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ゲームクリエイター ~とある少女の冒険譚~  作者: メープル
王都躍動編
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90.Going with the flow of the wind

「どうされますか?3人だと不安との事でしたら……」

「いえ、3人で大丈夫です」


少し食い気味に受付のお姉さんの質問に答える。

だって嫌だもん。知らん人と一緒に行動しなきゃいけないとか絶対嫌。

しかもこういうとこで勧誘してくる奴って大抵碌な人がいないのよね。

「仲間なんだからもっとお互いを知ろうぜ?」とかなんとか言ってセクハラしてくるんでしょどーせ。

私はともかく、ドロテアちゃんにそんなことされたら私どうなるか分からないよ?

まぁドロテアちゃんなら自衛くらいできるとは思うけどさ。

下手したら切り捨てたり……いやさすがに……ね?


「なるほど。まぁナツさんは”Bランク”の冒険者ですし、問題ありませんね」


……Bランクの冒険者。

その一言は、背後でがやがやと騒ぎ立てる冒険者()たちを黙らせるには十分すぎた。


「は……Bランク?」

「おいおい……冗談だよな?あの子この間入ってきたばっかりじゃないか!」


皆、信じられないといった様子で私を見つめる。


「……何か問題でも?」


鬱陶しかったので、振り返って少し圧を掛ける。

私が視線を向けた途端、がやがやと騒いでいた冒険者たちは口裏を合わせていたかのようにぶんぶんと首を振り、異議がないことを示す。


「はぁ……すみません遮ってしまって」


ため息交じりにお姉さんに謝る。


「いえいえ、いつものことですので。謝らなくて結構ですよ」


お姉さんはそう微笑みながら返してくれた。

いつもこんな感じなのか……お姉さんも大変なんだなぁ……


「……話が逸れてしまいましたね。パーティ登録の申請用紙を持ってきますので少しお待ちください」


私がお姉さんに同情している間に、お姉さんはカウンターの奥へと消えていった。



「……あれ?ナツじゃないか!」


ふと、背後から懐かしい声が聞こえてきた。


「シンさん!それにドラさんにマーシュさんにサナちゃんも!お久しぶりです!」

「久しぶり!王都に行ったって聞いてたけど、帰ってきてたのか!」

「あはは……向こうで色々ありまして、ね。別れの挨拶もできなくて申し訳ないです……」

「なに、冒険者なんてそんなものさ。あまり気落ちしないでくれ」


少ししょげる私を慰めてくれるシンさん。

やっぱいい人だわ、この人。


「今日はどうしたの?見ない顔の子2人も連れて」


マーシュさんがそう尋ねてくる。


「えーとですね……かくかくしかじかで……」


私はここまでの成り行きを掻い摘んで説明する。


「……というわけで、ここで登録してそのまま旅に出ようかと思いまして」

「なーるほどねぇ……そっちも大変だね」


周りを見渡しながら、納得したようにそう呟くマーシュさん。

きっとマーシュさんも初めて登録したときこんな感じだったのだろう。


「そうなんですよ……男って皆こんな感じなんですかねぇ……」

「おいおい、そいつはちょっと聞き捨てならんぞ」

「そうだね。男として言わせてもらうけど、皆が皆こんな風なわけじゃない。ちゃんとしてるやつだっているんだよ?」


私の愚痴に、今までずっと黙っていたドラさんとシンさんが苦言を呈す。


「あ、そうですね。”少なくとも”シンさんとドラさんは紳士的ですもんね」


少なくとも、という言葉を少し強調してそう返す。

周りからうめき声のような声が聞こえてきたような気もするけど、多分気のせいだろう。


「ナツちゃん……結構エグイこと言うね」

「まぁ、寄り付かれても面倒ですし。不埒な輩から2人を守らなきゃいけないですしね」


マーシュさんの少し引き気味な呟きに、アッシュ君とドロテアちゃんの頭を撫でながらそう返す。

少し2人が恥ずかしそうにしてるのを横目に見ながらシンさんたちと話していると、受付のお姉さんが紙を持って戻ってきた。


「お待たせしました。こちらがパーティ登録の用紙ですね。書き洩らしのないようにお願いします」


そう言いながら、私に紙を手渡す。


どうやら書くべきなのは、『パーティ名』、『メンバー』の2つ。

メンバーはいいとして、問題はパーティ名。

名は体を表すっていうし、ちゃんと考えないと。

うーん……どうしようかな……


「ナツ?どうしたの?」


アッシュ君が心配そうにそう尋ねてくる。


「いやね、パーティ名をどうしようかなーって」

「名前?適当じゃダメなの?」

「適当だと、今後の活動に支障が出るかもしれないでしょ?だから、ちゃんとしたのを付けたいなって」

「パーティ名かぁ……僕も考えるの時間かかったなぁ」


シンさんがどこか遠くを見つめながらそう話す。


「そういえば、シンさんたちのパーティ名って何ですか?」

「あ、そういえば言ってなかったね。僕たちのパーティ名は『翠玉の翼』だ。時間かけた割にありきたりな名前になったのは少し後悔してるかな」


そう言いながら頭をかくシンさん。

ありきたり、というけれど私はとてもいい名前だと思う。

マーシュさんもドラさんもサナちゃんも不満そうには見えないし、むしろ満足しているように見える。

仲良しなんだなぁ……


私もこういう関係を築いていきたいなぁ……

何事にも縛られず、自由にあちこち見て回ったり……

自由って言葉好きなんだよね。何やってもいいって感じでさ。

自由に……自由……


次の瞬間、頭に電撃が走る。


「……『フリーダム』」


Freedom。和訳すると、『自由』。

私が考えうる、パーティの最終系。


「……フリーダム、か。いい名前だと思うよ」

「そうね。シンが考えた名前よりかっこいいんじゃない?」

「おいマーシュ、それはどういうことだい?」

「あはは、冗談だよ冗談!」


シンさんたちはふざけながらもいい名前だと言ってくれた。

アッシュ君とドロテアちゃんの方を見ると、2人は顔を見合わせた後、こくりと満足そうに頷く。


「……決まり、だね」


私はパーティ名の欄に『フリーダム』と書く。


自由を求めて旅する。それが私たち(フリーダム)だ。

Going with the flow of the wind。

風の吹くまま気の向くまま。

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