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不適合者のレギュレーター  作者: シャロン=ミ
王墓編

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EP101 絶零の審判

「一人の裏切り者だけで国は滅ばん!!」 ヴァルドは、その白い肌を紅潮させ、激情を露わにした。彼の声には、抑えきれない怒りと、王国を守れなかった自分自身への、深い絶望と後悔が込められていた。遺跡全体を凍てつかせるほどの冷気が、彼の感情の爆発を物語っていた。


カイエンとマキマは、そのあまりの冷気とヴァルドの気迫に、身動きを取ることができずにいた。この戦いは、もはや単なる力と力のぶつかり合いではない。互いの譲れない信念が激突する、アイフェリスとヴァルド、二人の一騎打ちだった。


アイフェリスは、ヴァルドの感情の揺らぎを、そのエルフの優れた魔力で敏感に感じ取っていた。感情の爆発に伴い、彼の鎧の隙間から漏れ出す魔力が、不規則に暴走している。 「――今です!」 アイフェリスは、自身が持つすべての魔力を一気に解放した。彼女の周囲に、翠色の魔法陣が幾重にも展開し、圧倒的な光を放つ。 彼女は、ヴァルドの隙を見逃さなかった。一対一の死闘の中で、彼女は連続して高位の魔法を詠唱し、怒涛の勢いでヴァルドへと叩き込んでいく。


翠色の魔力弾が、弾幕となって凍てついた広間を埋め尽くす。ヴァルドは魔剣フロストエッジを振るい、それを氷に変えて防ごうとするが、感情の乱れは彼の「完璧な計算」を狂わせていた。 防ぎきれなかったアイフェリスの魔法の一撃が、ヴァルドの胸元――かつて深く切り裂かれ、修復されたあの胸当ての傷跡を、正確に捉えて炸裂した。


ドォン! と激しい衝撃音が響き、ヴァルドの巨躯が大きく後退する。 アイフェリスの容赦なき魔法の猛攻が、ついに氷の軍師を壁際まで完全に追い詰めた。


ヴァルドは、壁に背を預けたまま、静かに目を閉じた。 「感情など……」 彼の口から、自嘲気味で、か細い声が漏れる。 「捨てたはずだった。」


その瞬間、ヴァルドの白銀の全身甲冑に、パキパキと乾いた音が響き渡り、無数のひびが入った。 ひび割れた鎧の隙間から、それまでとは比較にならないほど、おぞましい量の蒼白い冷気が激しく噴き出す。それは、彼が内に秘め続けてきた、抑えきれない悲しみと絶望が具現化したかのような、禍々しい輝きを放っていた。


彼の白髪は、冷気に包まれると同時に、瞬く間に完全な白銀へと変化する。そして、切れ長の青い瞳もまた、一切の光を通さない、氷のように透き通った水色へと変貌した。まるで、彼の肉体と精神が、完全に冷徹な氷そのものへと昇華したかのように。


ヴァルドが手にしていた魔剣フロストエッジもまた、その姿を変える。蒼い刀身は、巨大な氷の塊を纏い、まるで大剣のような威容を放つ氷剣へと変貌した。


ヴァルドが、ゆっくりと目を開く。その水色の瞳は、以前よりもさらに感情を失ったかのように冷たく、しかし、その奥には、深い悲しみが凍り付いているかのようだった。


広間全体が、突如として激しい吹雪に包まれた。吹き荒れる雪が視界を白く遮り、体感温度は極限まで低下する。 第二形態へと変貌を遂げたヴァルドの、本当の闘いが始まろうとしていた。


第二形態へと変貌を遂げたヴァルドが、巨大な氷剣を構える。その全身から放たれる絶対零度の冷気は、吹き荒れる猛吹雪となってアイフェリスの視界を白く染め上げた。 「……消え去るがいい」 感情を完全に削ぎ落とした、氷の底から響くような声。 ヴァルドが氷剣を一振りすると、猛烈な氷の嵐が牙を剥き、アイフェリスへと襲いかかった。


ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!

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また次話でお会いしましょう!

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