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第17話 予想通り

 「ニーナはどういうのが欲しいんだ?」 

 「私は旋律力を生かした戦い方が基本ですし、重いのはダメです。でも最低限、お腹と頭は守りたいと思っています」


 ニーナはそう言いながら、店の中にある防具を物色する。

 一番軽く、薄そうな胴当てを手に取ってみるが……やはり重い。


 「鉄製品はダメですね」

 「嬢ちゃんの相手が刃物を使うことはあまりないだろうし、布製のやつにしたらどうだ?」


 マルクスが提案した。

 運営側はニーナを負かしたいと思っているが、殺したいとは思っていない。

 敗北後に起こることまでを含めて見世物なのだ。

 死なれたら見世物として成立しない。


 それにニーナはもう多くのファンがいる。

 金の卵を産むガチョウを殺すような愚かな真似はしない。

 

 そのため敵となる相手は、打撃攻撃か魔法攻撃に限られる。

 

 「布ですか? でも、それで防御力って上昇するんですか?」

 「これなんて、良いんじゃないか?」

 

 そう言ってグレイブが手に取ったのは、白い腹巻のようなものだった。

 

 「蜘蛛型の魔物の糸の繊維を使って作られているらしい。軽いし、衝撃にも強い」

 「へえー」

 

 ニーナはその腹巻のようなものを手に取ってみた。

 確かに軽い。


 試しにお腹に巻いてみて……


 「ハッ!」


 自分で自分のお腹を殴ってみた。

 強く殴ったため、相応の衝撃が腹部に走る。


 「痛い……でも、軽減されてますね」

 「……食ったばっかだろ、嬢ちゃん。大丈夫か?」

 「胃に魔力を流して、消化を早めました」

 「魔力操作でそんなことできるのか、初めて知ったぞ」


 グレイブとマルクスは呆れ顔を浮かべた。

 

 次は頭を守る防具だ。

 ニーナは試しに鉄製の兜を被ってみるが……


 「うーん、重い」

 「だろうな」


 少なくとも兜は無し、ということになる。

  

 「そもそも兜とか、帽子は顔や髪が見えなくなるから、使えない可能性が高いぞ」

 「そうですか?」

 「ああ。お前の顔と髪を見に来ている客も多いだろうし」


 グレイブの意見になるほどとニーナは頷いた。 

 せっかく買ったのに使えないようでは意味がない。


 「じゃあ、嬢ちゃん。こいつはどうだ?」

 「それは……ピアス、ですか?」

 「ああ。頭への衝撃を緩和する魔術が込められている装飾品だ。少し高いが……これなら動きも阻害されない」

 「……良いですね」


 言われるままにニーナはそれを購入した。

 そして次に武器を扱う店に赴き、ニーナは残ったお金を全て使って投擲用の短剣を五本購入した。


 「そんなんで良いのか、嬢ちゃん」

 「ええ、残ったお金じゃ大したものは買えませんし」


 投擲用の短剣ならば軽い上に、安いのでたくさん買える。

 元々遠距離攻撃手段が欲しいと思っていたニーナにはちょうど良かった。


 




 「今日はありがとうございます」


 買い物を終え、闘技場に帰ってきたニーナは二人に頭を下げた。

 そして笑みを浮かべて言った。


 「私が奴隷身分から解放されたら、出世払いという形でお礼をさせてもらいます」

 「それは楽しみだな」 

 「頑張れよ、嬢ちゃん」


 



 さてそれから二週間後。


 「まあー、予想はしていたけどね。うん」


 ニーナは苦笑いを浮かべた。

 以前、オークを倒した後の敵は複数のオークだった。

 では……ヘカトンケイルを倒した後の敵は?


その答えは……

 



名前:ヘカ次郎

性別:オス

種族:魔物/ヘカトンケイル

身分:家畜

職業:戦士


レベル20


生命力:350

旋律力:100

筋力:350

魔力:50


耐久力:350

耐魔力:100



魔力質:C-

魅力:E

直感:D

理性:D

幸運:C

 




名前:ヘカ三郎

性別:オス

種族:魔物/ヘカトンケイル

身分:家畜

職業:格闘家


レベル25


生命力:400

旋律力:200

筋力:350

魔力:50


耐久力:300

耐魔力:100



魔力質:D

魅力:E

直感:D

理性:D

幸運:C

 

 

名前:ヘカ四郎

性別:オス

種族:魔物/ヘカトンケイル

身分:家畜

職業:魔法使い


レベル25


生命力:100

旋律力:150

筋力:80

魔力:250


耐久力:100

耐魔力:400



魔力質:C+++

魅力:E

直感:D

理性:D

幸運:C+

 

 



 「やっぱり数が増えた……」


 ニーナはため息をついた。

 今回も一筋縄ではいかなそうだ。


 だが……一筋縄ではいかない相手は今回に限った話ではない。

 そしてすでにヘカトンケイルの間合いはある程度分かっている。


 「油断をせず、冷静に対処すれば勝てる」


 ニーナは愛用の槍を構えた。

 そして試合の始まりを示すゴングが鳴った。


前々回で解説を入れ忘れたので、今更解説


種族:人間/????……『????』の中にはエルフとか、ドワーフとかが入る。つまり一般的なヒューマンではない。ただ、この設定は作者が「普通の女の子だと面白くないから、変わった種族にしたろ!」程度の感覚でいれたので、さほど物語には関係ない


属性:混沌/中立……悪か善かと言われれば、どっちでもないから中立。ぶっちゃけ、自分の利益になれば悪事もするが、むやみに人を殺したりとかはしない。混沌なのは奴隷身分に落とされた反動。秩序(奴隷制度)なんて、くそくらえと思っている。


性格:被虐/楽観……基本、『被虐』『加虐』『両属』の三種類しかないので、別にニーナちゃんが凄いマゾというわけではない。どちらかと言えば『被虐』ということ。誰だってそういうことはある。(ただし最近はちょっと目覚めてきている感があるが)『楽観』は、まあそんな性格じゃないと、こんな生活やってらんないだろうというところがある。人生、何とかなるだろうと思っている。酷い目に合っても、『楽観』だから引きずらない。切り替えて生きていける。常に前向き。


性質:妖/獣……『妖』は種族に由来する。固定値が比較的、高ランク(主に魔力や魅力など)なのは『妖』だから。『獣』は作中で書かれた通り、ニーナちゃんは三大欲求以外の欲求を持っていないので、良くも悪くも動物に近い。ちなみに『獣』の項目は、場合によっては変化することもある。俗世に塗れれば『俗』になる。


運命:E……奴隷にさせられたりと、生まれながらにして過酷な運命が決まっている。もっとも、幸運がAなので、最悪の事態にはならない。不幸中の幸いが多い人生。漫画とかラノベとかの主人公はやたらと面倒ごとに巻き込まれるたりと『不幸』なのに、戦闘中とかは主人公補正で妙に『幸運』になったりするが、それは『運命』が低くて、『幸運』が高いからだと、勝手に思っている。つまりニーナちゃんは不幸系の主人公補正割増型の主人公。

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