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18 土下座に心をこめて

 謝罪の緊張から変なギャグに走った丞。

 今回はまじめに謝ります。


 それでは、18話目、楽しんで頂けたら幸いです。

「なんだって?」

「ドラゴン!」

「ドラゴン?」

「マジなのか?」

 会員が口々に聞いてくる。


「嘘だよ、信じてくれ」

 迫真の演技で、丞は言った。

 真剣な表情はとても嘘をついているように見えない。


「マジかよ。こんな近くに」

 黒次がとても信じられない様子で言った。

 クスクス。ふふっ。ぷっ。

「飯堂寺君、嘘って言ったわよ」

 委員長がネタバレする。

「え、あ。このやろう!」

 からかわれた事に気づいた黒次が大きな声を上げる。


「冗談、冗談これからが本当」

 丞は壁ぎわに片付けられていたパイプ椅子を丸く並べた。

「みんな座って」

「その前に、野球部の件で、話があるっていってたよね」

 虎城君が聞いてくる。

 嫌な事は早く済ませたそうだ。


「話すより、見てもらった方が早いんだ。さ、座って座って」

 令和異世界会員がなんだなんだと、とりあえず椅子に座った。

「みんな深く座って、手をつないで目を閉じて」

「なんの儀式だ」

 さっき、丞の冗談に一人だけ引っかかった黒次が、今度はだまされないと睨んでくる。


「今度騙しやがったらただじゃ、おかないからな」

「まあまあやって見ようよ、面白そうだし」

 白次になだめられて、やっと黒次が目を閉じる。

 全員目を閉じた事を確認して、丞も目を閉じた。

「なんもおきねーじゃねーか!」

「何か呪文がいるの?」

 白次が聞いてくる。

「ああ、僕が唱えるから、合いの手で、はいって言って」

「おた・めしフぃ・みョンさん・かに・ど・ういしま・すか」

 丞は呪文を唱えた。

「ミョンさん?」

「かに?」

「合いの手は、はいだよ」

「おた・めしフぃ・みョンさん・かに・ど・ういしま・すか」

「「「「「ハイ」」」」」

三回ぐらい繰り返す。

「また、だましっ」

「いや、ちょっと待て」

「え」

「何あれ」


 普段入る気になれば、一瞬で入れる白い空間が、丞の周りにじわじわと広がっていく。

 丞以外フぃみョンをインストールされていないので時間がかかる。


 異世界会員全員が白い空間にいた。

「ここは」

「どうなってやがる」

「飯堂寺君がやったの」

「どんな仕組みなのかしら」

「真っ白」

 会員が丞を質問責めにしようとしたとき、空が光り荘厳な音が響いてくる。

 丞以外の全員が、光りを見上げる。

 光りが消え、音がやむ。

 何も、起きない。


「『この度は、ご迷惑をかけて申し訳ありませんでした』」

 丞とシープが土下座していた。

 丞とシープは顔を上げずに、今までの事を、説明した。

 ここがフぃふョにーニゃる・みョ・オンらインと呼ばれる、仮想現実世界の初期設定用空間である事。

 前回は居眠りした丞が、同じように居眠りした十人を巻き込んだ事。

 ごまかそうと考えて、すぐに話さなかった事。

「『本当に、申し訳ありませんでした』」

 会員が言われた内容を理解しようとしていると虎城君が、口を開いた。

「顔を上げてくれ、飯堂寺君」

「虎城君には、本当に迷惑をかけて申し訳ない」

 丞は怖くて顔を上げられない。

「僕、野球から逃げてたんだよ」

 虎城君は今回の件について話始めた。

 野球ファンの両親の元で、小さい頃から野球しかしていなかった事。

 他の人より早く始めているだけで、自分はそんなに凄くないと思っていた事。

 中学の最後の試合で、渾身の球を打たれて自信がなくなった事。

 野球が強い高校に入ったが、これでいいのか悩んでいた事。

 前回巻き込まれて、異世界会の会員と話して楽しかった事。

 野球以外の事を始めようとして、野球部の主将に掛け持ちの事を言ったら怒られた事。

 売り言葉に買い言葉で、辞めるといってしまった事。

 大事になって困った事。

「だから、飯堂寺君のせいじゃないんだ」

「自分が悪かったんだ」といって虎城君は丞の肩を叩いた。

「私達も怒ってないですわ、楽しそうですし」と委員長。

「そうだよ、早くフぃふョにーニゃる?について説明してくれ」

 待ちきれないという様子で、卯上の三人が言ってくる。

 丞が土下座から立ち上がって説明を開始する。

「フぃふョにーニゃるは銀河維持活動の思想、方法、唯一、常に変わる、平均的な最高です」

 丞は言いながら激しくウインクして踊りだした。


「な、なんだいきなり」

「どうしたの?」

『誤作動です』

 シープが言って丞の踊りを止める。

「ああ、そうだった。シープ説明お願い」

 丞はシープが最初にしてくれたフぃふョにーニゃるの説明を思い出して口での説明を諦めた。

『わかりました』

 異世界会員の注目を集めたシープの目が光った。

『質問はございますか?』

「」

 会員全員が口を開きかけて、閉じるを繰り返す。

 しばらくたってシープが言った。

『下校時間になります。後は明日にしましょう』

 次回は、頼りになるあの人が出ます。

 おたのしみに。

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