27.矛盾
「おい嬢ちゃん!大丈夫か!」
たくさんの人が駆け寄ってくる気配がする。
……今は、少し休みたい……かな……
私の意識はだんだんと薄れていき、やがて闇に飲み込まれていった。
気がつくと、前にも来たことがあるような空間にいた。
前回と違うのは部屋ではなくなっているのと、”すべてが真っ白”だということ。
そして、目の前に”いつかの人影”がいるということ。
「……状況説明ありがとうございます」
変な感じはするけど、今のところ悪いやつじゃなさそうだから、どうするかについては保留。
んで、今回は何の用なの?
「話が早くて助かります。最近この空間を作り出すのも限界が近いようで」
作り出す、ねぇ。
それじゃあ、私と話すためだけにいつもこの空間を作ってるの?
「はい。”現世”にいるあなたと話すためには、この場所が必要不可欠なので」
ふぅん……
ということは、あなたは実態がない何かってことね?
「はい。その認識で結構です」
反応がサバサバしててやりにくいなぁ……
「では、”あなたの世界”で言ったところの”ぎゃる”のような口調で喋りましょうか?」
いやいや、そんな軽い口調で話されても……
……ん?あなた、なんで”地球”の知識を持ってるの?
「それは……その……、時々覗き見していたというかなんというか……」
なんか急に反応が大きくなったな……
とりあえず、覗き見ってどういうこと?
「……まだ詳しくは言えません」
”まだ”、言えないのね。
ということは、然るべき時が来たら教えるとかそういう系?
「……はい」
なら、その時が来るまで保留ね。
んで、私に用があるんじゃなかったの?
「……そうでしたね」
早くしてよね!
こっちもやりたいことがまだまだあるんだからさ!
「……そう急かさないでください。時間はまだまだあるので」
あなたに時間があったとしても、私にはないの!
「……では、簡潔に話します。あなたが滞在している村に、近々領主が訪れます。その際に、アッシュが町に行くことになります。彼に同行し、守ってあげなさい」
……領主?アッシュ君と町に行く?守る?どういうこと?
「混乱するのも無理はないでしょう。詳しくは言えませんが、彼のジョブが関係しています」
アッシュ君の……ジョブ?
……考えてみればあの子、魔法は全種類使いこなしてたし……
……もしかして。
「察したようですね。そう、彼のジョブは魔法のエキスパート、”賢者”です」
……賢者。
RPGで有名な、全種類の魔法を使いこなすことができる希少ジョブ。
大体、勇者なんかとパーティ組んでるのが鉄板……って、もしかして。
「はい。彼は勇者パーティにスカウトされます」
だよね……
勇者パーティ、かぁ……RPGじゃ魔王を倒すぞー!みたいなシナリオだけど、そこんとこどうなの?
「……今はお話できません」
だよね〜。
そりゃ、こんな序盤に魔王なんていてたまるもんですか!
「……心中、お察しします」
いやいや、察するどころか心読んでるでしょ。
なんだろう、このAIと話してるみたいな感覚は……
調子狂うなぁ……
「……………」
黙りこくっちゃったし。
なら、そろそろお暇しますかね。
もう用ってのは終わりでしょ?
「はい。ただ、忠告を一つ」
忠告?またですか?
「今回はあなたに関わることなので」
私に……?
どういうこと?
「簡潔に言いますと、次の戦いに負けないでください」
次の戦い?
次っていつよ?というか、なんでそこまでわかるのよ!
「次の戦いは対人。領主のお供の兵です。アッシュとの同行を申し出た際に、力試しとしてその兵と戦うことになります」
あ、質問は受け付けない系ね。
「ここで負けてしまうと、あなたは同行を断られ、アッシュとは二度と会うことができなくなるでしょう」
二度と会えないぃ?!
なにその頭おかしいイベント!
絶対負けられないじゃん!
「はい。なので頑張ってください」
頑張れって言われても……
何をどうすれば勝てるのよ……
「それは教えられませんね」
なんで?
「面白くなくなるからです」
はあ?!
面白くなくなるって、それってあんたの希望じゃん!
「そうですよ?」
そうですよ?じゃないの!
ああもう!ほんと疲れるわ……
「あと、そろそろ時間ですがなにかありますか?」
……とりあえず、早く元の場所に帰して。
「わかりました。”God Bress U”。神のご加護があらんことを」
……今度会ったら、英語の決まり文句について聞こうかな。
そんなどうでもいいようなことを考えながら、私の意識は覚醒していく。
近い未来に起こる”危険”のことなんて考えもせずに。
お気づきいただけただろうか。
なぜ、副題が矛盾になっているのか。
どこが矛盾してるのか、分かった方はコメントで教えていただけると嬉しいです!




