温泉地発見。
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カインは温泉を前に小躍りしたい気分だった、ぽこぽこと湧き上がる湯、立ち上る湯気、硫黄の匂い、どれもが懐かしく、温泉につかった時の心地よさの記憶がよみがえってくる。カインの妄想の中ではすでに湯上り後の冷えたビールを飲んだ時の爽快感までもが再生されていた。
今すぐにでも温泉につかって手足を伸ばしたいと湯だまりに向かって踏み出そうとすると、後ろから羽交い絞めにされ抱きかかえられた。カインを抱きかかえ静止させたのは、サーシャであった。サーシャはカインを見つめながらプルプルと頭を振り進むのを阻止する。
カインは抵抗し手足をバタバタさせたが思いのほかしっかりと抱きかかえられていて振り払う事が出来なかった。
「カイン様?ここが温泉なのですか?湧き出ているのは湯のようですが、あたり一帯に漂っているこの卵の腐った匂い危険としか思えません」
いつもはカインのやる事なす事、もろ手を挙げて賛成してくれるララが厳しい表情で危険だと言っていた。カインは助けを求める様にバルビッシュとガーディを見るが二人も同じように周囲を警戒していた。多少湯気がたって靄がかかっている場所もあるがほぼ100m先まで見通せて魔物などが見当たらない。カインには何が危険だと言っているのか理解が出来ず、不快感でいっぱいだった。
「ごめん、ここのどこが危険に見えるの?ただ温泉が沸き上がっているだけじゃない?中には湯気が沢山上がって温度の高そうな湯だまりがあるけどそれ以外は別に危険はないでしょう?」
「すみません、カイン様。自分達には周囲が危険としか感じられないのです。所何処から吹き出る蒸気、炎が無いにもかかわらず暖かい地面、そしてやはりこの匂いが危険としか感じられないのです」
カインはバルビッシュの言葉にようやく納得がいった。かの黒い卵で有名な観光地も目の前に広がる景色と同じで“地獄谷”と呼ばれていたのを思い出した。カインには地球時代の記憶と知識があり、目の前の一つひとつが安全だと判断できる知識がある。しかしバルビッシュ達は始めてこの光景に遭遇し、普通では感じる事のない匂いや現象に安全と言えるだけの経験がないのだ。
『うぉーどうすればバルビッシュ達を説得できるだけの証拠を出せる?いつもの【勇者様の書】?いやいや、本に書かれている内容と同じって、だけじゃ無理だろう。【賢者様の書】?いやいや、バルビッシュ達も読めちゃうから書いてない事がばれる。あ~~、おっ、そうだ』
カインを抱きしめているサーシャの手を軽くタップしながら「もう大丈夫」と伝え開放してもらう。そして【魔法の腕輪】から脳内で一人かの有名な青色のロボットが道具を取り出すときの効果音をかなでながら【解析の眼鏡】と取り出した。それをバルビッシュに差しだし周囲を確認するようにお願いをする。
バルビッシュは【解析の眼鏡】をカインから受け取り掛ける、大きさ自動調節機能が付いているのでバルビッシュの少し大きな顔にもピッタリな大きさになった。バルビッシュは周囲を見渡しながら確認したい場所を見ては【解析】、【解析】と何度も確認するのだった。数分同じことを繰り返し【解析の眼鏡】を取り外すと自分に視線が集まっているのに気付き、口を開いた。
「カイン様の言われる通り、大きな危険は無い。所々岩に黄色い物が付着している所から噴き出している蒸気の所に近づかなければ害は無いだろう…」
「どうしたのバルビッシュ?」
「いや、あちらと、あちらの湯の泉なんだが特殊な効果があってな…まあ、黙っていてもしょうがないが」
バルビッシュは再度【解析の眼鏡】を掛けなおし左手奥の半径1m程の温泉を指して説明をした。その温泉は飲む事が出来て飲むと【体力回復】【体力+10%アップ 持続時間1日】の効果。右手手前の温泉も飲む事が出来て【魔力回復】【魔力+5%アップ 持続時間半日】の効果があった。
「「「……」」」
「うん、ここの4人以外には言わない様にしよう」「「「はい」」」
温泉の特別効果についてはとりあえず伏せておくことにしたが、此処までの疲労を回復する為に【体力回復】の温泉を組んで全員で飲んだ。効果は直ぐに現れポーションを飲んだ時の様に飲み込むと温泉が身体にしみ込み身体が軽くなった感じがした。
【魔力回復】は特に今日は【魔法】を使用していないので消費もしていない。その状態で【魔力回復】を飲むと自身魔力の上限を超えて回復するので魔力酔いを起こし倒れる可能性があるので飲むのは控えた。カインは両方の温泉のお湯を水筒にそれぞれ入れて【魔法の腕輪】に収納した。
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