EP15 光の城主との決戦
「行くぞ。……二度と、計算を狂わせない」
カイエンが扉を蹴破ると、そこには星々を閉じ込めたようなドーム空間が広がっていた。中央に浮かぶ『光の城主・ソラリス』は、神々しい威容と無機質な殺気を放ち、四人を冷徹に見下ろしている。
「……私の領域に踏み入る非効率な存在。バグか、それとも不要な変数か」
ソラリスが右手を掲げると、その掌から無数の光の剣が召喚された。意思を持つかのように四人を執拗に追尾し、回廊を切り裂いていく。さらに、その隙間を縫うように放たれる光のレーザーが、ドラゴの回避先を先読みするように地面を焼いた。
「避けなさい! 直撃を受けたら蒸発しちゃうわよ!」
「パターンは掴んだ……! 光の剣とレーザーの連動、その合間に生じる一瞬の『ラグ』が隙だ!」
カイエンが鋭く見切る。ソラリスが広範囲の光の剣を放った瞬間、彼らは完璧な連携で懐へと飛び込んだ。今度こそ決まる――。
「いまだ、全員で叩き込め!」
ドラゴのレンチ、ユウナの短銃剣、そしてカイエンの魔剣が、ソラリスの装甲に吸い込まれるように放たれた。しかし、衝突の寸前、ソラリスは微動だにせず、全身から爆発的な「光の衝撃波」を放射した。
「――ッ!?」
凄まじい反発力に、四人は防壁を突き破られ、木の葉のように壁へと弾き飛ばされた。
「嘘……こんなの、近づくことすらできないなんて、できないの!? ……あんなに完璧なタイミングだったのに!」
ユウナが短銃剣を握りしめ、悔しさに唇を噛み締めて叫ぶ。防御不能の衝撃波。ソラリスの黄金の装甲は、物理的にも魔力的にも、一切の接近を拒絶していた。
「……くそっ、これじゃ『触れること』すらできないのかよ!」
ドラゴが立ち上がろうとするが、右腕の古傷が痛み、肩を震わせる。ソラリスは冷然と、再び無数の光の刃を頭上に展開した。神に近い存在の前で、四人のパーティはまさに絶体絶命の窮地に立たされていた。
「くっ……! まともに食らえば即死よ!」
アラが展開する防壁は、ソラリスが放つ執拗な光の剣によって悲鳴を上げていた。防御から回避へ、回避からまた防御へ。四人は祭壇の端へと追いやられ、反撃の糸口すら掴めないジリ貧の状態に追い込まれていく。
カイエンは必死に頭を回転させていた。
(ダメだ、装甲の強度が異常すぎる。衝撃波を無効化する手段が……!)
思考が加速し、一瞬だけ意識が過剰に研ぎ澄まされたその時だった。ソラリスが放った光の閃光が、回廊の白い壁に乱反射して四人の視界を焼き切る。
「――っ、目が見えない!」
ユウナの悲鳴が上がる。視界が真っ白に染まった直後、この塔の支配者であるソラリスが、初めて人間のような感情を露わにした。
「ハハハハ! 終焉の演算は完了した!」
ソラリスの高笑いと共に、天井のドームが砕け散り、天空から無数の蒼い雷が奔流となって降り注ぐ。
逃げ場はない。絶体絶命の光の雨が四人の頭上を覆い尽くしたその瞬間――。
「チッ、これくらいでくたばるかよ!」
ドラゴが咆哮し、炎に焼かれた右腕の痛みなど無視して四人の前に躍り出た。
彼は巨大なレンチと自身の肉体そのものを盾にし、降り注ぐ雷の奔流を一身に受け止める。
「ドラゴ、やめろッ!」
カイエンの絶叫も届かない。ドラゴの鎧が火花を散らしてひしゃげ、焼けるような皮膚の臭いが空間に満ちていく。彼は大地を抉るほどの衝撃に膝を折るまいと踏ん張り、守護神の猛攻をその身で完全に遮断した。
ドラゴの背中に守られた三人の前で、雷光が激しく明滅し続ける。ドラゴの命を削る壁が、いま、唯一の希望となっていた。
本日も『灰の監視員』をお読みいただき、ありがとうございます!
物理も魔力も受け付けない、圧倒的な神の力。四人が完璧な連携を披露してもなお、絶望的な壁として立ちはだかるソラリス。彼らの戦いが、ここからどのような「計算外の打開策」を見せるのか。
――物語は、いよいよ核心へ突入します。
本日は、まだまだ、大放出します!
絶体絶命の窮地に立たされた四人が、次の一手でどう状況を覆すのか……。
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ネクスト、決死の反撃をお待ちください!




