23 異世界会会員のお試し=黒次 クライガワ
今回のお話はグロい表現と、創造力豊かな方にダメージが入る表現があります。
苦手な方は最初の方だけ読んでください。
(ここからグロ注意です)といれてあります。
グロい表現があります。
苦手な方は飛ばして下さい。
黒次が剣と魔法の討伐ゲームを観戦して「グロ、ムリ。NPC可哀想」と思う話です。
「よし、行くぜ!シープ」
黒次は勢いよく駆け出した。
夢にまでみていたVRMMOの世界に来たのだ。夢だけど。
じっとしていられない。
色んな種族の人とすれ違う。
マンガや映画で見た事が有るような人。
色が違うだけで、地球人そのままの人。
和風の家、洋風の城。
建物かわからない塊。
スゲー、マジスゲー、超スゲー!
黒次は上がる気分に引かれるように走り続ける。
『どこに向かっていますか?』
走り続ける黒次に浮いてついていってるシープが、不思議そうに黒次にたずねる。
黒次は止まった。辺りを見る。
生きている植物を感じさせる建物に、四本足の虫のような人が行列している。
何か、甘さと塩からさを感じさせる刺激的な匂いがする。
「ここどこだ」
シープに聞く。
『かっれふーとの店前です』
シープが店の看板を確認する。
「かっれふーとって何だ?」
黒次は店を覗くが中が薄暗くてよく見えない。
『食べ物です』
「旨いのか?」
『地球人にはおすすめしません』
ふーんと頷いて黒次は少し冷静になった。
「剣と魔法って感じの、ゲームが見てーんだけど。みんなで大きいモンスターを倒すヤツ」
黒次は剣を振り回す真似をする。
『非実体モードで観戦できるゲームがあります』
「それで」
『わかりました』
シープが分裂したせいでいつもより小さい腕を振ると、黒次が消えていく。
(ここからグロ注意です)
気がつくと黒次は改造された羽根のないドラゴンのような物を見下ろしていた。
生き物にしか見えないが、ゲームの討伐対象とわかる。
電気がショートしたような匂いがする。
ふと討伐対象が頭を上げる。
何かに気づいたようすだ。
『始まりますよ』
シープの声がするといきなり飛んできた矢が討伐対象の目に刺さった。
グチャっと液体の詰まった物が潰れる音がする。
青色の液体のエフェクトが出て矢が消える。
ぽっかりと目があった穴だけ残っている。
生臭いにおいがする。
グロいと黒次は怯んだ。
勇壮な音楽が聞こえてくる。
隠れていたプレーヤーが出てきて、討伐対象を取り囲む。
プレーヤーは地球人に似ているが、角があったり目が多かったりしていて少し違う。
黒次はプレーヤーを見て前に見に行った武器展を思い出した。
そこで見た触っただけでケガしそうな武器が、生き物にしか見えない討伐対象に降り下ろされそうになってる。
黒次は武器が当たった時の事を考えてゾッとした。
後方のプレーヤーが何か唱えると、拳大の火の玉が表れた。
空気の焦げるにおいと、近づくだけで火傷しそうな熱さを感じる。
あれが当たれば、大惨事だ。
黒次はホットプレートの縁で火傷した時の水ぶくれを思い出した。
「グロい。何とかしてくれ」
『心理サポートをオンにします』
討伐対象の生物感が減る。
固そうなプラスチックと発泡スチロールと器械の固まりに見える。
武器もリアルさが減って、良くできた作り物に見える。
刃に触っても大丈夫そうだ。
火の玉も熱量が減って暖かいぐらいになってる。
においも感じない。
これなら大丈夫そうだ。
黒次はホッとした。
討伐対象が雄叫びをあげた。
プレーヤーも負けじと叫んで戦闘がはじまる。
プレーヤーたちは、見事な連携で討伐対象と闘う。
ほとんどプレーヤーに討伐対象の攻撃が当たらない。
武器や魔法が当たるたび赤や青のエフェクトが光って、討伐対象のプラスチックや発泡スチロールが削れて消えていく。
効果音もカンとかゾリッとか素材と当たった時の音だ。
討伐対象の器械部分が落ちるとピカピカ点滅しだした。
プレーヤーが急いで回収した。
多分ドロップ品だろう。
他のドロップ品を拾おうとしたプレーヤーが、討伐対象の尻尾に吹き飛ばされた。
軽く5メートルは飛んだ。
プレーヤーは何事もなかったように、立ち上がろうとして失敗した。
目の高さに変なエフェクトが回っている。
そこに討伐対象が突撃して、さらに吹き飛ばす。
プレーヤーは動かなくなった。
「死んだのか?」
黒次にはプレーヤー側は討伐対象と違って普通に見えている。
事故を目撃したような気分だ。
『戦闘不能で生きてます。観戦モードなので見えてませんが、体力ゲージがなくなってます』
「このゲーム痛みは感じるのか?」
『感じませんが触られた感覚と衝撃は感じます。怪我はしませんよ』
動かないプレーヤーに他のプレーヤーが近づくと、光る何かを振りかけた。
振りかけられたプレーヤーは、立ち上がって戦闘に復帰した。
戦闘も最終局面のようだ。
逃げようとしている、討伐対象の首に攻撃が集中する。
切り離された首が、ピカピカ光ってプレーヤーに回収される。
プレーヤーが討伐対象を解体する。
最後に全員で万歳をして闘いは終わった。
場面が代わってプレーヤーが小さな村に凱旋している。
若い、角の生えた女性がプレーヤーにお礼をいっている。
討伐対象は女性の夫を殺していてプレーヤーが仇をとったようだ。
「あの人は?」
『ゲームの登場人物です。CGみたいな者です。殺された夫は存在しません』
シープからそう教えられても、黒次には本物の人にしか見えない。
悲痛な泣き声が耳に刺さる。
最後はプレーヤーが讃えられて、村長に報酬を貰って終わった。
夫を殺された女性も、これからは前を向いて進めますと、プレーヤーにお礼を言ってスッキリした顔をしている。
気がつくと黒次はかっれふーとの店の前にいた。
店の入口に続く行列が延びてる。
人気店のようだ。
「アレはキツイわ。戦闘部分は面白そうだけどよ。もっと軽めのヤツ?頼むわ」
次は楽しいVRのお話です。
グロいのも悲しいのもないです。




