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第23話 二等

 翌日の朝。

 ニーナはベッドの上で目を覚ました。


 勝利の後、ニーナは疲労で倒れてしまったのだ。


 試合内容を思い出そうとして……ニーナは身震いする。

 もう二度と蛞蝓とは戦いたくない。


 とりあえず、ニーナは自分のステータスを確認してみることにする。


 


レベル:30


生命力:265+45

旋律力:390+45 

筋力:200+45 

魔力:390+45

耐久力:200+45

耐魔力:390+45



魔力質:A-

魅力:A-

直感:A

理性:B+

幸運:A

運命:E


称号・加護・技能

・格上殺し×2……レベル差分の二倍の数値がステータスに加算される

・打たれ強い疾風の短剣使い+10……短剣装備時、筋力、旋律力、耐久力に+10の補正が掛かる

・打たれ強い疾風の槍使い+10……槍装備時、筋力、旋律力、耐久力に+10の補正が掛かる

・打たれ強い疾風の剣使い+10……剣装備時、筋力、旋律力、耐久力に+10の補正が掛かる。

・雷使い……雷の魔術を使用したとき、使用魔力三割減、威力三割増加、電気耐性三割増加。

・魔物殺し+10……敵が魔物の時、全ステータスに+10

・オーク殺し+2……敵がオークの時、全ステータスに+2

・ゴーレム殺し……敵がゴーレムの時、全ステータス+1

・ヘカトンケイル殺し+5……敵がヘカトンケイルの時、全ステータスに+5

・スライム殺し……敵がスライムの時、全ステータスに+1

・蛞蝓殺し……敵が蛞蝓の時、全ステータスに+1

・怒りの一撃……憤怒時、攻撃力倍加

・男の敵+5……敵の性別が男性、または雄の時、全ステータスに+5

・腹パン(され)マスター……腹部(内臓)に攻撃されたとき、ダメージ二割減。

・腹パン(される)天才……腹部(内臓)に攻撃されたとき、ダメージ半減。

・露出性癖+10……履いていない時に全ステータスに+10

・被虐性癖+10……性的興奮時、耐久力に+10

・変えられてしまった体+10……全身の感度上昇、性欲増進。全ステータスに+10

・媚薬中毒+10……媚薬摂取時、全ステータスに+10

・屈辱の背徳+5……屈辱を感じた時、全ステータスに+5、および性興奮。

・戦闘狂+10……戦闘時、全ステータスに+10、および性興奮。

・ゲロイン+10……吐瀉後、全ステータスに+10

・魔力操作……魔力を呼吸するように操作できる

・属性付与……呼吸をするように武器に属性を付与できる

・二重属性付与……呼吸をするように二重属性の付与ができる

・心眼(洞察)……敵の本質を見抜く

・心眼(攻撃)……攻撃時に最適解を導き出す

・心眼(回避)……回避時に最適解を導き出す

・心眼(防御)……防御時に最適解を導き出す 




 「ま、また失礼なのが増えてる上に全体的にパワーアップしている……」


 どうやらあの蛞蝓の粘液塗れになったのが良くなかったようだ。

 『変えられてしまった体』と『媚薬中毒』がパワーアップを遂げている。

 加えて『屈辱の背徳』という、割と酷いスキルまで追加されている。


 「ま、まあ……おかげでステータスは上がってるけどさ……」


 昨日の媚薬が残っているらしい、ニーナの体は現在進行形で『露出性癖』『被虐性癖』『変えられてしまった体』『媚薬中毒』『屈辱の背徳』の五つが働いている。

 

 そのおかげ(?)というべきか、基礎ステータスが+45も増加している。


 これに『戦闘狂』『魔物殺し』『ゲロイン』『打たれ強い疾風の(略)』『格上殺し』等が発動すれば、さらに上乗せできる。

 もっとも、ニーナの敵の多くはニーナよりもステータスが全体として二倍ということがザラなので、焼石に水ではあるのだが。


 「有用なのは『怒りの一撃』かぁ……」


 あの蛞蝓に関しては、半分怒りのパワーで勝ったようなものだ。

 もっとも、ニーナはさほど怒りっぽいタイプではないのでこのスキルがどれだけ役に立つのかはイマイチ分からないが。


 と、そこでドアが開いて。

 もはや顔を確認するまでもない。


 相手の正体は分かっている。

 オーナーだ。


 「二等奴隷への昇格、おめでとう。ニーナ君」

 「はい、ありがとうございます……うん?」


 ニーナ君?


 メアは目を見開いた。

 オーナーは首を傾げる。


 「どうかしたかな?」

 「……いつもの番号呼びはどうしたのですか?」

 「二等奴隷……人としての権利のほとんどを持つ君を、まるで家畜か便器のように番号で呼ぶのは失礼だろう」


 あー、今までお前の中では私って家畜か便器だったのね。

 ニーナは内心で思ったが、口には出さなかった。


 「知っての通り、二等奴隷は土地を除く財産の所有が認められている」

 「はい」

 「あと三回、勝てば一等奴隷だ。一等奴隷になれば土地の所有と……そして自分を買い戻す権利が与えられる。頑張りたまえ」


 もっとも……

 とでも言うようにオーナーはニヤリと笑う。


 「そろそろ、いい加減君には負けてもらいたい」

 「はぁ、そうですか」

 「だから次の相手は相応の実力者を用意した」

 「実力者……」


 実力()

 つまり久しぶりの人が相手となる。


 「そんなにレベル差があるんですか?」

 「いや、そういうわけではない」

 

 ニーナは首を傾げた。

 レベル差がないということは……


 「彼は非常に素晴らしい、スキルを持っている。まあ、君と同じだろう」


 オーナーはニーナの連戦連勝はニーナが持っているスキルによるものだと思っているようだ。

 

 「ちなみに彼は戦争捕虜だ。顔もさほど良いわけでもないし……まあ、殺してくれても構わない。もっともそんな余裕があればの話だがね」


 ハハハハハハハ!!


 オーナーは大笑いした。

 何となくニーナは「ちょっとフラグっぽいなぁ」などと内心で思った。


 「ああ、そうだ。二等奴隷になった君は金銭報酬を受け取れるようになった。次の試合で勝てば、相応の報酬を出す」

 「本当ですか?」

 「無論だとも。加えて、ファンからもお金を貰えるようになった。もうすでに祝い金が来ているから、受け取りに来たまえ」


 そう言ってオーナーはその場から立ち去った。






 さて早くも一週間後、次の試合が行われた。


 「さあ、皆さん。今回のニーナちゃんのお相手は、あの伝説の生まれながらの天才剣士、ヴィルヘルムだ!!」


 大歓声が沸き上がる。

 観客席からは「ヴィルヘルム様!!」などという黄色い歓声も上がる。

 どうやらそれなりに人気者のようだ。


 ニーナは若干不機嫌になった。

 普段は観客席は良くも悪くも、ニーナ一色だというのに。


 「君がニーナ君か」

 「ふーん、タイプじゃないですね」

 「はい?」

 「顔の話……いえ、何でもないです」


 これで相手がイケメンだったらニーナも少しは気の迷いというものが出てくるが、割と顔は普通だった。

 これなら遠慮なくボコボコにできる。


 それから司会はヴィルヘルムのステータスを公表した。


レベル:35


生命力:400

旋律力:300 

筋力:500 

魔力:200

耐久力:400

耐魔力:350



魔力質:D

魅力:C

直感:B

理性:C

幸運:C




 どうやらステータス差はあまり無いようだった。

 とはいえ、ニーナのようにスキルによって何らかの補正があるのかもしれない。

 オーナーの言う、「稀有なスキル」というのも気になる。


 「ヴィルヘルム選手はスキル『剣術』を保有しています。流れるような美しい剣術で常に敵を翻弄し、ステータスが上の相手を倒してきました。さすがのニーナちゃんも負けてしまうかもしれませんねー」


 などと司会は言う。

 どうしてか、普段よりもテンションが低い。


 まるで「まあ結果は目に見えているけど」みたい言外に言っているようだった。


 「君のことは知っている。もしかしたら、君も僕と同じようなスキルを持っているのかもしれない」

 「さあ、どうでしょうかね」

 

 ニーナは適当にはぐらかす。

 少なくとも『剣術』などというスキルは持っていない。

 

 まあ先天的に持っているという意味では、前世の知識も『スキル』と言えなくもないが。


 「悪いが、勝たせてもらう。僕は国に帰らなければならないんだ」

 「あー、それは難しいんじゃないですかね?」

 「それはやってみなければ分からないだろう」


 いや、分かる。

 なぜなら、この闘技場は帝国政府が運営しているからだ。

 あの帝国政府が「敵国の優秀な兵士」を解放してくれるほど優しいはずがない。


 おそらく最終的に絶対に勝てない相手が用意されるのだろう。


 まあ、そういう意味ではニーナも解放させてもらえるか怪しいところはあるのだが。


 「では……試合を開始します。……始め!!」


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