59 さぷらいず
前回の投稿で十万字を越えました。
初投稿の時は遠く高い壁でした。
近づくにつれ段々低くなっていき・・・
まさに継続は力なりですね。
書いた分、読みやすく、楽しいお話しになっていると良いのですが。
では、59話目楽しんで頂けたら幸いです。
「は?えっ。うちゅ?」
丞は驚いた。予想外過ぎて言葉が出ない。
「本当なんだ。もう俺たちも高校生だ。今まで秘密にしていたがもう限界だ。丞も怪しいと思っていただろう?隠していてすまない」
「ホントごめんね」
全と九海が丞に謝ってくる。丞には全く心当たりが無い。サプライズの続きだろうか?
「地球人も宇宙人の一種って話?」
丞が言うと二人に否定された。
「丞は優しいな。知っているクセに」
全に誉められた。僕は何を知っているのだろう?丞は訳がわからない。
「そういう丞の優しいとこが・・・」
九海が呟く聞き取りづらい独り言もわからない。
「えっ。本当に宇宙人なの?」
丞の脳裏にジョンさんやトレジャーハンターの面々が浮かぶ。
「ああ。俺達は地球生まれ、地球育ちの宇宙人なんだ」
全が丞の目を見て言う。嘘はついてないようだ。
「それって、地球人じゃないの?」
「分かりにくいか。すまない。親父の親父、じいさんが宇宙から来た宇宙人。俺達はその子孫なんだ」全が説明してくれる。
「宇宙人と地球人のクオーターって事?」
丞はなんとか話についていく。
「いや、母方のおばあちゃんは地球にいた宇宙人だからハーフ」
九海から新情報がきた。お祖母さんも宇宙人らしい。
「ハーフ」
丞は考える。
お祖父さんが宇宙から来ておばあさんが地球にいてそれぞれ地球人と結婚して生まれたハーフがまた結婚して・・・
「ハーフでいいのかな」
丞はやっと理解した。
「最近はハーフじゃなくでダブルって言うんだけどね」
九海が訂正してくる。また情報が増えた。
「ほら、この前UFOの話した時、乗り心地を聞いてきただろ。あの時にバレてるかもって気づいたんだ」
全が笑いながら言ってくる。
丞は軽い冗談を言っただけなんだが。
全の受け取り方は違ったようだ。
「まあ、丞も半信半疑ぐらいだったか?正直、俺達が丞に隠すのがいやになったんだ」
全がスッキリした表情で言ってくる。
丞は異世界会員にフィみョンを公開した時を思い浮かべる。
「わかるよ。バレそうな秘密を隠すって大変だよね」
さっさと喋りたくなる。誤魔化す方法が出てこない。丞は身に染みている。
「これで丞も仲間ね。ついて来て。我が家の秘密を見せてあげる」
九海が言って丞の手を引っ張る。
女の子の手って柔らかい。丞が久し振りに繋いだ女の子の手に感動していると、手を引っ張った九海が、なぜか部屋を出てすぐの壁の前で止まる。
丞の手を離した九海が壁に有名な埴輪のようなポーズで張り付く。最近は馬を引いていたと言われている埴輪だ。
そのままズブズブと壁の中に入って行ってしまった。
「うわっ。何?何で壁に?」
丞は九海が入って行った壁を、触ったり軽く叩いたりしてみる。コンコンと返って来る感触は普通の壁の感触で手品などでは無さそうだ。
「ポーズが入る鍵になってるんだ」
全が説明してくれる。
そのまま丞の腕を捕って埴輪ポーズの指導を始めた。
「いいかな。いってみてくれ」
全がOKを出したので丞は壁に向かって歩き出す。
「遅い。何してるの?」
待つのに飽きて出てきた九海と顔からぶつかりそうになる。
「キャッ!」
短い悲鳴を上げて九海が丞を突き飛ばす。
丞は何も悪いことをしていないのに、また九海に怒られた。
「やっと入れた」
あの後何回か壁に頭をぶつけた丞は疲れが滲む声で呟く。
壁を通り抜けた先は部屋全体でUFOの中ですと主調していた。
メタリック素材で出来ている壁と床。上下に半分ぐらい潰れた球体型の、基本四角く部屋を作る地球では、あまり見たことの無い形。
中心に腰の高さの手術台みたいな物がある。
丞は全体を見た後床や壁を触ってみる。
人肌ぐらいの温度の壁は繋ぎめがなく、滑らかだ。床も触ると滑らかだが、手を近づけると少し吸い付くような感覚がする。
トレジャーハントで行った宇宙ステーションの外壁っぽいと丞は思った。
「あの台に寝て」
全と二人で丞をニコニコしながら見ていた九海が楽しそうに言ってくる。
「えっ。嫌だよ」
丞は断る。あそこだけなんか不気味だ。
幼馴染みの二人を信頼しているが、実験された上に何か埋め込まれそうだ。
「大丈夫。安心しろ少しも痛くないぞ」
全が言ってくるが、少しも安心出来ない。宇宙人に拐われたという人も痛みはなかったと言っていた。
「何を埋め込む気?」
ジリジリと二人から距離をとって丞は聞いてみた。
「アッハッハ。びびってるのか」
全が笑い出す。
「もう、信用してよ」
九海はちょっと怒ってる。
「からかって悪かった。本当に寝るだけだ」全が謝ってくる。
「そうそう。何もしないから。台に乗って目をつぶるだけ」
九海が再度勧めてくる。
「寝たら拘束具とか飛び出さないよね?」
丞は渋々、手術台に寝る。
「大丈夫だって、信用しろ。後は目をつぶるだけだ」
全は丞の様子おかしくってしょうがないようだ。
「男でしょ。度胸を見せなさいよ」
九海にまた怒られる。
丞は覚悟を極めて目を閉じた。
息を飲む。
普通に暮らしていればあまり見ることの無い、驚きの光景が目の前に広がっていく。
物凄く見覚えのある白い空間に丞はいた。
「驚いたか?」「これからもっと驚くよ」
シープを探していた丞の前に、いつの間にか民俗衣装みたいな服になった幼馴染み二人が現れる。
どうしよう。なぜかこの先の展開がわかる。驚いた方がいいかな。
幼馴染みが思っているのと違う理由で驚いていた丞は、頭を抱えたくなった。




