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ゲームクリエイター ~とある少女の冒険譚~  作者: メープル
王都躍動編
59/94

58.異変

間に合わなかった……申し訳ありません……

「さて、そろそろ出発しましょうか」


アリシアさんの号令で、私とアッシュ君は馬車に乗り込む。


「気をつけてな」

「はい!アーロンさんもお元気で!」


馬車は走り出す。

車のように早くはないけど、歩くよりもずっと速い速度でどんどん進んでいく。

アーロンさんの立っている正門がどんどん離れていく。


王都までの道はしっかり舗装されているらしく、街道沿いにはいくつか野営できるところが設けられているらしい。

そこで休憩しつつ、4日ほどかけて王都”シャングリラ”へ向かうらしい。


街道周りには草原が広がっていて、時々吹く風が頬を撫でていき、とても心地よい。

少しでも気を抜くと、ついつい寝そうに……


『……か………聞こえますか……』


急に頭の中に、いつか聞いたことのあるような中性的な声が響く。

この声……いつぞやの予言くれた人?


『そうです……余裕がないのであの空間を創り出すのが難しくなってしまい……かなり賭けですが、あなたの脳内に直接メッセージを送っています』


直接って……まぁいいや。

そんな切羽詰まった状態でわざわざ私に連絡よこすってことは、何か緊急で伝えたいことがあるんじゃないの?


『話が早くて助かります。実は……』


実は……?


『私、もうあなたと話せないと思います』


……………………………HA?

ちょっと待って、どういうこと?


『前に、限界が近いという話をしたのを覚えていますか?』


え?うん……一応覚えてるけど……


『もう限界なんです』


……………………………HA?

いやいやいや、いくらなんでも急すぎるでしょ!


『ですので最後のお別れに、挨拶と、最後のお告げを、と思い……』


勝手に話を進めないでよ!第一限界って何さ!あんたこの前まで結構元気そうだったじゃない!!


『限界は限界なんです。残り時間も少ないので、端的に言いますよ?王都で不穏分子の動きが見られます。巻き込まれぬように気をつけてください』


不穏分子?王都で?ちょっと、まったく何言ってるか分からないんですけど?!


『確かに伝えましたからね……では、お元気で』


ちょっ、待ってよ!まだ話は終わってないでしょ!!


「待って!!」

「うぇっ?!な、ナツ急にどうしたの……?」


私の引き止めも虚しく、あいつの気配は消えてしまった。


くそっ……まったく何言ってるか理解できないじゃない……


王都で……一体何が起ころうとしてるってのよ……




ーーーside???ーーー


「はぁ……っ……はぁ……っ……」


薄暗い部屋の中で、一つの影が息をするのも苦しそうに悶えながら倒れる。


「……もう限界かの?」


そこに音もなくやってくる、新たな人影。


「……っ!も、申し訳ありません……私は……もう……っ」

「よいのじゃ……お主は今までよくやってくれた。……ナツ、といったかの?あの娘が王都まで無事に辿りつけそうなのも、全てお主のおかげじゃ」

「……もったいなきお言葉……恐悦至極で……ございます……」

「よいのだ……もう喋るでない……もう肉体を維持するので精一杯じゃろうて」


倒れている人影はほとんど透けていて、今にも消えて無くなりそうだった。


「ここまで……よく頑張ってくれたな。あとは妾に任せるのじゃ。お主の頑張り、無駄にはせん」


そういうと人影は、今にも消えそうな人影の胸に手を当て、一言つぶやく。


妾の中で眠れ(アブゾープション)


次の瞬間、消えかけていた人影はもうひとりの人影に吸い寄せられていき、そして、一つになった。


「あとは……妾に任せるのじゃ」


人影は、音もなく部屋から消え去った。

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