という名の解体

塔の中層、かつての礼拝堂だった広場に二人が足を踏み入れると、ひんやりとした空気が肌を刺した。

ステンドグラスは砕け散り、そこから差し込む青白い光が、灰の舞う空間を照らしている。

そこに、一人の騎士が立っていた。

帝国の近衛兵の中でも、ひときわ優美な銀の鎧を纏った男。

「……ハイル、お兄様?」

ユウナの声が、震えながら広場に響いた。

騎士はユウナの呼びかけに応じるように振り返る。だが、その顔は既に鎧の一部と融合し、瞳はプログラムの光である鈍い赤に染まっていた。

「……標的、確認。侵入者ヲ排除スル」

ハイルの声は機械的で、かつての温かみは微塵も感じられない。彼は愛用の長剣を構えると、流れるような動作で一歩を踏み出した。その剣筋は、かつてユウナが憧れ、追い求めた美しい型そのものだった。

「待って! ハイルお兄様、私よ! ユウナよ!」

ユウナは短銃剣を向けたまま、足が動かない。

小柄な彼女の身体が、絶望に震えている。ハイルが踏み込んだ。その一撃は鋭く、ユウナの喉元を正確に狙っている。

「――ユウナ、退け!」

カイエンが間に割って入った。

彼の魔剣とハイルの長剣が激突し、火花が広場を焼き尽くす。

「目を覚ませ!この個体は、『ハイル』ではない。ただのデータをなぞる残響だ」

カイエンはハイルの攻撃を冷静にいなし、ユウナの盾になる。

「お兄様は、私の……私に剣を教えてくれた……!」

「だからどうした。その剣で殺されるのが、お前の望む『騎士の最後』か?」

カイエンはハイルの懐へと潜り込み、あえて一瞬だけ背中をがら空きにした。

「ユウナ、今だ。新調した短銃剣の照準を、あいつの右肩の駆動節へ叩き込め。一撃で機能を停止させる。……それが、かつての仲間にできる唯一の『慈悲』だ!」

ユウナは涙を拭い、唇を強く噛みしめた。

彼女は新しい短銃剣を構える。さっきカイエンが調整してくれた、完璧な重心と魔力循環を感じる。

「……ハイルお兄様。ごめんなさい……!」

彼女は叫び、トリガーを引いた。

調整されたスタビライザーが衝撃を完全に吸収し、魔導弾がハイルの右肩へ一直線に突き刺さる。

駆動節が火花を散らして爆発し、ハイルの動きが止まる。

その刹那、カイエンが魔剣を振るい、ハイルの鎧の結合部を正確に切り裂いた。

音もなく崩れ落ちる銀の鎧。

広場に静寂が戻り、ただ舞い落ちる灰の音だけが響く。

ユウナは膝から崩れ落ち、ハイルが持っていた剣の残骸に手を伸ばした。

彼女の頬を、一筋の灰混じりの涙が伝う。

「……整理終了クリアだ。二度と、あいつを盾にするな」

カイエンは背中を向けたまま、静かにそう言った。

その言葉は冷たかったが、ユウナには、それが彼なりの「弔い」であることを理解できた。

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いつも読んでいただきありがとうございます!この三連休は『灰の監視員』を一気に楽しんでいただきたく、連休限定の特別更新を行います。3日間、毎日20時と21時の2回、計6話を一気にお届けします! ぜひ連休のお供に楽しんでください!

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