アーサーの結婚式。10
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「う~ん、あれ?」
カインがいつも通りにベッドで目覚めるといつもと様子が異なっていた。毎朝夜明け前に目を覚ますので部屋の中が暗い、しかし今部屋の中がかなり明るくとても違和感を感じた。ゆっくりと体を起こすと窓から太陽の光が差し込んでいた。
「おはようございます、カイン様。お目覚めですか?」
「あ、ララ。おはよう、寝坊したみたいだね…」
ララは「はい、珍しいです」と答えながら着替えを取り出しカインが体を起こしているベッドに持ってきた。そして水をしっかり絞った濡れタオルをカインに渡す、カインは「ありがとう」と返事をしながら濡れタオルで顔を拭いた。
そしてララに手伝って貰いパジャマから洋服に着替える、今日はサンローゼ家に戻るので旅装だ。着替えが終わると歯磨きをしてソファーに座って用意されていた温かい香茶を飲み一息ついた。部屋の中を見渡すとララしかいなく、バルビッシュとガーディは何処だろうと考えていた。
「バルビッシュとガーディは先程ランドルフ様に呼ばれ出て行きました、申し訳ございませんが二人が戻るまで朝食をお召し上がりになりお待ち願います」
カインは「は~い」と返事をして自分の前に並べられた朝食を食べ始める。今朝のメニューは野菜のスープとスライスされたパンとチーズとベーコンだった。パンにベーコンとチーズを挟みもしゃもしゃと食べていると扉がノックされララが確認に行く。
訪問者と二言三言言葉を交わし、カインの元に戻ってくる。
「ベンジャミン様がいらっしゃっています、いかがしましょうか?お食事が終わってからご連絡にしますか?」
「えっ、今すぐ入って貰って」
一瞬食べていたパンを喉に詰まらせたが、直ぐに飲み込みララへ伝言をする。ララが静かに「はい」と返事をして戻って行く間に野菜のスープを二口程飲み、食道に留まっていたパンを胃に流し込んだ。そして扉の方を振り向くと少し不機嫌なベンジャミンが入室してくるところだった。
「べ、ベン兄さま。おはようございます、何かお飲みになりますか?」
「…朝食中だったか、すまなかった。話は食べ終わってからにしよう、ララすまないが私にもお茶か湯をもらえるか?」
ララは静かに「畏まりました」と返事をしてベンジャミン用に香茶を用意しベンジャミンの前に配膳した。ベンジャミンは小さな声で「ありがとう」とララに伝え香茶を一口、二口のみ人心地付く。その間にカインは一生懸命残りのパンと野菜スープを飲み込み朝食を終えた。
「…ごックン、ごちそうさまでした。
お待たせしました、ベン兄さま。あれ?いらっしゃるのは、昼食後のはずでは?」
「…そっ、ふう。それについては後でゆっくり話し合おう、それよりも先に感謝を伝えに来た。カインが推薦してくれたおかげでこの度ポートトレビスの代官に就任する事になった。ありがとう」
「い、いえ。僕の方こそベン兄さまへ事前に相談もせずに名前を出してしまった事をお詫びします。申し訳ございませんでした」
カインはソファーから立ち上がりベンジャミンの真正面に立ち頭を下げた。ベンジャミンはそれ以上何も言わず再度「ありがとう」と再度伝えた。そしてカインをソファーに座らせ話を続けた、カインの推薦によりトーラリオン王太子の魔法の教師につづきポートトレビスの代官と、トントン拍子に話が進んだとカインの知らない部分を補完するのだった。
「…でも、ベン兄さまは静かに魔法の研究などをされたかったのではなかったのでしょう?代官となると魔法の研究が出来なくなるのではないかと思って…」
「そんな事を心配しなくて良い、カインは私が好きな事が出来ない程の無能だと思っているのなら別だがぁ?」
カインはベンジャミンが無能など爪の垢ほども思っていないのでブンブンと頭を振って否定した。その様子をみてベンジャミンはカインの頭をなでて「だろう?」と優しく微笑みながら感謝を伝えるのだった。そしてカインは先程から気になっていたベンジャミンに付き従う様に入室して来たメイドを見て、再度ベンジャミンを見たのだった。
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