19 丞の癒し シープの歌
今回はこんなのあったらいいなと書きました。
それでは、19話目楽しんで頂けたら幸いです。
「電車の時間!」
月子さんが焦って叫んだ。
「急げば間に合う!」
白次も叫ぶ。
卯上三人の住んでる方面に行く本数は少ない。
一本逃すと、二時間待ちだ。
「ワリィ、片付けといてくれ!」
黒次が叫ぶと三人そろってあっという間に走って行った。
委員長も異世界会の件で、先生に呼ばれていたと行ってしまった。
「本当に、ごめんなさい」
虎城君と椅子を片付けながら丞は虎城君に言った。
「もういいよ。気にしないで」
何回も謝られるとこっちが困ると、虎城君が許してくれる。
「野球部に戻る事にするよ。部長に謝るのは嫌だけど」
虎城君が椅子を元の場所に戻す。
「お前は野球だけやってればいいって言われたんだ。そんな言い方ないよね」
椅子を片付け終わった虎城君が、人が少なくなって寂しくなった多目的ルームを眺める。
「ご両親はなんていってるの?」
最後の椅子を片付けながら丞は聞いた。
「両親にはまだ言ってなかったんだ。こうなってくると、よかったよ」
椅子が片付けられてがらんどうになった部屋を虎城君が確認する。
「フぃみョンやってみたかったな」
寂しそうに虎城君が呟いた。
「それなんだけど、なんとかできるかもしれない。上手くいかないかもしれないから、あまり期待しないで」
丞も部屋の窓の鍵を確認しながら控えめに言う。
「いや、期待するよ、するする」
ぱっと顔を明るくして、虎城君が丞に歩み寄る。
丞は困った顔をした。
上手くいかなくて、がっかりさせたくない。
「そんな顔するなよ、上手くいかなくても怒らないから」
虎城君が笑顔で丞の背中をバシバシ叩いてくる。
一緒に多目的ルームの鍵を返して、校門前で丞は虎城君と別れた。
寮に帰ってそのまま食堂に直行して、夕飯を食べる。
シャワーを浴びて歯を磨き、明日の準備をしてベッドに入る。
灯りを消して丞は目を閉じた。
『何時に起きますか』
白い空間でシープが聞いてくる。
「五時半」
弱々しく丞は答える。
『お疲れですね、記憶整理しますか』
「お願い」
シープが短い腕を振ると、社宅にある丞の部屋だ。
『では、ごゆるりと』
シープが滲むように消えていく。
「シープ、シープ?本当にいないよね?」
『なんです、部屋の中にはいませんよ』
「信用できない」
『仕方ないですね』
部屋の中にパッとにシープが現れた。
「ほらやっぱり」
『部屋にはいませんでしたよ』
「本当に?」
『わかりました、こうしましょう』
シープはドアを開けて出ていった。
『ひ~つ~じ が い~ぴき』
小さくシープの声が聞こえる。子守り歌っぽい。
丞はドアの鍵を締めて全裸になる。丞は裸族、寝るときは冬でも裸だ。
ベッドに入って目を閉じるとすぐに起きる。
「あ~よく寝た」
頭がスッキリしている。
『~ひっじ の しっつじ は いい しつじ~』
シープの歌はノリノリだ。
丞は服を着て、鍵を開ける。
「シープもういいよ」
『今、いいとこです』
「いや、そうじゃないよね?」
『そうでした、元気になってよかったです』
ドアからシープが入ってくる。
「じゃあ、いこうか」
『わかりました』
シープが腕を振ると、波紋が広がる。
丞はフぃみョン内の昨日のテーブルの前にいた。
「ジョンさんに連絡してみよう」
丞はテーブルセットの椅子に座る。
『連絡します』
シープが浮かんだ状態で何かを探すように回り出す。
「「タスク コニチワ ドウシマシタ?」」
シープの回転が止まるのと同時に丞の頭の中でジョンさんの声が聞こえる。
「ちょっと相談したいんですが」
丞は普通に声を出してジョンさんに話しかける。
「「イソギ マスカ?ヒジョウ ジタイ?」」
「そこまで、ではないです」
「「ワカタ タスク ノ トコマデ チョト カカル マテテ」」
丞はしばらくテーブルにうつる、木の影をみていた。色違いの鮮やかな葉が透けた影は、見ていて飽きない。
風が心地良い。
シープは浮かぶのをやめて、丞の向かいに椅子に座っている。
目を閉じてハナ提灯を出している。スリープモードだ。
待っていると、普通に向こうから、ジョンさんが歩いてきた。
ジョンさんがチョットしか出ませんでした。
次回はたっぷり出ます。




