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GHOST Tracking  作者: Anzsake
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十二 夜襲


暗い。曇り空のせいで星もよく見えない。基地内の赤いランプが回転して、目の隅に浮かんで消える。


[不潔相手だ。気を付けろよ]


アルトさんの声がインカムに入る。返事の後、その上から被さるように、全天スピーカーからブースター音が入る。008。047。215。3基が出撃する。


[トゥエルブは何か言わないのか?]


144が茶化すように言う。


「無いよ」


[いつも通りだね〜]


270が欠伸をする。ドリンクを手に取りチビりと飲んで、特に合図もなく出撃する144。270もそれに続く。


少量のブーストの後、1度跳ねて空を飛ぶ。夜空の雲の底、薄桃色の眼光が見える。


「上手く見えないね。不潔の可能性は?」


[偵察隊が観測した動きがそれだった。不潔だと思って動け]


分からない時は不潔だと思え。はアルトさんの基本だ。そもそも視界の悪い夜に飛んでるオートノミアが珍しい。夜襲が有効だとどこで覚えるのだろうか。


[久しぶりの共闘だな。012]


215の声が入る。アルトさんと組むのは不潔レベルの作戦の時だけだ。


「はい。よろしくお願いします」


[先陣は任せてもいいのかな?]


「はい。大丈夫です」


ブースト速度を上げる。先に1度アルトさん達が着地しようとした所に、薄桃色の光が急降下した。着地狩りを狙うオートノミアに、144と270が射撃で妨害に入る。僕は速度を上げて真っ直ぐ不潔に向かう。


こちらに気付いたオートノミアが、横に角度を変えながら上昇しつつ火花を鳴らす。オートノミアから見て横に動いていたので、弾は当たらない。


夜間では銃口が上手く見えない。動いたという漠然とした情報と、昼より勘に頼る必要がある。


アルトさん達が上昇する。それを見て144と270が着地する。僕も一足先に上昇する。


今の動きで、あれが不潔なのはほぼ確定した。GHOSTはある程度の滞空は可能だが、ジェネレーターの限界はある。不潔の飛翔体相手では連携が必要不可欠だ。


同じ高さでのドッグファイトと、地上からの援護射撃。それと僕の近接の3つを同時に仕掛ける。不潔は射線ギリギリを滑らかに動きながら弾を避け、ふとした時に機銃が動く。


すぐに横にブーストを吹かす。案の定1番近くの僕を狙う。わけも分からず乱射されるよりも、こっちの方がずっとみんなの負担が少ない。


[不潔で確定かな]


[ミサイル使う?]


[確実に当てたい。次の上昇のタイミングを狙う]


[了解〜]


144と270が下降。着地する。空中にいるのは不潔と僕だけ。不潔は僕の背後に回り込もうとするように飛び続ける。そして一気に接近してきた。


すかさず格闘を入力する。斧の一閃は不潔のはるか手前で空振った。

すかさず援護射撃が入る。飛翔体は僕をギリギリで躱しながら後ろに消える。入力が早すぎだ。さっきのシミュレーションでの突進が、まだ身体に残っていたのか。


後ろの飛行音から、微かに機銃が動く音がした。横にブーストを吹かして躱す。視界の隅から機銃の弾道がチラリと見える。


[トゥエルブ!]


滞空出来なくなった。空に居すぎた。落下する僕を追い掛けるように不潔が迫ってくる。銃口がこちらを向いた。見えなくても分かる。


[OK]


横から煙。144のミサイルだ。同時に援護射撃。不潔が急上昇して誘導ミサイルから逃れようとする。その最中でも、機銃が僕を見て発射される。荒い精度の乱射は、前で持っている斧で弾かれた。逃がさないように、008と047と215が上昇。


[詰め切る!間に合わせろよトゥエルブ!]


「はい!」


着地する。ジェネレーターの回復の数秒が永遠に感じる。十分に動けるレベルまで回復したのを見てすぐに上昇する。


同じ速度、同じ性能のGHOSTだ。更には誘導ミサイルから逃げている不潔がミサイルを攻撃しないように邪魔をしている最中。中々追いつけ無いのは当然だ。


あの銃剣なら追い付けるんだろうか。あれがデータだけでなく、手元にあれば。


215が不潔の前に出る。不潔は避けるように旋回する。僕が近づきやすいようにしてくれている。不潔の機銃が動いた。


215が機銃に撃たれる。姿勢を崩した所に不潔が突っ込む。暗闇の中、黒が2つに割れた。 脚部が吹き飛んだ。


[誰がやられた!?]


[215だ!どうする!?]


穴の空いた陣形の中、不潔がミサイルを撃ち落とす。047が失速する。


[トゥエルブ、追いついたな]


「ごめんなさい、僕の……」


[速度が乗ってきたな。後ろに貼り付けた。このまま行く]


「……はい」


砕けて堕ちていくGHOSTは何も言わない。047が回収に向かっている。ペダルを強く押し込んで速度を上げる。ミサイルの爆煙を抜け、不潔を捉える。アルトさんは不潔に肉薄している。不潔の機銃が動く、アルトさんはそれを全て躱しながら、不潔が弧を描くように飛ぶように誘導する。


斧の間合いに入る。次は逃がさない。格闘を入力して、斧を振り切った。


不潔は機体を捻らせ、斧の横の一閃を華麗に躱す。数センチの差だ。


アルトさんが回り込み、上からの弾丸が不潔に命中する。姿勢を崩して逃げようとする不潔に、アルトさんが追加の射撃をする。一発目を避けた先を読んだ追撃が、不潔のブーストに命中。煙を上げながら不潔が堕ちる。


作戦終了。


[ここ最近で斧を振って逃した記憶は?]


「ありません」


[どっから飛んできたんだろうな。あいつ]


機体ナンバー008。GHOST配備の1番最初に集まって尚生きている最古参達を、経緯を込めて「シングル」と呼ぶ。実際、単騎でも突出した技量でオートノミアを撃破していく、個としての完成系だ。



■不潔


兵站基地から飛んだオートノミアが帰投する事は無い。その為綺麗な白いままの機体が大半を占める。

作戦行動は殲滅だが、その中でも学習を積み重ね生き残るオートノミアが存在しており、通常よりも賢く、機敏な動きで翻弄する。

不潔は都市部への進行を諦め、主にGHOSTやその兵站基地を狙うようになる。

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