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第13話 VSスチールゴーレム

 「試合、開始!!」


 司会の言葉と同時にゴングが鳴る。

 

 (……まずは耐久力150がどんなものか、試してみるかな)


 これから戦う相手はこういう相手も多いだろう。

 そう思ったニーナは小手調べと言わんばかりに、槍を構え、スチールゴーレムへと突進する。


 ピコピコ、とスチールゴーレムが機械音を出す。


 魔力操作で身体能力を強化した一撃を、見た目弱そうな関節部分に叩き込む。

 甲高い金属音が闘技場に響く。


 「っく……」


 ジン、とした痺れがニーナの両手に響く。

 想像以上に硬い。

 

 「『ハンゲキ シマス』」


 スチールゴーレムがそんなことを言った。

 次の瞬間。


 「え?」


 スチールゴーレムの胴体が突然開き、そこから鎚のようなものが出現したのだ。

 それはニーナの腹部へと、真っ直ぐ迫る。


 慌ててニーナは体を反らし、避けようとするが……

 それが良くなかった。


 腹筋に守られている腹部から少しそれた部分。

 脇腹に攻撃が当たってしまったのだ。


 「――」


 悲鳴すら上げることができず、ニーナは大きく吹き飛んだ。

 背中から地面に叩きつけられ、再び内臓に衝撃が走る。


 「――ッ、あ、っく、ふぅ……」


 地面の上をニーナはのたうち回った。


 (ゆ、油断、した……)


 小手調べ、などするんじゃなかった。

 脂汗を流しながら、ニーナは何とか立ち上がる。


 スチールゴーレムはすぐそこまで迫っていた。

 ニーナは冷や汗を掻きながらも、それを避ける。


 幸いにもスチールゴーレムの動きは機械的で単調。

人間とは、というより生物とは異なる動きをするということを除けば避けられないほどでもない。


(……お腹の痛みも弱まったし、そろそろ反撃するか)


ニーナは槍に魔力を纏わせる。

まずはもっとも威力のある炎を使う。


「はぁああああ!!」


ニーナは気合いの声を上げ、スチールゴーレムの腕の関節部分に槍を振り下ろした。

キン、と再び金属音。

それからギシギシと軋む音がして……


「よし!」


ゴーレムの腕が吹き飛んだ。

千切れた腕にはまるで血管のようなコードが飛び出ており、そこからバチバチと電気のようなものが迸っていた。


(……ゴーレム、というよりロボットだな)


そこでニーナは思いついた。

 

(機械なら、水に弱いはず)


そんな前世の知識を思い出し、ニーナは水の魔術を使う。

 武器付与の魔術以外はまだ威力不足だが……水を掛ける分は問題ない。


 ニーナは空中に水球を作り、水をスチールゴーレムに浴びせる。

 できれば傷口からショートしてくれればいいのになぁ……

 とニーナは思っていたが、すでに傷口は塞がれていた。


 そのせいか、スチールゴーレムの動きに変化はない。


 「ちなみにスチールゴーレムは耐水性仕様ですから、ただ水を掛けただけでは止まりませんよー」


 司会の小馬鹿にしたような声がニーナの耳に届く。

 一瞬だけ、ニーナはイラっとした。


 「これは、想定内!」


 ニーナはそう叫び、槍に魔力を纏わせる。

 今度は吸熱魔術だ。


 ニーナが槍を振るうたびに、スチールゴーレムの体に被った水が凍りつく。

 無論、薄氷でスチールゴーレムの動きは止まらないが……

 だんだんとスチールゴーレムは冷えていく。


 (スチールゴーレムの構成材質が、名前の通りスチール()だったのなら……)


 次にニーナは槍に炎を纏わせる。

 そして先程、ニーナの腹部に強烈な一撃を与えた鎚が出てきた場所に槍を突き立てた。

 

 武器を格納する都合上、そこは空洞になっており、関節部分と同様に脆かった。

 槍がゴーレムの腹部に突き刺さる。


 「くらえええええ!!!」


 ニーナは全力で魔力を放ち、火力を上げた。

 炎がゴーレムの体を覆う。

 それからスチールゴーレムが反撃する前にニーナは槍を手放し、その場から離れる。


 「スチールゴーレムは確かに魔力攻撃に弱いですが、ちゃちな炎で負けるほど弱くはないです……え?」


 司会の口から困惑したような声が漏れた。

 思わずニーナはほくそ笑む。

 

 (金属は冷やせば収縮し、熱で膨張する。冷却した金属を急に熱すれば……金属で構成された機械は異常を起こすはず!)


 ニーナの狙い通り、スチールゴーレムの動きが悪くなった。

 その後動きが鈍くなり、加えて収縮と膨張を繰り返したことで脆くなったスチールゴーレムへ、ニーナは剣や短剣で攻撃を加える。


 もはやスチールゴーレムの行動パターンは完全に読み切っており、ニーナの敵ではなかった。


 最後にゴーレムは異音を立てながら…… 

 動かなくなった。


 「勝者、ニーナ!!」


 司会が勝利宣言をした。

 

 




レベル:10


生命力:42+2

旋律力:74+2

筋力:29+2

魔力:70+2

耐久力:30+2

耐魔力:70+2


魔力質:A-

魅力:A-

直感:A

理性:B+

幸運:A


称号・加護・技能

・格上殺し……レベル差分と同数の数値がステータスに加算される

・疾風の短剣使い+2……短剣装備時、筋力に+2、旋律力に+2の補正が掛かる

・疾風の槍使い+2……槍装備時、筋力に+2、旋律力に+2の補正が掛かる

・疾風の剣使い+2……剣装備時、筋力に+2、旋律力に+2の補正が掛かる。

・魔物殺し+2……敵が魔物の時、全ステータスに+2

・オーク殺し+2……敵がオークの時、全ステータスに+2

・ゴーレム殺し……敵がゴーレムの時、全ステータス+1

・男の敵+2……敵の性別が男性、または雄の時、全ステータスに+2

・腹パン(され)マスター……腹部(内臓)に攻撃されたとき、ダメージ二割減。

・露出性癖+2……履いていない時に全ステータスに+2

・被虐性癖+2……性的興奮時、耐久力に+2

・戦闘狂+2……戦闘時、全ステータスに+2、および性興奮。




 「……変態が強化されている」


 思わずニーナは奴隷服の丈を触った。

 もしかして履いていない上に短い丈の服を着ているのが良くないのだろうか、などと今更なことを考える。


 (……履く? でもなー、やっぱり違和感あるし。スースーしている方が涼しくて良いし……それにステータスが伸びるなら、まあ、良いか)


 結局、履かないことを決めた。




 次の試合は一週間後だった。 

 少し肌寒くなってきたが、体を動かせば熱くなる。


 いつものようにニーナが体を鍛えていると……

 例の二人組が現れた。


 「よお、ニーナ」

 「いつも、精が出るな。お嬢ちゃん」


 グレイブとマルクスだった。


 「嬢ちゃんは次勝てば、三等奴隷か?」

 「はい、そうなります。これで忌々しい鉄球からはおさらばです」

 

 ニーナはそう言って足を少し動かす。

 ニーナの左足を常に阻害する、金属の玉だ。


 試合や労働の時は外してもらえるが……日常生活ではつけたままだ。

 正直なところ鬱陶しい。


 「三戦目はきっと、かなり強い相手だ。気をつけろよ、ニーナ」

 「はい、まあ……でも大丈夫ですよ」


 オーク四体もスチールゴーレムも、今までの相手と比べれば大したことはなかった。

 油断せずに対処すれば勝てる相手だ。

 

 次も確かに強い敵が出てくるだろうが……

 それでも勝てるはずだ。


 「何しろ、私は今まで連勝してきましたからね。勝ってみせますよ」

 

 ニヤリ、とニーナは笑みを浮かべてみせた。






 さて、試合当日。

 ニーナはあんぐりと、口を開けていた。


 ニーナの相手はオークと同様に人型の敵だった。

 しかし……まずデカい。

 ニーナよりも一回り大きかったオークよりも、さらに一回り大きい。

 何しろ、腕がニーナの胴体と同じくらい太いのだ。


 さらに体色は青く、皮膚は見るからに分厚そうだ。

 極めつけには腕が右と左に三本、合計六本もあった。


 そしてそのステータスは……


名前:ヘカ太郎

性別:オス

種族:魔物/ヘカトンケイル

身分:家畜

職業:魔法戦士


レベル20


生命力:300

旋律力:150

筋力:300

魔力:150


耐久力:300

耐魔力:300



魔力質:C++

魅力:E

直感:D

理性:D

幸運:C+




 人生、舐めてました。

 ごめんなさい、本当にごめんなさい。

 許して、お願いだから。

 こんなのムリムリムリ!!!


 ニーナは死んだような目で思った。


ゴーレムさんは本当はもっといろいろな武装を持っていましたが、運営側が「もっと面白くしよう」と言い出して武装を取り外し、代わりに大人の玩具を装着させたせいで、戦闘能力がガタ落ちしました

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