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不適合者のレギュレーター  作者: シャロン=ミ
アクアマリン編

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EP32 光と影の交錯

神殿内に、金属が擦れる耳障りな音が乱舞する。

アズールの投げた真珠ナイフは、空間に漂う微細な真珠の粉末を反射板のように使い、ありえない角度で曲がって飛んでくる。それはまるで、光そのものが意思を持って襲いかかってくるかのようだった。

「チッ、軌道が読めん! ジル、粉末を散らせ!」

カイエンの叫びに応じ、ジルがボウガンの銃口を天井の粉末の塊に向けて放つ。爆風で粉末が吹き飛ぶが、アズールは冷ややかに笑い、さらに新しい粉を指先から弾いた。

「無駄ですよ。この聖域そのものが、私たちアズールの眷属なのですから」

その時、神殿の床が轟音と共に隆起した。カルネが召喚した巨大な肉塊の眷属が、ガザムの行く手を遮るように立ちはだかる。

「ガザム、避けろ!」

カイエンの声は届かない。ガザムは盾を掲げ、肉塊の突進を正面から受け止めた。

重戦車の激突のような衝撃音。ガザムは足元の石畳を砕きながらも、一歩も退かない。

「リリア様を惑わす偽りの司祭よ……! 我が盾の輝き、貴様らのような濁った光には屈せぬッ!」

ガザムの盾が眩い白光を放つ。その光は、アズールの屈折ナイフを強引に無効化する「光の壁」として機能し始めた。ナイフが光の壁に触れた瞬間、軌道を維持できずに石畳へと虚しく落ちる。

「……光を、塗り潰すのか? ならば!」

アズールが仮面の下で苛立ちを見せる。

アズールがさらに多くのナイフを空中に放り上げ、カルネがそのナイフ一個一個に眷属の触手を繋ぎ合わせる。それはまるで、空中に浮かぶ「無数の牙」だった。

「リリア様、さあ……私たちと一緒に、あの方の懐へ……」

カルネとアズールがリリアへ向かって同時に歩み寄る。

リリアは恐怖と、かつての恩師への情愛の狭間で、その場に崩れ落ちそうになっていた。

カイエンは魔剣の切っ先を下げ、冷徹なまでの静寂を身に纏う。

彼はアズールの「無数の牙」と、カルネの「召喚の陣」の重なりを瞬時に計算していた。

(……見えた。この二人は、リリアへの執着を深めるあまり、互いの死角を守ることを疎かにしている)

カイエンは剣を鞘に収めた。

それは降参ではない。最も速く、最も重い一撃を放つための、極限の溜めだ。

「整理の時間は終わりだ。……カルネ、アズール。お前たちの歪んだ愛は、ここでゴミ箱行きだ」

カイエンの身体から、黒いオーラが静かに、だが激しく溢れ出す。

戦場の空気が凍りついた。

お読みいただきありがとうございます! 作者のシャロンです。

いかがでしたでしょうか? ガザムのいぶし銀な防御が炸裂する一方で、双子の司祭による容赦ない追い込み、そして恐怖に震えるリリア……。絶望的な状況のなか、すべてを見据えて一歩も引かないカイエンの「納刀」という最高のカタルシスを用意させていただきました! 次回、カイエンの抜刀術が神殿を切り裂く――!

「ガザムさんの壁頼もしすぎる……」「ここで納刀モーション入るの王道すぎて鳥肌立った」「カイエンさんの『ゴミ箱行きだ』のセリフの切れ味よ」などなど、読者の皆様の熱い感想や考察をコメントで教えていただけると、作者のHPが全回復します!

もし今回の話で「面白かった」「続きが早く読みたい!」と思っていただけましたら、画面下の【星評価】や【ブックマーク登録】、【いいね】をポチッと押していただけると、今後の執筆の凄まじいモチベーションになります……! 何卒よろしくお願いいたします!

それではまた、次回の更新でお会いしましょう!

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