今世は皇女のようです
うーん。
ここ、どこ?
何か天井高い。
確か、家の前で倒れて死んだはず...
「エヴァ様、気がつかれましたか?!」
何か部屋が騒がしい。
人がたくさんいる。
「ここはどこ?私は誰?」
私がそう言うと、侍女らしき女性が丁寧に答えてくれた。
「ローゼンブルグ帝国第二皇女、エーファンゲリン・フォン・ローゼンブルグ殿下、無事にお目覚めで何よりでございます」
どうやら、これが今世の私の名前らしい。
「あれほど強大な魔法で兄殿下をお助けするとは...
頼もしいですが、今回みたいに倒れられて2日も寝込まれたらエヴァ様のお体が心配です」
「え?私、そんなことしてたの?そんなに寝てた?」
「はい。倒れた木の下敷きになったナルツィス様の治療後に魔力切れを起こしていらっしゃいました」
「兄様はそんなにひどい怪我を?」
「はい。意識がなく、出血もされていました」
「このことは、兄様はご存知?」
「いいえ。意識が戻ったら、何事もなかったかのように皇宮に戻って行かれました。エヴァ様がお命じになったので、誰にも知らせてません。知っているのは私を含むエヴァ様付きの侍女3名と侍女長だけです」
良かった。
注目されて騒がれるのはできるだけ避けたいからね。
「まったく、両陛下もごきょうだい方も、いくら公務が立て込んでるからって、エヴァ様にまったく関心ないんだから。いくら優秀で幼い時から公務を担ってるからって、これはあんまりだわ」
「ほんとに。これじゃあ家族とは言えないわね」
「しっ。聞かれたらまずいわ」
どうやら私は、身分の高いバラバラな家族のもとに生まれたみたい。
とりあえず状況整理っと。
今の私は、エーファンゲリン・フォン・ローゼンブルグ、帝国第二皇女で、5人きょうだいのいちばん下だ。
父は皇帝キリアン、母は皇后セリーヌ。第一皇子で皇太子のベスティアン兄様、第二皇子ナルツィス兄様、第一皇女アゼリア姉様、第三皇子マッティオ兄様の7人家族なんだけど、暮らす場所は別々だし、団欒の場所なんかない。「皇族たる者、いかなる時でも公務優先」の方針が徹底されてて、寛げるのは自分の部屋だけ。
それから、この国は前世並みに技術は発展してるけど、魔法もある。中でも皇族は魔力がそこそこ高いらしい。災害の復旧とかは技術者にやってもらえるけど魔法の方が早くて、緊急の場合は皇族の魔法頼みだとか。魔力も体力もかなり使うから、1回やったら魔力切れ寸前なんてよくあるみたい。
ナルツィス兄様も、北方の崖崩れで被災した地域の復旧に当たった帰りの事故で、木を避けるだけの体力すらも残ってなかったんだって。
ここまで削られるのって、激ヤバじゃない?
前世の私の職場が更にブラックになった感じ。
これは何とかしないとね。




