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おむすび屋、虎さん。 第22話 異世界コンテスト!? 勝負むすびは勝てるのか



ある朝。屋台の天幕に、一通の封筒がぶら下がっていた。


> 「“第一回・異世界グルメ頂上決戦”へのご招待……?」




ルゥナが読み上げると、虎さんはむすび片手に目を細めた。


> 「まーた、どっかの貴族の道楽か?」




だが、その賞品には思わず二度見した。


> 『優勝者には、“神米・五穀煌ごこくこう”一年分と、旅の許可証を贈呈』




「……神米、だと?」


虎さんが微かに頬を引き締めたその表情を、ルゥナは見逃さなかった。



会場は王都の特設広場。

世界各地から集まった料理人たちが、自慢の腕を振るっていた。


派手な魔法を使ったスープ職人。

炎と踊るバーベキュー将軍。

香草を空中で調合するエルフの料理師――


ルゥナは圧倒され、虎さんにささやいた。


> 「こ、こんな人たちの中で、ただのおむすびって……!」




> 「ただの、じゃねぇさ」




虎さんは、かまどの前に立った。

選んだ米は、村のばあちゃんが届けてくれた在来米。

具材は――梅干し、焼き鮭、こんぶ、味噌、そして塩。


そう、“五種むすび”。

今まで旅で出会った味を、すべてひとつの皿に――“むすんだ”。



審査員がむすびを手に取り、ひとくち。

その瞬間、皆の表情が変わった。


> 「……あたたかい……」




> 「これは、“味”というより……“記憶”だ」




> 「食べるたびに違う誰かの想いが流れ込んでくるような……」




最後の審査員は、年配の料理長だった。

一口食べると、ぽろりと涙をこぼした。


> 「……これは……昔、母が……戦場に向かう父に渡していた……あの、むすびと同じ味だ……」




静まり返る会場。


だが次の瞬間、割れるような拍手が起こった。


> 「優勝は……屋台『おむすび屋、虎さん』!」





表彰式を終え、米袋と証書を抱えるルゥナが叫ぶ。


> 「虎さん、やったねっ!」




> 「まあな」




虎さんは、どこか照れくさそうに頭を掻く。


> 「だが、むすびの本番はこれからだ。

この米で、もっと多くの人間の“記憶”を握らなきゃならねぇ」




ルゥナは笑って頷いた。


> 「うん。じゃあ、次のむすびは――どんな人に届けようか?」






技や派手さじゃない。

人の想いを“むすぶ”味こそが、真の力になる。









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