3人の皇子たちと、父としての皇帝
皇子たちの視点が入り混じります。
マッティオ視点が少し多めです。
「マッティオ様、本日14時ごろに皇帝陛下がお越しくださることになりました」
「昨日の今日?!随分早いな」
「できるだけ早くお話しておきたいという、陛下のご希望です」
「わかった。
その時間までに準備をしてくれ」
「かしこまりました」
後でエーファンゲリンの見舞いに行こうと思ったけど、その前に回復の報せが来たから一旦はストップ。
押しかけることで彼女の負担になっては本末転倒、我慢だ。
昨日陛下にも言われた通り、部屋で大人しく待つことにする。
そうしている内に時間が来て、陛下がいらっしゃった。
「お越しいただきありがとうございます。
御前会議はもうよろしいのですか?」
「ああ。昼で終わっているから問題ない。
ところで、一緒に話を聴いてほしい人を呼んでいるのだが、
入ってもらっても良いか?」
「もちろんです」
俺がそう答えて、陛下の合図で入ってきたのは…。
「皇太子殿下!ナルツィス殿下!」
「驚かせてすまない。
私もナルツィスも陛下に呼ばれて来たんだ」
「2人も座ってくれ。
そなたたちには、幼いうちから大変な公務に当たらせて、相当な苦労をかけたな。
まずはベスティアン、そなたには幼いうちから皇太子としての立場を過剰に背負わせ過ぎてしまった」
「何を仰います。
国民のために働けるのは嬉しいことです」
「ナルツィスには、災害復旧で相当の魔力と体力を使わせてしまったな」
「滅相もございません。
どれだけ体力をつけるべきか考えることができました」
「それにマッティオ、そなたにも魔力消費の大きい公務を背負わせてしまった」
「とんでもありません。
国民の喜ぶ顔を見ることができて、それが励みになりました」
「3人ともありがとう。それと、もう1つ謝らなくてはならない。
今まで、皇族としての立場ばかり優先して、家族としての時間を持とうとしてこなかった。そのせいでそなたたちに寂しい思いをさせてしまって、本当に申し訳ない。
こんな私を赦してくれるか?
できるなら、私的な場では『父』と呼んでほしい。
そなたたちは、私とセリーヌの大事な『息子』だ」
「「「!!!」」」
俺たちは今まで、ずっと寂しかったんだ。
国民のために働くべき立場の私たちが、「寂しい」なんて言えなかった。
私たちが心の通った家族になれるなんて、「嬉しい」以外にない。
「私たちはずっと、そう呼べる日を待っていたんです」
「ようやく来たんですね」
「これからよろしくお願いします」
「「「父上」」」
気づいたら、俺たち4人は泣いていた。
「ところでそなたたちは最近、エーファンゲリンを見て何か感じたことはないか?」
「はい。
交流があまりなかったはずなのに、昨日部屋に運ばれていく時の顔を見たら、懐かしさを感じました」
「私もです。
以前からよく知っているような感じです」
「ナルツィスはどうだ?」
「懐かしいのかどうかはわかりかねますが、交流がほとんどなかったはずなのに、よく話をしていたような気はします。
実は先日、木の下敷きになって怪我をしたんですが、その時誰かが助けてくれました。
ただ、専属執事のフェリックスに聞いても、他の執事や侍女たちに聞いてもわからず、怪我のこと自体を知らなかったようです。
しかし昨日少しだけ顔が見えた時に、怪我をした時のことが頭に浮かびました」
「なるほどな」
「父上、何かお考えですか?」
「ああ。ちょっとな。
それから今日、18時半ごろまでに3人ともセリーヌの部屋に来てくれ。
アゼリアにも来るように伝えてある。
エーファンゲリンが来ることになっているから、皆で迎えたいのだ。」
「はい。お伺いします」
父上は、母上の部屋で何をしようとしているんだ?
ともかく、家族が集まれる場ができるんだ。
18時半が来るのが待ち遠しい。
お読みいただきありがとうございます。
皇帝には、サプライズ計画があるようです。




