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私たちの監督は14歳で、かなりヤバいっ!!  作者: フムフム竜
小学生編
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第71話 明るみになる残酷な真実と奇跡の真実

オレが殺した・・・衝撃の言葉に全員の思考が停止する。


その中でいち早く発言したのはマリーだった。


マリー「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!それが事実だとして警察は何してんのよ!!殺人事件じゃない!!ていうかその前に行方不明の届出とかされるはずでしょ!!一体どうなってんのよ、この国は!!」


森「そうやで!!一般人ならともかく城島選手はテレビにも出てるスーパースターやで!!姿を見せなくなったら誰かしらが通報しとるはずやで!!」


アスラ「アイツはオレに殺される前から自殺を考えていたようでな。自宅で遺書を書いていたんじゃないのか?もし死に場所が愛比売(えひめ)山と書かれていた場合は・・・」


中山「愛比売山だからどうしたの?捜索すればいいじゃない」


河西はハッとした顔になる。


黒崎「どうしたの?」


河西「もし死に場所が愛比売山である場合は警察は絶対に動かないし報道もされませんわ。あの愛比売山には国にとって負の遺産が眠っていると言われてますもの。過去のみならず現在も・・・国はあの山を調べられることを異常に恐れていますわ」


風谷「けどそんな噂になってるなら誰か調べそうなもんだがな。特にマスコミとかさ」


黒崎「どうかしらね?あの愛比売山は登山ならともかく森の奥に入って、生きて出た者はいないみたいよ?運よく助かった人もいるみたいだけど」


アスラ「助かっているのは大抵オレのおかげだ。自殺以外に森に入ったヤツはクマの餌食になっている」


全員がビクッと身体を震わせる。


全員「普段そこで山登りしてる私たちって一体・・・」


真野「でも城島(じょうじま)選手はどうして自殺なんか考えたんですか?話を聞く限り自殺なんか考える人には思えませんけど?」


アスラ「いわゆる現実逃避だな。理想と現実の違いを認めることができず自殺を決意したといったところだ」


真野「現実逃避?」


アスラ「お前らは知らないだろうが、城島は生まれて一度も努力をしたことがない。アイツは大の練習嫌いだったからな」


中山「えぇっ!?あの努力の塊のような人が!?」


アスラ「だからヤツがプロ野球に入った頃・・・いや高校の時にはすでに圧倒的な存在ではなくなっていた。これはオレが見て確認したから間違いない。オレが明神の話を信じた理由もこれが決め手だった」


マリー「でも高校まで無敗を貫いたんでしょ?」


アスラ「アイツには先見の明と勝負勘があった。その勘でアイツは打たれそうだと感じた時は、すべて歩かせる選択をしていた。それが上手い具合に得点を許さない結果となり無敗を貫いたに過ぎない」


三崎「言われてみれば、城島選手って結構四球の数が多かったかも・・・」


モニカ「けどそれでも勘だけで無失点に抑えるというのは奇跡デ~ス」


アスラ「まぁプロになってその奇跡も起こしにくくなったがな。ただ野球の才能はそれなりにあったから初めの頃はどうにか誤魔化してやって来れたのだろうが通用するのも時間の問題。だから自分が通用するうちに男子プロ野球に逃げて女子選手最強の称号を守ろうとしたんだろう」


風谷「そ、そんな・・・」


森「こんなん聞きとうなかったで」


アスラ「だが河西の話を聞く限り、男子プロ野球でことごとく自分の球を打ち返されて相当ショックだったのだろうな。心のどこかで男子にも自分の球が通用すると幻想を抱いていたのかもしれない」


三崎「明神(あけがみ)って人は城島選手にどんな風に人生を狂わされたの?」


アスラ「アイツは高校で城島にイジメの標的にされたのだ」


三崎「イジメの?」


アスラ「さっきも言ったように城島には先見の明があった。アイツは明神が自分より才能があることをいち早く見抜き、蹴落としにかかった。そしてその最適の方法がイジメという手段だ」


マリー「ちなみにどんな風に?」


アスラ「話によれば練習中にわざと明神の背中に当てて全治1年の重傷を負わせ、入院中にあらぬ噂を学校中に広めて明神を悪者に仕立て上げたとか。城島はすでにテレビにも出て有名人。学校でも中心人物だったようだ。だからほとんどの人間は城島の言い分を信じた。そして明神は不登校になり引きこもりになった」


次々と明るみになる城島の過去の悪行。


誰もが憧れる城島唯と同じ人物がやっているとは到底思えなかった。


アスラ「その後の明神は、高校を卒業しないで社会復帰をしたが、イジメの影響で人と話すのが怖くなり仕事も上手く行かず、精神的に追い詰められ、その挙句余命宣告まで出された。人生に絶望したアイツは自殺するため愛比売山へ行き、そこでオレと会ったのだ」


真野「それで明神さんから城島選手に復讐して欲しいと頼まれたってことですか?」


アスラ「まぁ最初からというわけではなかったがな。ヤツに死ぬ時の心構えを教えたら、突然涙を流しながらオレに懇願してきたのだ」


モニカ「死ぬのに心構えなんてあるんデスカ?」


マリー「あるわけないじゃない!!」


中山「それにしても懇願するなんてアスラ兄ちゃんが神様にでも見えたのかな?」


森「有り得へん。それやったら悪魔にすがったと言った方が正しいやろ。懇願内容も復讐なんやし」


アスラ「当然オレは断った。どこぞの知れないヤツの願いを聞いてやる程お人好しではないからな。だが何でもすると言われれば話は別。ちょうど明神の親父に配下が困っていたこともあったから、親父の秘密と交換条件で望みを聞いてやることにしたんだ」


全員「(自殺しようとしている人に対してそんなこと要求するなんて・・・本当にこの人はどこまで・・・)」


アスラ「明神の頼み事は2つ。1つは自分をここまで追い詰めた城島唯を殺すこと。そして2つ目は病院で仲良くなった子供を助けて欲しいと言ってきた。その子供は近いうちに城島に殺されるからと言ってな。明神の思惑通りその子供が車で死にそうになったから約束通り救った」


黒崎「車で死にそう・・・城島選手に殺されるって・・・もしかしてその子供って」


全員の目が河西の方へ向く。


河西は震えながら目を潤ませる。


河西「では・・・あの時、私(わたくし)を助けてくださったのは・・・」


アスラ「勘違いするな。お前を助けるよう言ったのは明神あずさだ。オレは明神が利用できるヤツだと思ったからその通りにしただけだ」


河西はボロボロと涙を流しながらアスラに歩み寄る。


頭を下げてお礼をいうものだと誰もが思ったが河西は驚きの行動に出た。


なんと突然アスラにキスをした。


突然の衝撃的な行動に周りは顔を真っ赤にして甲高い声をあげたり、顔を両手で覆ったり、意識が別の世界へ行ったりと様々な反応を見せる。


キスをされたアスラ自身もよく分からないといった感じで首を傾げる程度だった。


そんな中、竹中が慌てて河西とアスラの間に割って入った。


竹中「ちょっと!!いきなり何考えてるの!!あなたは!!」


河西「理由はどうあれ助けてくださったのは事実。従順な配下になった証ですわ。それが何か?」


竹中「じゅ、従順な配下になった証がキスって!!あなたまだ9歳でしょ!!き、き、キスなんてまだ早すぎるわ!!」


河西「そうでしょうか?御覧の通り私(わたくし)、よく中高生に間違われますの。だから全然問題ないですわ」


竹中「私は年齢のことを言ってるのよ!!外見のことじゃないわ!!」


河西「私(わたくし)をただの9歳だと思わないでくださらない?先程お話した通りそういった経験はあなたより豊富ですわよ?」


竹中「とにかくあなたはまだ9歳なの!!もっと年相応の行動を取るべきよ!!」


河西「随分とムキになっていらっしゃいますが、あなたもしかして?」


竹中「ち、違うわよ!!そ、そんなんじゃないわ!!ただあなたに小学生としての自覚を持って欲しいだけよ!!」


竹中が顔を真っ赤にして怒る。


一触即発の雰囲気の間にアスラが割って入った。


アスラ「そこまで怒ることもなかろう。オレへの忠誠心を見せるためにとった行動なのだ。忠誠心の見せ方はそれぞれ異なる」


河西「そういうことですわ。これからも異なった形で忠誠心をお見せいたしますのであしからず」


竹中「ぐぬぬぬ」


風谷「完璧に遊ばれてるな」


中山「外見もそうだけど精神的にも小学4年生とは思えないよね。生活環境の差で人ってここまで変われるものなのかな」


森「けどホンマにあんなん入れて大丈夫なんか?未だに何考えとんのかわからんで」


真野「そうですよね。私もとっても怖いです」


マリー「とはいっても仮にアタシたちがダメだって言ってもアスラ兄ちゃんが聞くわけないわ。だってアイツがアタシたちの中で一番配下ってポジションにピッタリじゃない?」


アスラ「これで城島唯という人間がどういうヤツかよくわかっただろう。こんなヤツを最強の野球選手の基準にすること自体有り得んことだ。お前らは城島唯など簡単に超えられる。明神あずさも超えられる。最強の野球選手になり甲子園優勝することもできる」


アスラの言葉に全員が頷き、最初の頃の自信とやる気が蘇る。


アスラ「それから河西、早速お前にはやらなければならないことがある」


河西「え?」


アスラ「その壊れた肩を治さねばなるまい。オレの配下にそういうことが得意なヤツがいる。ソイツに任せれば間違いない」


河西「ほ、本当に・・・本当に治るんですか?」


アスラ「ああ」


河西は涙目になりながらアスラに頭を下げる。


またキスでもするものかと全員が一瞬ドキッとなったがそれは杞憂だった。


こうして河西はあの天才医師のいる病院へ肩を治しに行くこととなった。

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