52.治療
2、3日。
私がどれだけの時間気を失っていたかはわからないけど、2、3日も待っていられる余裕はない。
早く治すためには……
「……どうやら何か事情があるみたいね」
ギルマスが話しかけてくる。
「方法がないこともないけど、かなり危険がつきまとうの。あなたに、その危険を跳ね返す勇気はあるかしら?」
……危険?
そんなの……顧みてる場合じゃない。
やれることは……やらなきゃ。
「……何をすれば良いですか」
「へぇ……分かったわ。まずは包帯を取るわね」
そういって、ギルマスは私に巻き付けてある包帯を慣れた手付きでほどき始める。
時々痛むけど、あいつと戦ったときよりマシ!
包帯をほどくと、私の腹部には大きな傷跡が残っていた。
思っていたよりも状態は悪そうだ。
「今から、私が全力で回復魔法を使います。ですが、あなたの治癒能力を無理やり高めるので、想像を絶するほどの痛みを伴うでしょう。しかも、治癒能力は意識を保っていなければ開放出来ません。なので、あなたにはその痛みに耐え続けてもらう必要があります。魔力が尽きて失敗してしまうかどうかはあなた次第です」
耐え続ける……?
なんだかよくわからないけど……とにかく耐えれば良いのね?
「……とにかく耐え続ければ良いんですね……?」
「ええ、とにかく耐え続けてください」
そう言って、私の腹部に手を当てるギルマス。
「覚悟は良いですね?」
「……はい、お願いします!」
「行きますよ!」
ギルマスが回復魔法を唱える。
次の瞬間、腹部にとてつもない痛みを感じた。
「がっ!ああああああああああああああああっ!!」
想像を絶するほどの、強烈な痛み。
ドラゴンに噛みつかれた時とは比べ物にならないほどの痛み。
私は、意識を手放しそうになるのを必死にこらえる。
1秒1秒が、とてつもなく長く感じる。
まだ強烈な痛みを感じる。
まだ10秒も経っていないはずなのに、私の気力は限界に近づいていた。
だけどここで耐えないと、今までの痛みが無駄になってしまう。
だから、何としてもここで耐えきる!
私は再度気力をふり絞る。
「……ふぅ、終了です。お疲れ様でした」
ギルマスの声で、私は我に返る。
時間的には1分も経っていないはずなのに、体感では2時間にも3時間にも感じられた。
腹部を見ると、若干の違和感はあるけど、傷は完全に塞がっていた。
「……すごい……治ってる……」
「すごいのはあなたの方ですよ。今までこの治療法で、一回も意識を失わなかった人なんて片手で数えられるくらいしかいませんもの」
そうなんだ……
耐えろって言われたから耐えてただけなんだけどな……
「これで、動いても大丈夫ですか……?」
「勿論です!……と言いたいところですが、普通に過ごす分には問題ありませんが、少しの間は激しい戦闘は避けるようにしてくださいね?また傷口が開いてしまいますので」
「……勿論です。ありがとうございます、ギルマス!」
こうして、私は無事に動けるまで回復したのだった。




