63.アルティウス・レガリス・アケイオス
扉を開けると、奥の方に大きな座椅子があり、そこに70歳ぐらいのおじいちゃんが腰かけていた。
あの人がアリシアさんが言うアケイオス王だろう。
ただ、一目見ただけで私の勘がやばいと伝えている。
離れててもわかるくらい、凄まじい覇気に気圧される。
城の中に入ってから、おかしいとは思っていた。
この城、広さのわりに明らかに城の中にいる兵が少ない。
最初は何か戦いにでも行ってるのかなとも思ったけど、にしては街が平和というか、殺伐としていなかった。
でも、今ならわかる。
多分、中途半端な兵じゃ『護衛』どころか『お荷物』なんだろう。
それを感じさせるくらいの覇気を、あの王様は放っている。
戦うことになったりしたら、おそらく私に勝ち目はないだろう。
しかも、私から見て座椅子の左側……ちょうど右手で握ることができる位置に、精巧な作りの槍が置かれている。
長さは正確にはわからないけど、ざっと2mはありそう。
しかも私のローブと同じようにうっすらと紫色のエフェクトが出ている。
さすが王室。武具のレベルも桁違い。
「客人よ。歓迎するぞ。ワシの名はアルティウス・レガリス・アケイオス。この国、アケイオス王国の国王を務めておる。せっかく来てもらったのに大したもてなしもできずすまんのう。こちらも色々立て込んでおってな。その分夕食は豪華なものを用意させるから、期待しても良いぞ」
さっきはそこまで気が回らなかったけど、王様の左側に身分の高そうな人が大量の書類の束を抱えている。厚さから見るに、ざっと200枚はあるだろう。
私たちは一回お城の外に出される。さすがに仕事の邪魔はよくないからね。
アリシアさんは別の仕事があるらしく、いったんお別れだそうだ。
特にやることもないから、私たちは少し王都の中をみて回ることにした。
なんやかんや言ってアッシュ君と買い物するのは初めてじゃないかな?ちょっと楽しみ!
ー王宮内ー
「失礼いたします。アケイオス王、例のあの件についてお話が」
「うむ、聞こう。話してくれ」
書類を片付けながら、アケイオス王はアリシアから例のあの件についての話を聞く。
「はい、王は賢者とともにいた少女のことを覚えておいででしょうか」
「少女…あぁ、あの黒髪の少女だな?」
「はい、実は『バサバサッ!』。」
肝心なところが、鳥の羽音でかき消されてしまった。
「ふむ…」
「そのためーーーーーーーーー我が国に有益ーーーーーーーーー」
アリシアは声のトーンを少し落とし、アケイオス王にのみ聞こえる程度の声で話を続ける。
「そうだな……。ーーーーーーはかなり深刻な問題になっているからな。いつ手を出してきてもおかしくないな」
「はい、彼女は黒髪です。たとえ街の中だとしてもすぐに見つかるでしょう」
「……よし、早急に手を打とう。奴らにあの少女を渡すわけにはいかん。何としても少女を保護するのだ!」
「はっ!」
暗雲立ち込めし王都。ナツの運命や如何に。




