EP9 塔の心臓部・浮遊回廊
塔の心臓部へ繋がる巨大な扉が開かれた先には、重力を無視して浮かぶ無数の浮遊プラットフォームが、巨大な歯車のように連動して回る「動力回廊」が広がっていた。
足元は雲海。冷徹な風が吹き抜ける中、四人の影が降り立つ。
「ここから先は『塔』の防衛プログラムが過敏だ。個別の敵を相手にするより、システムそのものをハックして、最短ルートを構築する必要がある」
カイエンの言葉に、フードを目深に被った少女が短く応える。彼女の背に刻まれた魔力紋章が淡く発光し、宙に仮想の鍵盤を描き出した。
「了解。塔の演算基盤にアクセスを開始するわ。……けど、注意して。この階層、ただの警備兵じゃない。塔のエネルギーを直結させた『守護者』が潜んでる」
少女の警告の直後、回廊の奥から地響きが轟いた。
漆黒の装甲を纏った巨躯――『守護機兵アーケイン』が、駆動音を唸らせて姿を現す。
「おっと、デカいのがお出ましだ!」
大柄な白衣の男が、巨大なレンチ型のアームを腰から展開し、不敵に笑う。
「魂の共鳴は足元にある。俺がその『回路』を見抜いてやるから、カイエン、お前は切り裂け!」
「ユウナ、フードの護衛だ。敵の攻撃がこちらに向かないよう、引きつけておけ」
「任せて!」
ユウナは新調した短銃剣を抜き放ち、小柄な身体を弾ませてアーケインの懐へ飛び込む。
アーケインの巨大な腕がユウナを薙ぎ払おうとするが、彼女はそれを紙一重で回避。銃口から放たれる魔導弾の閃光が、回廊を照らす。
「レンチ、位置は!」
「3時の方向、第2階層の導管だ! 脆いぞ!」
「了解」
カイエンは魔剣を一閃させた。
計算された軌道が、アーケインを回避しながら一直線に壁の動力回路を貫く。
「今よ!」
魔法使いの少女が掲げた手から光の楔が放たれ、ゴーレムの動きを完全に封殺する。
その隙に、ユウナが新調した短銃剣の出力を最大まで高めた。
「これで終わりよ!」
炸裂する魔力の奔流。
ゴーレムの心臓部が砕け散り、巨大な巨躯が崩落していく。
静寂が戻った回廊で、四人は互いに視線を交わした。
帝国の残党、はぐれ魔導師、そして元監査員。
ちぐはぐなメンバーだが、その連携は驚くほどに「最適化」されていた。
「……ふん。上々だ」
カイエンは短くそう呟くと、崩れ落ちたゴーレムの残骸から、新たな『アクセス・クリスタル』を回収する。
「このペースでいくぞ。最上階の『主』を叩き、この狂った塔のプログラムを強制終了させる」
ユウナは満足げに短銃剣を収め、カイエンの隣に並んだ。
かつて自分を縛り付けていた帝国という呪縛は、今や遠い過去のものとなりつつある。
この四人となら、どこまでも行ける。
そんな確信を抱きながら、一行はさらなる塔の深部――浮遊回廊の先へと足を進めた。
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ミリタリーとハイファンタジーの融合、そしてキャラクターたちの戦いの行方を最後まで見届けていただけると嬉しいです。
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