表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
78/105

犬飼颱の暴走Ⅲ

「どうした?もう終わりか、もうおわかりか」

 そんな言葉を受け。

 意識も切れ切れに、

 意識も途切れ途切れに。

『部僂是武舞』は逃げる。

 肘で、身体を無理矢理引きずるようにして。

「まあいいや。くれてやるよ」

 すっかりスリーパーホールドから解放されていた犬飼颱は、首をぐきぐきと鳴らしながら、冷静にそういった。もう食いしん坊に対しては興味が失せたとでもいうように。

「ぶはっ……。ぜはー、ぜはー」

 今まで潜水を続けていたかのように、酸素を渇望していたかのように。

 全力で息継ぎをする部僂是武舞。息継ぎというか、本当にただただ息をしているだけなのだけど。

 それが息継ぎに思えるくらいに、必死に呼吸を行っていた。

 た……助かった。

 そうこぼしてしまえるくらいには、回復していた。

「ふーん」

 そんな光景を目の当たりにして。

 萬捫は犬飼颱の能力を推察する。

 こんな状況下でも推理をする。

【地縛霊のやつはたしか『風使い』だったはずだ。風使い――そよ風であれ、なんであれ、とにかく空気を動かす能力】

【空気を動かすということは――気体を動かすということ】

【気体といえば――窒素、酸素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、クリプトン、水素、キセノン…………】

【たしかそんな感じだったはずだが、もしもこれらを操れるならば――否、操れるようになったならば】

【話はややこしくなってくる】

【わかりやすくいえば酸素。酸素を操れるなんて、結論からいってしまえば、まるで無敵じゃないのか?】

【鬼に金棒、虎に翼のたとえじゃないけど――】

【いくらなんでも、強すぎる!】

【強い弱いのレベルですらない】

【同じ霊体(バケモノ)であることを差し引いても、地縛霊のやつは本物の化物(バケモノ)だ!】

「おい、いい加減にしろよ?」

 もうこうなったら、ハッタリしかない。

 萬捫は博打にうって出た。

 すでに勝つことは不可能ではあるが、負けないだけなら、もしかしたら出来るかもしれない。

「あんまり調子に乗ってると、人間界から帰れなくなるぞ」

「……あぁ?」

 食いついた。

 とても不機嫌そうな顔で。

 犬飼颱は食いついたし、噛みついてきた。

「どういうことだ? とっとといってみろ!」

「とっととではなく、訥々(とつとつ)といってやる」

「滔々(とうとう)といえ!」

「――わかった」

 冗漫な話を中断し、相手の意見を承諾してから、嘘八百を頭の中で組み立てる。

 事実と虚偽を頭の中で、組み替える。

 そして淡々とよどみなく説明していく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ