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60 さぷらいず?

 いきなりタイトルが代わって驚いた方もいらっしゃいますか?

 安心してください。

 中身はあまりかわってません。

 すいません。改稿頑張ります。


では、60話目楽しんで頂けたら幸いです。

 幼馴染み二人と行ったフぃみョンらしき所は、いつものガラスの木の下のテーブルではなかった。

 服装も今日着てきた服だ、トレジャーハントの獲物が入った風呂敷も無い。

 もしかしてフぃみョとは別のVRかなと丞は期待する。


 丞は渋い艶消しの銀色の町を眺める。建物は明るめの銀色、道路は暗めの銀色。丸っこい車が浮いて走っている。たぶん日本のコンクリートにあたる素材が銀色なのかなと丞は思った。それ以外はけっこう日本の町と似ている。

 読めない字で書かれている看板が立体映像で人がすり抜けていたり、全体的にスペースの使い方が上手に感じられたり、二十年ぐらい先の未来って感じだ。

 全達と似たような服装の人が大勢歩いている。それ以外にロボットや鳥に似た人もいた。転がっていく岩と動く宙に浮く結晶が並んで動いていたりと人に見えない人もちらほら見える。


 よかった。見たこと無いVR空間なら驚けるかも。丞は胸を撫で下ろす。

「驚いて声も出ない?フぃみョンっていうの」

 九海がからかう様に言ってくる。

「ああ。うん。凄いね」

 丞の期待は裏切られた。ここはフぃみョンだ。

 短めにコメントする。あまり長く話すとフぃみョンを知っていることがばれそうだ。

 イタズラが成功したような様子で幼馴染みは楽しそうだ。

 そんな二人に水を差したくはない。


「あんまり驚いてないな。まあこの辺は色が違うだけで地球に似ているしな」

 いや、最初にフぃみョンにきたら先ず、寝た先に世界があることに驚くよ?後は、人に見えない人が人と自動認識される事とか。

 丞は全に心の中で突っ込む。

 全も九海もフぃみョンに来るのに慣れているようで、丞の反応がおかしい事に気づいていない。


「こっちにもワタシ達の家があるの」

 九海が先にたって歩き出す。

「ええっ。こっちにも家が?」

 丞が驚いてみせる。今のは上手かった。丞が心の中で自画自賛する。

「変なところで驚くんだな?」

 全が首をひねっている。不自然だったようだ。

 驚くタイミングも難しい。丞の苦労は続く。


『『丞様?なんで別の端末をお使いになってるんです?』』

 あちこち見ながら九海の後を歩く丞の頭の中に、シープの不思議そうな声が響く。

「シープ!」

 今度は自然に驚いて、思わず丞は口走る。

「シープ?なんだそれ」

 全が聞いてくる。

「シープ、羊、羊。ジンギスカン。ほらあれってジンギスカンぽくない?」

 丞はジンギスカン鍋のような形の立体映像看板を指差す。

「腹減ってるのか?あれは帽子屋だぞ」

「お兄ちゃん、丞はこっちの字読めないんだから」

「ああ。そういえばそうだな」

 九海のフォローで全も納得する。


「「いきなり話しかけないで。驚くでしょ」」

 丞はシープに心の中で話しかける。

『『思考通信の難しい問題です。電話みたいにベルを鳴らしても驚かれますし、驚かない音楽にすると気づかれないです。慣れてもらうしかないです』』

「「ああ。言われてみればそうだね。シープと話せるって事は、やっぱりここはフぃみョンで間違いないんだ」」

『『はい。そうです』』

「「いつもと違う服で荷物がないのは別の端末を使ってるから?」」

『『そうです。こちらのフぃみョンに同期すれば服を変えたり、荷物をそちらに出したり出来ます』』

「「便利だね。特にフぃみョンに来る場所が選べるのが便利そう」」

『『ですが場所ごとにフぃみョン本体か子機がいります。ポイントがたくさんいりますよ?』』

「なるほど」

「何がなるほどなの?」

 今度は九海が丞に聞く。

 シープと頭の中で話しながら、丞はついつい口で答えていた。

「ほら、交差点。信号機ないよね。凄いなって」

 丞は目についた交差点を誉める。

 元々人のいる高さより上を飛んでいた車が、交差点に差し掛かると高さを変えて衝突しないように進んでいく。

「ワタシ達の見慣れている物でも、丞には新鮮なのか。連れて来てよかった」

 九海が丞に笑顔を見せる。

「本当に凄いね。見た事ない物ばかりだ」

 丞も見た事の無い物が見れるのは嬉しい。

 見慣れた物や知っている事があることが問題だ。

 そしてシープと話しながら更に幼馴染みと会話するのは不可能だ。


「「シープ、こっちの様子わかる?」」

『『いえ、わかりません。私にわかったのは丞様が別の端末でこちらに来たことだけです。後は、丞様が知らせたいと思えば位置がわかるぐらいです』』

「「ならごめん。こっちの会話を優先したいんだ。質問のある時だけ聞いていい?」」

『『もちろん良いです。私は丞様のナビです。丞様の邪魔をせず質問に答えるのは当然です』』

「ありがとう。シープ」


「アリ?」

 全が聞いてくる。今度は最初しか聞き取れなかったようだ。

「そう。アリ。虫がいないなと思って」

 もう何度目だよ。心の中で泣きそうになりながら、丞はなんとか不自然にならない言葉を選び出す。

「説明してなかったな。実はここ、フルダイブVRなんだ。だから虫は森とか林とか、いないとおかしい所にしかいない」

「地球にいる宇宙人はフぃみョンって呼ぶの、詳しく説明すると・・・」

 全と九海が交互に説明してくれる。

 へぇ。凄い。本当に。マジで。ワンダフォー。

 丞は不自然にならないように必死になりながら、最初にシープに合った時に記憶に書き込まれた説明に相づちを打つ。

 シープの書き込んでくれた説明って口で説明されると長いなと思いながら、丞はなんとか説明を聞き終わった。


 説明が終わると、やっとフぃみョンで幼馴染みの住んでるマンションの入口前に着いた。

 フぃみョンで人の住んでる建物に入った事はない。これで少しは楽になれる。

 丞は上手くごまかせた事を天に感謝した。


「あれ?丞じゃない。こんにちは」

 マンションから出てきたイーシーンが丞に声をかける。トレジャーハントの時に会った体が石っぽいお姉さんだ。


「えっ?」「なんでこっちに丞を知っている人がいるんだ?」

 九海と全が驚く。

 丞は天を仰ぐ。なんで見放したと問いかける。

 丞の隠し事はあっさりバレてしまったようだ。

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