57.護衛
新章開幕です。
ここからどうなることやら……
「……来たみたいですね」
正門で待つこと数分。遠くの方に馬車らしきものが見えた。
よく見えなかったから、目を凝らして遠くの方まで見ようとする。
すると……
《条件を達成しました》
《スキル”遠視Lv1”を取得しました》
なんだかよくわからないけど新しいスキルが手に入った。
効果は遠くの物をハッキリ見ることができる……うん、微妙。
……というか毎回思うんだけど、この世界でスキル取得するの簡単すぎない?
普通こういうスキルとかってレベルアップのときに新しく取得したりするものじゃないの?
…………まぁいっか。
考えたってしょうがないしね。
使い所は限られてきそうだけど、状況によっては偵察とかに使えるかも……?
そんなことを考えていると、だんだん馬車が近づいてきて馬蹄の音が聞こえてきた。
大きさは高さ2mくらい、馬2頭で引いているからかなりの重量でも動けるようになってるみたい。まぁそんなに人は乗らないんだけどね。
馬車は私達が立っているところから5mほど離れたところに止まり、中から170cmくらいで金髪の女の人が出てきた。
「待たせてすまない。私はアリシア。あなた達を王都まで護衛させていただく。よろしく」
……ん???
あれ……?アッシュ君を守るのは私ってスーシャさん言ってなかったっけ?
私はアーロンさんの方を見る。
アーロンさんは無言で目をそらした。
その仕草で、私はある程度のことを察した。
「……どういうことですか?」
「……………すまん」
アーロンさんは申し訳無さそうに、事の顛末を話してくれた。
曰く、事の発端はスーシャさんの、「護衛が1人だけなのは少し不安ですね……王都からも1人派遣してもらいましょう」という発言だそう。
そして、王都で5本の指に入るくらい強い、アリシアさんが護衛としてつくことになったと。
で、そうなると私の実力が未知数ななか、2人で連携してアッシュ君を守るのは厳しいと王都側が判断。スーシャさんがギリギリまで食い下がって私の同行は認めさせたらしいけど、護衛はアリシアさんにお願いする、と決まったそう。
……そんなにスーシャさんが頑張ってくれてたなんて……
「我々も向こうを説得しようとしたのだが……申し訳ない……」
「いや、謝らないでください……私が弱いのは事実ですし……」
正直、納得いかないところはある。
けど、スーシャさんの努力を水の泡にするわけにはいかない。
次は私が頑張らないと!
「では、そろそろ出発しましょうか」
アリシアさんはそう言うと、私の方を見る。
「………っ?!」
そして、突如として不快感に襲われた。
この感覚……まさか!?
私はアリシアさんを見る。
アリシアさんはどこか驚いたような顔をしたあと、私が見ていることに気づき目を見開く。
「……なぜ分かったのですか……?」
「あいにく……この感覚は2度目なので」
アリシアさんは何度か瞬きしたあと、くすくすと笑い始めた。
「……???」
「いや失敬、勝手に鑑定されたのにここまで冷静な子は初めて見たので……」
「いや、まず勝手に鑑定しないでくださいよ……」
私のその言葉を聞いてアリシアさんは吹き出し、アッシュ君は少し困惑した表情を浮かべ、アーロンさんは頭を抱えていた。
「やれやれ……こんな調子で大丈夫なのだろうか……」
かろうじて、アーロンさんのそんな独り言が聞こえてきた。
王都までの道のりは、グレイシアから南下すること約150km。馬車で3日ほどの距離です。




