24 異世界会会員のお試し=黒次 アカルイガワ
今回は明るいVRの話です。
グロいのも悲しいのもないです。
では24話目、楽しんで頂けたら幸いです。
『ではこちらはいかがでしょう。ダンジョンで楽しむゲームです。こちらは疑似体験なので、体が勝手に動きます。ご注意下さい』
「体が勝手にってオイ!」
シープが腕を振るって目を光らせると、黒次の体が消えていく。
黒次はダンジョンの入り口に立っていた。
このダンジョンの一階で、薬草を集めるのが目的だと思い出す。
勝手に足が動いて、ダンジョンに入って行く。
ダンジョン一階は草原になっていた。
エメラルドグリーンに光る草がくるぶしの高さに生えていて、どこからともなく吹く風に揺れている。
ミントのにおいがする。
黒次がいいところだと思っていると、体が歩きだした。
しばらく歩くと、草の中で何か光った。
足で草をかき分けると、葉が七色のタンポポのような草が生えてる。
手が勝手に触るとタンポポのような草が消えて1/5と表示が出る。
また体が勝手に動き出す。
薬草を二本見つけて表示が3/5になった。
黒次が自動で動く体で薬草を集めていると、デフォルメされた耳のないウサギかネズミみたいなモンスターが飛び出してきた。
明らかに立体映像で、仄かに全体が光っている。
マンガチックな顔は憎たらしく、攻撃する罪悪感を感じさせない。
ジャキンと音がして右手に剣があらわれた。
変身ヒーローのおもちゃのようだ。
ズシリとした重さが頼もしい。
黒次の体が勝手に攻撃するが当たらない。
下手なプレーヤーの体験のようだ。
モンスターに体当たりされるとぬいぐるみが当たったぐらいの衝撃を感じる。
視界の上に見える青いバーが減っていく。
黒次が俺にやらせりゃ一発なのにと思っていると、止まったモンスターが笛みたいに鳴いた。
同じモンスターが二匹現れた。
げ、増えやがったと黒次が思った瞬間、右手と左手が勝手に胸の前でクロスされる。
何か叫んで両手をつき出すとポン!と音がして立体映像の火の玉が飛び出した。
火の玉は追尾して一匹のモンスターに当たる。
ドン!と音がする。
モンスターがピカッと光って消え、綺麗な石が飛び出した。
キンキンと心地いい音をたてて、地面に当たると消えた。
回収する必要は無いらしい。
魔法あんならさっさと使え。
黒次は体験元のプレーヤーに突っ込む。
でも、体験元のプレーヤーはどうしても剣で倒したいらしい。
二匹のモンスターに剣を振り回す。
飛び込んで来たモンスターに、カウンターで剣があたる。
大袈裟な音が響く。
ダメージボーナスのある一撃だったようだ。
日常あるようでない、物を思い切り叩く感触が黒次に伝わる。
モンスターが派手に吹っ飛んで消えていく。
黒次の手に当たった快感が残る。
魔法じゃなくて武器にこだわる理由がわかった。
『そろそろやめないと約束の時間に間に合いません』
「もうイッパツ、イッパツだけ」
体験元のプレーヤーが馴れたのか次はすぐ敵に当たった。
『当たりましたね』
「倒すまで!」
その後、二回攻撃が当たってモンスターは消えた。
自分が倒した訳ではないが黒次の胸に達成感が残る。
気がつくと、また黒次はかっれふーとの店の前にいた。
列がなくなって店の扉に読めない模様が光っている。
「なんて書いてあんだ?」
『本日品切れだそうです』
「二時間で?」
『人気店のようです』
「地球人は食えないンだよな」
『食べても害はないですよ。それより、このままだと約束の時間に間に合いません』
「やべ」
黒次は待ち合わせの場所に向かって走りだした。
次は誰にするか考え中です。




