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ゲームクリエイター ~とある少女の冒険譚~  作者: メープル
王都躍動編
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86.アッシュ君とギルマスの超次元戦闘

広い闘技場のような空間で、荒野のガンマンのようににらみ合うアッシュ君とギルマス。

そして、観客席のような場所で2人を見つめる私とドロテアちゃん。

一触即発の空気に、見ているこっちまで緊張が走る。


「「……」」


両者一言も喋らず、辺りには冷たい空気が立ち込める。


「……なんか寒くない?」

「そ、そうですね……」


体を震わせながらそう返すドロテアちゃん。

比喩でもなんでもなく、さっきまで暖かかった訓練場には真冬のような空気が立ち込めている。

おそらく原因は……


「アッシュ君……かな?」

「ですね……普段とは明らかに雰囲気が違います……」


ドロテアちゃんの言う通り、今のアッシュ君からは普段の無邪気さを全く感じられない。

そこにあるのは、氷のように透き通った冷たい瞳。

私はごくりとつばを飲み込む。



バチバチッ!!


突然、石製の訓練場の床に紫電が走る。

アッシュ君は驚きつつも、さも当たり前かのように4mほど跳躍する。


……あなたほんとに魔法使いですか?トランポリン使った体操選手でも4mは跳ばないよ?

まぁそんなことはどうでも……よくはないけどどうでもいい。


それより、石材でできているはずの訓練場の床に電気が通っているということの方が疑問だ。

通常、石材は不導体……つまり電気を全く通さないはずなの。

少しの間この世界の魔法について見てきたけど、一部の魔法……回復魔法とか回復魔法とか回復魔法とか……を除けば現実世界の法則と同じように働いていた。

でもこれは……完全に物理法則を無視している。

無理やり流し込んだのかな……それとも……


……いや、今考えるのは止そう。

考えることなんて後でも出来る。

今はアッシュ君の戦いを見守ることの方が大事。


私が考え事をしている間に、戦闘はどんどん激しさを増していた。

床には紫電が常に走っているため、アッシュ君は床から3~4m離れた空中からギルマスに向けて氷魔法で攻撃している。

ギルマスは地上でアッシュ君の攻撃を紫電で迎撃しつつ、攻撃の切れ間に紫電でアッシュ君に反撃している。


……この際どうやって飛んでるのかとかいう質問はしないようにしよう。

ここはファンタジーの世界だからね!人は空飛び石に電気が通り……っていくら何でも無茶苦茶だよ!

某サッカー漫画か何かかな?人が竜巻起こしたり時止めたり明らかにファールな技が出てきたり……ってそれは今どうでもええねん!


「すごい……」


見えない何かと格闘する私。

一方ドロテアちゃんは目をキラキラと輝かせながら2人の戦闘を見守っている。

……ドロテアちゃんも空飛んだりしないよね?ドロテアちゃんは私の味方でいてね?




「く……っ……」


戦闘が始まってから10分ほど経った。

アッシュ君はかなりきつそうな顔をしている。

いくら何でも空を飛びながら攻撃を仕掛けるのは無理がある。

むしろその状態で10分も戦い続けられたアッシュ君のMPがどうなっているのか知りたい。

その前にどうやって空飛んでるのか聞きたい。


……まぁそれは一旦置いといて。

消耗しているのはアッシュ君だけではない。

ギルマスも表情に疲れが見える。

そりゃ10分も地面に電流垂れ流しにしながら戦ってたらそうなるよね。

むしろなんでそんなに戦えるのか疑問なんだけど。


「……あっ……!」


ついに、アッシュ君にギルマスの電撃が直撃した。

アッシュ君の体は電撃で動かなくなってしまったのか、地面に向けて真っ逆さまに落ちていく。


「危ないっ!!」


私は咄嗟に観客席のような場所から飛び出しながら、アッシュ君が落ちてくるであろう地点に風魔法で作った矢を放つ。

矢は地面に当たると同時にクッションのように広がり、アッシュ君を少しだけ宙に浮かせる。

その間に私は落下地点に滑り込み、アッシュ君を全身を使って受け止める。


……まぁ皆さんお察しだとは思うけど、一応何が起こったか説明するね。

私は落ちてくるアッシュ君をお姫様抱っこするような形で受け止めたんだけど……うん、思ったより重くて足に鈍痛が走ったんだよね。

こう……なんていうか……ジーンッ……って感じ?

まぁアッシュ君は落とさなかったからいいんだけど……


「痛っっったぁ……」


めちゃくちゃ痛かった。



……ってちょっと待って、私今なんて言った?


確か『まぁアッシュ君は……』違うもっと前だ。

えっと……『私は落ちてくるアッシュ君をお姫様抱っこするような形で……』


アッシュ君をお姫様抱っこするような……お姫様抱っこ……って!


「ふぁぁぁあっ??!」


あまりに衝撃的すぎる出来事に私の脳は一瞬思考することを諦めた。

だけど今までのアッシュ君の可愛い行動で耐性が付いていたのか、すぐに冷静になりアッシュ君に話しかける。


「アッシュ君大丈夫……?」

「うん……ありがと……」


そう、顔を少し赤らめながら答えるアッシュ君。

その可愛さ満天爆弾に私の脳は白旗を上げた。

可愛いは正義。

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