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私たちの監督は14歳で、かなりヤバいっ!!  作者: フムフム竜
小学生編
65/74

第65話 いざバスケット勝負へ

死の1on1を無事クリアした竹中はその場でへたり込み、安堵の涙を流す。


あれだけの動きを見せ、余裕さえ感じさせていた竹中でも相当の恐怖があったのが伺える。


アスラ「さてこの通り見本は見せた。次はお前たちの番だ」


アスラの言葉に全員が何度も首を振って拒絶した。


森「いやいやいやいや、無理やろ!!見てみぃ竹中さんを!!あまりの恐怖に泣いてしもうてるやないか!!」


風谷「バスケットの達人でこれだぞ!!素人同然のアタシたちにどうしろってんだよ!!」


アスラ「心配するな。ちゃんと調整してある。絶対とは言わないがお前らでも十分クリアできるレベルだ」


中山「いや、そこは絶対にしてよ!!失敗したら間違いなく即死だよ!!」


真野「こ、これはさすがにやり過ぎだと思います。最強の野球選手になるための特訓でもかなり覚悟がいるのに全く関係のないバスケットで命を張るなんて」


各々が特訓に関して猛抗議している中、黒崎はゆっくりとアスラのもとに近づきボールの提供を要求した。


黒崎「ちゃんと調整してるんでしょ?だったら私はやるわ」


アスラ「よし」


アスラは再び時空を切り裂き、手を入れる。


現れたのはやはりクマだが大きさが先程とは一回り小さく体長は150㎝ほど。


しかし、それでも大きい。


黒崎の身体は若干震えていた。


アスラ「それでは始める」


アスラがクマから手を離す。


しかし、先程とは違い突進してくるわけではなくクマは唸りながら黙って黒崎をジッと見ているだけだった。


黒崎も黙ってクマを見る。


互いに睨み合いながら5分ほど経つ。


その間、黒崎はずっとボールをついていた。


このまま永遠に続くのかと思われたその時。


クマがゆっくりと横へ移動する。


黒崎もクマと同様に横へ移動するが。


黒崎「あっ!?」


地面に落ちていた石にぶつかり軌道がわずかに変化。


一瞬ボールを見てクマとの視線を切ってしまった瞬間、クマは一気に黒崎との距離を縮めて来る。


まさに一瞬。


クマの鋭い爪が、ボールをつく黒崎の右手に。


黒崎「くっ!?」


驚異的な反射神経でクマの爪をかわした黒崎。


しかし、黒崎の手の甲にはクマの爪痕がくっきり残っていた。


後ろに下がってクマとの距離をとる。


クマも深追いすることはせず、その場に止まったまま動かない。


この光景を残りの5人は、絶望の顔で眺めていた。


風谷「じょ、冗談だろ・・・」


森「間違いなく避けたはずや。かすっただけであんななるんか」


ボールをつくたびに右手に痛みが走る。


それを理解しているのか本能でわかっているのか不明だがクマは黒崎に向かって突進。


黒崎「(速い!?)」


竹中が最初に行ったのと同様に身体を回転させてクマの突進をかわす。


それと同時にシュートを打つ。


切り返したクマはボールには向かわず黒崎の方へ再び突進。


黒崎は、シュートの精度に集中し過ぎてしまったため、クマの対応に遅れてしまう。


黒崎「(ダメだ!!間に合わない!!)」


目を瞑り、覆い被さろうとするクマに両腕で顔や首を防御しようとする。


その様子を見ている5人は各々悲鳴をあげ両手で顔を覆う。


その時アスラがクマの顔を右手で抑えて寸前のところで止めた。


アスラ「ギリギリ突破だな」


アスラの声で黒崎は目を開ける。


開けた瞬間に映ったのは、大きく口を開けるクマの顔。


ヒッ!?と顔をあげ猛スピードで後ずさった。


アスラ「よし、次だ」


この中で一番身体能力が優れている黒崎があの様子。


残りのメンバーは完全に戦意喪失していた。


アスラ「志願者がいないならオレが勝手に決めるぞ」


やはり全員がこの特訓に納得していない様子。


アスラが仕方がないと言った感じでこの特訓の意図を説明しようとするとそれを制止したのは黒崎だった。


黒崎「みんな・・・私はこの特訓は必要だと思う」


アスラに洗脳されたのかと思う黒崎の発言に周りが困惑する。


黒崎「優希は勝つためなら手段を選ばないわ。殺しだって厭わないかもしれない。先生2人をやった時も私や他の先生が止めなければ間違いなく死んでいたわ。バスケットの試合で殺しに発展するのは普通じゃ考えられないけど優希ならやる気がするの」


空想じみた話ではあるがいつになく真剣な顔で語る黒崎に誰も反論の言葉を口にする者はいなかった。


河西優希を直接見た5人にも思い当たるところはあったからだ。


殺し合いと言った時の河西の目。


あれは、狂気に満ちていた。


5人とも覚悟を決めて、1歩前へ踏み出す。


風谷「順番はアスラ兄ちゃんが決めてくれ」


森「クマと対峙するんは嫌やけど、バスケットで死体になるんはもっと嫌や」


真野「し、死の1on1お願いします」


中山「野球の特訓も最後はこんな感じになるのかなぁ。今から考えるとメチャクチャ怖くなってきた」


三崎「できれば、3番目がいい」


こうして死の1on1の特訓を5人全員が受けることに。


しかし、黒崎のように死の1on1を1回でクリアすることは難しかった。


風谷と三崎はクマに怯えて開始直後にシュート。


中山と森は開始直後にボールをクマに向かって投げた。


森「やっぱ怖いわ。クマ相手なんて無理やで」


中山「そもそも平常心を保つのだって大変だよ。私なんて特訓の突破方法だって忘れるくらいだもの」


三崎「無理」


風谷「この特訓に馴れは存在しない。実際やってよくわかった」


真野「い、いよいよ私の番ですね」


森「無理はせんといた方がええで」


真野「だ、大丈夫です」


身体を小刻みに震わせながら真野がボールをつきながら身構える。


ただ真野の目は他の4人とは違っていた。


アスラ「(身体は恐怖しているというのに目は死んでいない。アイツ・・・この特訓の突破方法を見出したのか?)」


クマを離し、特訓がスタート。


開始直後からクマが咆哮をあげながら突進してくる。


真野「死の1on1。攻略法はあるんです」


アスラ「なんだと!?」


全員「えぇっ!?」


真野「それはこれです!!」


真野は咄嗟にポケットからクマスプレーを噴射する。


全員「えぇぇぇぇっ!?何でそんな物を!?」


もろに喰らったクマは手で自身の顔を叩くような仕草を見せる。


その隙にドリブルで抜け出してシュートを決めた。


真野「私、毎日山登りの特訓をするから、常にこれ持ち歩いてるんです。特訓の時はクマが出ないようにしてくれてるのは知ってるんですが何かこれ持ってると安心するんです」


まさかの攻略法にアスラも驚きを隠せなかった。


アスラ「そんな裏技があったとはな。確かに道具の使用は禁止してない。これは見事だ。しかし、その突破法では得られるものはない。突破法を見出したのは評価するがな」


それには真野も賛成なようで素直にそこは認めた。


結局、特訓は何度も続けられたが黒崎以外で突破した者はいなかった。


ただ、収穫がなかったわけではない。


5人とも背後から迫って来るクマをドリブルで1度は抜けるくらいにまでは上達したからだ。


これは本格的に危ない場面で常にアスラが助けていたことが大きい。


アスラ「突破者が黒崎1人というのは実に情けない話だが、死角からの攻撃を避けながらドリブルをすることができただけでもよしとする。この特訓の目的は主にそれだからな」


ほとんどが疲れきっていてアスラの言葉を聞く余裕などなかったが構わずアスラは話を続ける。


アスラ「いいか、ボールを持っていようがいまいが常に自分の身を守ることを考えろ。スキを見せれば死が待っている。そう思って試合に臨め」


アスラの言葉は聞こえていなかったが全員が共通して思っていたことがある。


それはこの特訓が生きる時が来ないで欲しいということだ。


その後はバスケットボールを使っての近距離ノック。


10球連続で捕れなければ最初からやり直しの地獄のノックだ。


終了予定ギリギリで成功したのは黒崎だけだった。


ただ・・・さらに上の段階があることをアスラは示唆していたことに全員は驚愕した。


そして、体育館貸し切りの日・・・決戦の時が来た。


アスラを先頭に体育館に乗り込む。


思った通り、そこにはバスケットをしている河西たちがいた。


河西はアスラたちの存在に気付くと不敵な笑みを浮かべてやって来る。


河西「あらあらお揃いでようこそ。イリーナも一緒とはね」


黒崎「しらじらしいのは辞めて。この体育館を貸し切りにしてるのは誰だと思ってるの」


河西「これは失礼しましたわ。それでは勝負を始めましょう。あなた達が負けた時は、貸し切りの契約は無かったことにしていただきますわ。私(わたくし)たちが負ければ、このまま身を引いて差し上げますわ」


風谷「よし、それでいいぞ」


森「異議なしや」


アスラ「ダメだ。その程度の条件では甘すぎる」


突然の横やりに全員がえ?といった感じでアスラを見る。


何かを感じ取ったのか河西の目が一気に鋭くなる。


河西「な~るほど、あなたがアスラ様・・・ですか。ふふふ、ずいぶんと可愛らしい方ですね」


アスラ「可愛い?強そうの間違いだろ」


河西「これは失礼しました。どうやら強く見られるのがお好きなようね」


アスラ「当たり前だ。弱く見られるより強く見られた方がいいに決まってる」


河西「ふふふ、ではあなたのお望み通り条件を厳しく致しましょう。もし私(わたくし)たちが勝てば、あなた達は今後一切野球をしてはいけない・・・というのはどうでしょう?」


中山「なっ!?」


森「なんやて!?」


真野「どうしてそんなことになるんですか!?」


河西「あらあらスゴい慌てようですわね。イリーナがバレーで負けて野球を始めたって噂が本当かどうかずっと気になっていましたけど、今の反応を見て確信いたしましたわ。噂は本当のようですわね」


笑っていながら黒いオーラが見えるような禍々(まがまが)しさが伝わってくる。


河西「私(わたくし)が唯一ライバルと認めたイリーナ・・・それなのにバレーから野球に転向させられただけでは飽き足らず、最強の野球選手などといった夢物語に無理やり付き合わされている。とても見ていられませんわね」


黒崎「言っておくけど私はバレーを辞めた覚えはないわよ。バレーもやるし野球もやるわ。私はどちらとも最強を目指すつもりよ」


黒崎の言葉に河西は目を見開き驚いた表情になるが、またニヤリと笑みを浮かべる。


河西「どうやらイリーナもそこの方たちに染められてしまったようですわね。ではこの勝負は、あなた方の目を覚ますいい機会になりそうですわ」


アスラ「いいだろう。オレたちが負けたら二度と野球はやらない。約束してやる」


全員「えぇぇぇぇっ!?ちょ、ちょっと!?」


アスラ「ただし、逆にお前が負けたら黒崎と同じように最強の野球選手を目指してもらおう」


河西の顔が一瞬固まった。


いつも不気味な雰囲気を漂わせていた河西が真顔になりアスラの顔をまじまじと見る。


アスラ「嫌なら別にいいんだぞ。さっきのバスケットの練習を見て、オレもそこまでして惜しい逸材とは思わなくなったしな」


全員「え!?」


全員が耳を疑った。


あの黒崎が認めるほどの身体能力を持つ者が惜しい逸材ではない?


挑発のために言っているとしか思えないが、アスラが挑発のために虚勢を張るとも思えなかった。


一方の河西は、相変わらず笑みを崩さない。


河西「ふふふ、面白いですわね。その勝負・・・乗ってさしあげますわ。私(わたくし)にこのような勝負を提案したことを後悔させてやりますわ」


アスラ「後悔するのは間違いなく、お前だ。お前のような中途半端なヤツにオレが負けるわけがない」


互いに火花を散らせ、バスケットの勝負が始まる。

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