61.謎の少女
私たちがグレイシアを旅立ってから、特にこれといったアクシデントもないまま、あっという間に3日が過ぎた。
この3日で変わったことといえば、アッシュ君がすごい私のことを気にかけてくれるようになったことくらいだ。
そして、日が高く昇り、そろそろお昼時という頃。
「見えましたね」
私は窓から顔を出す。
進行方向には、グレイシアの数倍大きな都市が見えた。
「あれが……」
「はい、あれが王都『アケイオス』。私たちの国、アケイオス王国の首都です」
正直、あんまり行きたくない。不穏分子がどうたかこうたかって言われてるからね。
でも、多分ここは私に……私たちにとって重要な試練なんだろう。
私だってもう大人だもん、いつまでも逃げてるわけにいかないでしょ。
……やってやろうじゃない。
期待と不安が混ざったような感情を抱きながら、馬車はどんどん進んでいく。
話は変わり、王都アケイオスのとある場所にて。
「はぁ……っ……はぁ……っ……」
一人の少女が、狭い路地を走っていた。
かなりの時間走っているらしく、時々つまずきそうになっている。
「どこ行きやがった!」
「まだ遠くには行っていないはずだ!探せ!」
どこからか、男数人の声が聞こえる。
このままでは見つかるのも時間の問題だろう。
ここで見つかるのはいろいろと不味い。道幅も狭く、簡単に振り切れないことは安易に想像できるからだ。
武器はあるが、いずれにせよ狭くて戦いづらい。
やはり、移動しなければ。
少女は再び走り出した。
しばらくして、先ほどの路地より数m広い路地に出た。
少女のスタミナは限界に近いらしく、肩で息をしている。
そのたびに、少女のきれいなピンクがかった銀色の長い髪が揺れる。
だが、道幅が広いということは見通しがいいということ。
「見つけたぞっ!」
それだけ、相手に見つかりやすいということである。
相手は2人。いつの間にか挟まれてしまった。
「へっへっへ……もう逃げ場はねぇぞ?」
「おとなしく捕まってもらおうか」
そういって、下卑た笑いを浮かべている2人。
捕まったらどうなるか、言われずとも理解できた。
「ロリコンどもが……調子に乗ってると痛い目見ますよ」
そういって、少女は腰に着けていた得物を抜く。
それは、少女の身長と同じくらいの長さの長剣だった。
それを見た追手2人は、少女を馬鹿にしたように笑う。
「てめぇ馬鹿なのか?そんな身長でそんな剣が扱えると思ってるのか?」
「さっさと降参した方が身のためだぜ?」
それを聞いた少女は小馬鹿にしたように笑いかえす。
「ふん、あなたたちよりかは強いですよ?降参するのはそちらの方では?」
それを聞いた追手は簡単に挑発に乗った。
「このクソガキが!どうやら痛い目見ねぇとわからねぇみてぇだな!」
「どうなっても知らんぞ!後悔させてやる!」
そういって襲い掛かってくる2人。
その姿を見ながら、少女はスキルを発動させる。
「……長剣乱舞」
数分後。
少女がいた路地には、2つの死体が残っていた。
新キャラ登場。
この少女は敵か……それとも味方か……
5/7 追記
一つ書き忘れていました。
魔物等の魔族は倒されると光になって消滅しますが、人族の場合倒されるとその場に死体が残ります。
これは人族と魔族の構成物質の違いによるものです。この先で説明できないと思いますので、この場を借りて説明させていただきます。長文になりますのでご注意ください。
この世界の空気には『魔素』という物質が含まれており、この魔素を利用することで生物は魔法を使うことができます。スキルなどを使用した際のエフェクトも、実は魔素の集合体です。
魔族は体の構成物質のほとんどを魔素が占めており、そのため魔法の扱いに長けている者が多いです。
また、魔族が死亡すると、体を構成している魔素を制御できなくなるため、体は魔素として空気に溶け、残った魔素以外の物質で構成されている物が『ドロップアイテム』として世界に残ります。
魔族にとって魔素とは自らに欠かせない物質、すなわち栄養のようなものであり、高濃度の魔素が含まれている空気中だと能力が大幅に上昇し、逆に魔素が含まれていない空気中だと弱体化します。街の付近に弱い魔物が多いのは、空気中の魔素が少ないためです。
一方人族は体の構成物質に魔素は含まれておらず、魔法より武術に長けている者が多いです。
また、魔素が含まれていないことから死亡しても体がこの世界に残ります。
人族にとって高濃度の魔素が含まれる空気は毒であり、少しでも吸うと体が魔素により変質、死に至るか魂無きアンデッドとしてこの世を彷徨うか選ぶこととなります。
まだまだ書きたいことはあるのですが、ここから先は本編で明かしていくつもりなので、ご了承願います。
これからもゲームクリエイター、錬金術師を、よろしくお願いいたします!
5/8 一部表現を修正しました。




