皇太子の責務と本心
皇太子視点です。
私はベスティアン・フォン・ローゼンブルク、この国の第1皇子で皇太子だ。
8歳から公務に行っていて、1年半ほど前からは両陛下と共に政治にも関わり始めている。
高等学院の勉強と並行しての公務は非常に忙しいが、次期皇帝としてはもちろん皇族としても必要なこと。
国民の生活を守っていくためには、我々皇族が国民以上に労働しなくてはならない。
今日は北方の災害対策についての御前会議だ。
先週ナルツィスが復旧させた北方の災害対策が議題。
彼の報告によれば、地盤があまり強くないから何らかの工事が早めに必要のようだ。
隣国から専門家を招いて対策を実行したこともあったが、それも虚しく災害が何度も起きてしまっている。
専門書も見つからないから、魔法に頼っているのが現状だ。
いったいどうしたら良いのか…。
「本日の会議はこれにて閉会といたします。
この議題は明日も話し合いを行います」
議長の宣言で、今日の会議が終わった。
いつになったら良い案が出るのやら。
明日は高等学院での勉強があるため、私は出席できない。
今日の議題は頭を悩ませるものだったが、そのせいで学業に支障をきたすわけにはいかない。
気持ちを切り替えなくては。
そんな時、皇帝陛下が退室の準備をしているのが見えた。
動きがいつもより格段に速い。
ふと気になって声をかけてみる。
「お戻りになろうとするところ申し訳ありません。
何かお急ぎの御用ですか?」
「そうだ。この後5時から、第2皇女エーファンゲリンの魔力測定に立ち会うことになっている」
「左様でしたか」
魔力測定。
エーファンゲリンは来月7歳だから、もうその時期か。
私たちもそのくらいの時期に測定に臨んでいる。
皆身長の3倍くらいに風船が膨らんでいるし、多分エーファンゲリンもそのくらいだろう。
「結果を見て徐々に公務に当たらせていく予定だ。
そなたもそのつもりでいるように」
「かしこまりました」
公務の担い手が増えるのは喜ばしいことだ。
幼い故に心配だが、他の皇子や皇女も幼い時から携わっているし、問題はないだろう。
「夕食までの間、1人でいたい。
マックスも下がっていてくれ」
「かしこまりました。
お茶を入れてありますので、よろしければ召し上がってください」
「ありがとう」
専属執事のマックスを下がらせて、完全に1人になる。
自室の扉が閉まると、どうしようもなく寂しい気持ちになった。
1人の時は、よくこうなる。
こんな姿は他の人にはとても見せられたものじゃない。
早く切り替えなくては。
さて、どうしようか…。
そうだ、明日の授業の予習をしておこう。
政治学と経済学のテストも近いことだ。
今年度で高等学院は卒業だし、今頑張っておかないと。
それに勉強しているときは気が紛れるし、途中で誰かに見られても大丈夫だ。
まずは経済学の本を開いて…。
あれ?
外が少し騒がしい。
いったい何が?
扉を開けると、医務官たちが走っていくのが見えた。
「どうした?何があった?」
近くに控えていたマックスに聞いてみる。
「城内で怪我人が出たようです。
どなたなのかは現在確認中です」
それは心配だな。
とても勉強どころではない。
それにしても、あの方向はまさか…
測定室?!
そういえば、今エーファンゲリンの魔力測定の最中だったな。
皇帝陛下も立ち会われている。
まさか、陛下が?!
少しして、執事頭がやってきた。
「ご報告申し上げます」
「どうした?何が起きた?」
「エーファンゲリン殿下が倒れられました。
風船は身長の3倍を軽く超える大きさにまで膨張し、玉座の手前まで来たところで破裂しました。
皇帝陛下のお話では、その瞬間に姫様が無意識に防御魔法を発動され、お1人だけ強い魔力衝撃を受けられたそうです」
そういうことだったのか。
幼いながらも、皇族としての心構えができているようだ。
担架が部屋の前を通り過ぎて行った。
乗せられていたのは、聞いた通りエーファンゲリン。
意識がないようだ。
ん?
何だ、この懐かしい感じは。
他の皇子や皇女と同様、交流はしてなかったはずなのに…。
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次回、皇后視点です。




