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ゴブリンをテイムしてみたがなぜかコイツ繁殖しか興味がないんだか?  作者: GenerativeWorks
第3章:世界樹の聖女と、精霊の祝福

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第13話:世界樹の聖女と、精霊の祝福


「う、生まれる……! 私の中の、神聖なるマナと、あの悍ましき緑の生命力が……交わり、今……!」


 数日前まで氷の美貌で魔王軍を震撼させていたエルフの聖女ルシエルは、いまや俺のベッド(ただの藁布団)の上で、額に大粒の汗を浮かべて呼吸を荒くしていた。その隣の特設産気づきスペース(頑丈な毛布を敷き詰めた床)では、魔王軍第三軍団長ドルハが「フン、エルフの小娘が。出産とはな、気合と筋肉だ!」と、これまた規格外の腹部を震わせている。


「お二人とも、深呼吸してください! ルシエル様は精霊の呼吸を! ドルハ閣下は……ええと、オーク流の咆哮をどうぞ!」


俺はエドワーズ男爵の資金で買い占めた「高級清潔タオル」と「魔力安定のぬるま湯」を抱え、文字通り戦場以上の修羅場をワンオペで回していた。当の父親(ゴブ次)はというと、部屋の隅で「ぷきゅぅ……」と、完全に賢者モードのまま干からびたカエルのように眠りこけている。本当に使えない性獣だ。


その時、ルシエルの身体から、これまでにない清浄な黄金の光が爆発した。


「――っ、ああああああっ!」


光の中に産み落とされたのは、小さな、しかし圧倒的なマナの密度を持った二つの命だった。


【固有ユニークスキル:『万象交配』によるハイブリッド・チルドレンの誕生を確認】

【個体名:重装オーク・ゴブリン(第一子・ドルハ産)――成長速度:極大】

【個体名:精霊エルフ・ゴブリン(第二子・ルシエル産)――成長速度:極大】


 産声が響いた瞬間、ボロ小屋の天井を突き抜けて、世界そのものが震えるような「祝福のマナ」が周囲一帯に吹き荒れた。窓の外を見ると、魔王軍のオーク兵たちが「おお、我が団長の御子が……!」と涙を流して跪き、小屋を取り囲むエルフの守護兵たちも「枯れていた大地が、完全に神域と化していく……」と祈りを捧げ始めている。


「これが……私の子……?」


 ルシエルが震える腕で抱き上げた赤ん坊は、透き通るような白い肌と尖った耳(エルフの血)を持ちながらも、ほんのりと健康的な深緑色の肌の光沢を宿し、すでに「バブー(魔力値:測定不能)」と力強く微笑んでいた。ドルハの抱く赤ん坊にいたっては、生まれた瞬間から筋肉の筋が見え隠れし、俺の差し出したタオルを握力で引き千切らんばかりの怪力を発揮している。


「よし……! 二人とも元気だな。ドルハ閣下、ルシエル様、まずはこれを飲んでください。新種羊の極上ミルクと、魔力回復のハーブをブレンドした特製スープです。産後の肥立ちにはこれが一番効きます」


俺が徹夜で煮込んだスープを差し出すと、二人は呆然とそれを見つめ、やがてスープを口にした。


「……美味い。身体の芯からマナが、いや、母乳が湧き上がるようだ。レント殿、貴様はどこまで完璧なのだ」


「ええ……。種族の壁を超えた交配だけでなく、生まれた子供の魔力特性に合わせた完璧な栄養管理。やはり貴方は、ただの人間ではない……。滅びゆく世界を、新世代の生命で満たすために遣わされた『真の調律者(大父)』に違いないわ」


(いや、ただ前世の育児ブログの知識と、テイマーとしての家畜管理の応用なんですけど……!)


 俺の必死の内心の叫びを置き去りにして、奇跡はさらに加速する。ゴブリンの遺伝子が持つ「数日で成体になる」という超高速成長特性により、生まれた子供たちは、わずか数時間でヨチヨチ歩きを始め、3日目には早くも10歳児ほどの容姿へと急成長を遂げたのだ。


「お腹すいた、義父ちち上! お肉のスープちょうだい!」


オークの怪力を持つ「重装ゴブリン」の長男が、愛くるしい笑顔で俺の服の裾を引っ張る。


「レントお父様、精霊魔法で火の加護を編み込みました。これで調理の火力が安定します」


 エルフの超魔力を持つ「精霊ゴブリン」の次男が、神聖な魔術でキッチンのカマドの火力を全自動で調整してくれる。彼らは、実父であるゴブ次が「ぷきゅー」とヨダレを垂らして寝ているのを見ると、冷ややかな視線を向けた。


「……あの緑の小さいの、またメスの気配を探してる。最低だね」


「ああ。僕たちの本当の父親(大父)は、毎日美味い飯を作って、名前をくれて、頭を撫でてくれるレントお父様だけだ」


 子供たちは、実父(ゴブ次)を完全に「ただの種付けマシーン」として軽蔑し、自分たちを無条件の愛で育てるレントを、神の如く狂信し始めたのである。ドルハのオーク軍3千と、ルシエルのエルフ精霊部隊、そして生まれた瞬間から戦術級魔法をぶっ放せるハイブリッド子供たち。彼らが家事手伝いや周囲の開墾、防衛を自発的に始めたことにより、俺のボロ小屋は、一瞬にして人類国家も魔王軍本隊も手出しができない「世界最強の要塞託児所」へと変貌を遂げていった。


 だが、世界の異変はこれだけで終わらない。大気中のマナが爆発的に復活したことにより、世界の底で眠っていた「最大のメス」が、その本能の目を覚まそうとしていた。


「――グルゥゥゥゥン……」


 遥か地の底、世界の終焉を司る『始祖の暗黒竜ニードホッグ』。数千年の眠りから覚醒した最強のメスが、強烈な生命の奔流を放つ「ラズガルドの地」へ向けて、その凶悪な双眸をギラつかせた。ゴブ次の次なるターゲット(世界滅亡の危機)が、今、確実に向かってきていた。

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