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ゲームクリエイター ~とある少女の冒険譚~  作者: メープル
王都躍動編
92/94

91.初めての依頼

……はい、遅くなって申し訳ありません。

いつものことだと思ったそこのあなた。ぐうの音も出ないのでやめてください。

もうすぐ3月ですね。花粉が辛いです。

読者の皆様も体調にはお気を付けください。

「さて、と……」


登録用紙をお姉さんに提出すると、お姉さんは手続きのためにまたカウンターの奥へと消えていった。

シンさんたち曰く、この手続きは少し時間がかかるとのことなので、私は依頼ボードを見ることにした。

ただいろんな街を見るだけより、ちょこちょこ依頼をこなすついでで見る方が経済的だもんね。

……まぁ、冒険者として活動する目的は帰るための情報を集めるためであって、観光じゃないんだけど……

せっかくの機会だし?いろいろなとこ行ってみたいよね。

でもなぁ……


「う~ん……」


パッと見た感じ、知らない街への護衛依頼はなさそう。

というか、まず護衛依頼が無い。

まぁそんな都合よくあるわけないよねぇ……


「ん?ナツどうしたの?」


私が悩んでいるのを見てか、アッシュ君とドロテアちゃんが駆け寄ってくる。


「いや、ちょっと依頼を見てたんだけどあんまりいいのがなくってさ」


私のその言葉を聞いて、アッシュ君は少し考えるような表情をした後、依頼ボードに視線を移す。

暫くその視線は色々なところに向けられた。


やがて1枚の紙で視線の移動は止まり、アッシュ君は指をさす。


「……この依頼なんてどうかな?」


私はアッシュ君が指さす依頼を確認する。


------

依頼内容:突如現れた迷宮(ダンジョン)の調査

ランク?

概要:突如として街の付近の平原に巨大な穴が出現。協会の周辺調査の結果、ダンジョンと認定された。難易度は未知数。深さも分かっていないため、大きな危険が伴う可能性あり。

報酬:要相談

------


「ダンジョンの調査、ねぇ……」

「面白そうじゃない?」


たしかに、こういうゲームにおけるダンジョン探索ってかなり惹かれる。

たくさんのお宝とか、マッピングとか、最深部のボス部屋とかね。


……でも、躊躇するのも事実。

罠とか魔物の脅威が常にまとわりついてくるからね。

それに、依頼の口ぶりからしておそらくほぼ未探索のはず。

どれだけの広さなのか、どんなダンジョンなのか、それすら分からない。

というか場所書いてないし。

……まぁギルドに出された依頼ならお姉さんに聞けば詳細が分かるかな?


「……ダメ、かな……?」

「いや……えーっと……その……」


アッシュ君のうるっとした目で下から見上げられ、しどろもどろになる。

……ダメってわけじゃない。

私だってどんなものか気になる。

けど、かなりリスクがあるのは事実だし……


「ん?この依頼を受けようか悩んでいるのかい?」


悩んでいる私を見かねたのか、シンさんが話しかけてくる。


「はい……でもこの手の依頼は初めてですし、私はまだしも、2人には厳しいんじゃないかと思って……」

「なるほどね……ナツは優しいんだね」


シンさんは少し考えるような顔をした後、何かを思いついた、といったように手を叩く。


「なら、『合同依頼』にすればいいんじゃないか?」

「合同依頼……?」

「あぁ、簡単に言えば1つの依頼を複数のパーティで受けるってことだ。ナツたちがやりたいって言うなら、僕たちもその依頼を受けようと思うんだ。どうだい皆?」

「「「異議なし」」」


私に考える隙も与えず、シンさんの提案を2つ返事で了承する『翠玉の翼』の皆。


「私も良いと思います。ナツ様とアッシュの力があれば苦戦するということはまずないでしょうし」


ドロテアちゃんも、その案に賛成みたい。


「お願い……」


なおもうるうるとした目での上目遣いで私の正気を削ってくるアッシュ君。


「わ、分かったよ……受けてみよう……」


結局、皆の圧に負けて依頼を受けることを了承する。

アッシュ君からの押しに弱いのは今後の課題だ。




「お待たせいたしました。手続きは無事完了しましたので……っと、どうやら依頼は既に決めているみたいですね」


ちょうどどの依頼を受けるかが決まったところで、受付のお姉さんが奥から顔を出す。


「は、はい……これを……」


私は紙を剥がし、受付のお姉さんに渡す。


「こちらの依頼ですか……初めてにしては難易度が高くありませんか?」

「その点は大丈夫。僕たちもこの依頼を受けるよ」

「なるほど。でしたら問題ありませんね。少々お待ちを……」


そう言って、手元で何かを触るお姉さん。


「……はい、これで依頼を受理したことになっているはずです。ギルドカードをご確認ください」

「あぁ、ちゃんと受理済みになっているね。ありがとう」

「いえいえ、これが仕事ですので。それと場所についてですが、この街から南西方向に進んだところにあります。現地まではギルドが送迎しますのでご安心ください。送迎は諸々の手続きを考えますと早くても明日になります。準備ができ次第連絡させていただきます」


こうして、私たち(フリーダム)の初めての依頼が幕を開けた。

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