53.シンさんと再会
「なんであなたはすぐ一人でふらふらと街の外に出るのですか!しかもドラゴンに噛まれて重傷だった?!こんな大切なときに何をやってるのですか!!明日は王都に向かうのですよ?!もし治らなかったらどうするつもりだったのですか!!大体あなたは毎回……」
傷が治ったことをスーシャさんに報告したところ、思いっきり怒られた。
私はスーシャさんの後ろにいるアーロンさんの方を見る。
けどアーロンさんは肩をすくめるばかりで、助けてくれそうにない。
「第一、なぜ何の報告もなくドラゴンなんて討伐しに向かったのですか!!せめて報告の一つでもあれば親衛隊の一人や二人動かしましたのに!!」
いや別に私が好きで討伐に向かったわけじゃないんだけど……
スーシャさんのお説教は2時間近く続いた。
スーシャさんのお説教が終わり、私は夕暮れ時の街を一人で歩く。
特にやることがあるわけでもないから、ちょっと街をうろうろするだけだけどね。気分転換にもなるし。
まぁ、方向音痴だし屋敷の周りだけだけど。寝るのは屋敷でだしね。
ご飯も近いし、周りちょっと見て帰ろっと。
「……ナツ?!体は大丈夫なの?!」
そんなことを考えながら歩いていると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
「はい、なんとか……シンさんの方は大丈夫でしたか?」
「おかげさまでね。ナツがいなかったら僕たちもこんなに元気に過ごせてないよ」
「まったく……お陰様でスーシャさんに2時間位お説教喰らいましたよ……」
そこまで話したところで、私はシンさんの後ろに少し小柄な13歳くらいの女の子が立っていることに気がついた。
「……そちらの女の子は?」
「ん?……あぁ、サナだよ。僕のパーティの弓使いの」
「は、はじめまして……サナと言います。今回の件にナツさんを巻き込んで怪我を負わせてしまい……申し訳ありませんでした……」
そう言うと、サナちゃんは深く頭を下げる。
「いやいや、サナちゃんのせいじゃないからね!気にしないで大丈夫だよ!」
「で、でも……」
「いいの!怪我は治ったんだから!」
それでも何か言おうとするサナちゃんを、シンさんが手で静止する。
「ナツ、僕からも謝らせて欲しい。君を僕たちの因縁に巻き込んでしまった……本当にすまなかった」
そう言って、今度はシンさんが頭を下げる。
「……一つだけ聞かせてください。シンさんは、あそこにあいつが出ることを知っていたんですか?それとも、偶然ですか?」
私は思い切って、少し気になっていたことをシンさんに聞いてみる。
「……知っていたよ。あそこにドラゴンが住み着いたという情報はね」
「なら……ならなんで説明してくれなかったんですか?」
「……戦うつもりはなかったさ。僕たちの因縁は僕たちで決着をつけたかった。それに、ここ最近はドラゴンが街道付近に出てくることは少なくなっていたから、遠くに行ったのかと思っていたんだ」
「……でも、あいつはいた、と」
「ああ……今思い出しても寒気がするよ。ナツがいなかったら、僕たちは全滅していてもおかしくなかった」
「そんな大げさな……」
「大げさなんかじゃないよ。僕たちの実力じゃ5分と持たなかったはずさ」
そう自嘲気味に話すシンさん。
私には、そんな彼の姿がとても悲しそうに見えた。




