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2章・夢想症候群

夢の中で父親にであった。

顔も見たことないのにな。


というのも僕は物心ついた時にはすでにこのマンションにいて、その時から既に美空おばさんに世話になっていた。


まあ幼稚園の年長まで美空おばさんはお母さんだと思ってたし、そう呼んでいた。遊のことも兄妹だと思っていた。



僕の実の父親は『賭博暴王』の異名を持つギャンブラーで、実の母親も『勝利の女神』の異名をもつギャンブラーだそうた。


実際、どれだけ儲かってるのかも知らない。


今は…というよりずっと彼らはアメリカのラスベガスで、日本に帰って来たことは、僕が生まれて以来一回もない。






何故、美空さんが育て親になってくれたのか。

その疑問は小学生高学年になってから教えてもらった。


おばさんは僕の父と母の知り合いで、そのため子育てを押し付けられてしまったらしい。


ただでさえ、同い年の娘を育てなきゃならないのに。


しかし、おばさんには前の旦那から貰った結構な金があるから引き受けたのだろう。

生まれてすぐに僕を引き取ったそうだ。

ちなみに、その時にはもう遊は生まれていた。




そしておばさんは元旦那の金でマンションを買い取って、管理人として収入を得ていたのだ。





そしてある日、僕が年長の冬に


「おばさん。僕、妹と弟がほしいよぉ」


そうな風にいっておばさんを困らせていたら


その年の12月の24日に

双子の赤ん坊と、その名前が記されたストラップがプレゼントされたのだ。



勿論、送り主は

僕の実の両親だが。




僕は太郎なのに


妹弟は友愛ゆあだの友覇ゆうはだのと、手がかなりこんでいた。


これには流石に僕も悪意をかんじた。



それからというもの、毎月二人宛てにプレゼントが贈られてくるようになった。


今、妹や弟たちの部屋にある

合計16台のパソコンと合計2台 のテレビも全て、両親からのプレゼントだ。




言っておくが、僕はプレゼントをもらったことは無い。

クリスマスだろうが誕生日も等しくプレゼントなど貰ったこと無かった。




妹も弟も、小学校2年までは普通に学校に通っていたのだが、3年の春から引きこもりになってしまったのだ。





夢の中で父親らしき人は僕にこう言った。



「兄ちゃんっていってもまだお前は子供だ。妹と弟を守れっても荷が重いだろう。守れとは言わん。だから側にいて、あいつらの一番の理解者になってやってくれ」





朝起きると

時間は8時40分。


「ん?…げっ!!!遅刻ッ……!」


と飛び上がるが、普通に間に合わない。

そう思い

余裕をもちながら用意をした。



いざ、行こうとドアを開けると



ゴンッ



「いったぁぁぁあ!!!」



瀧澤のアホがいた。







瀧澤の話によると昨日の猟奇殺人事件で犯人はまだここらへんにいるかもってことで、今日は休校になった という訳だ。


心の中で『瀧澤のアホがいた』


とか言っていた僕は、休校だってこともしらず遅刻するって焦って、揚句の果てには内心ヤバイヤバイとかいいながら余裕を装い支度をしていた自分に羞恥する。



とりあえず、そこら辺の茶菓子を出した。


「お〜さぶい、さぶい。」


ウィンドブレーカの下にサッカー部のユニフォームを着ているとこを見ると


コイツも休校だとしらなかったらしい。


学校に行って気づいたのだろう。


仲間がいて、ちょっとホッとしながら、布団を片付けていると



「なんで起こしてくれないのよぉ!!!太郎のバカバカばかぁー!」


という叫びが隣の部屋から聞こえる。


半分泣きべそをかいている


ドタドタと部屋を行ったり着たりしている。 用意しているのだろう。



「あ!お仲間三人目はっけ〜んww」

とコタツと一体化しながら瀧澤はお菓子を貪っている。



僕が玄関から顔を出して、遊の部屋のドアから遊が出てくるのを待ち伏せした。



しばらくドタドタと音がしたあと

ドアが開いた。


「おはよーさん」

ニヤニヤと遊のマヌケ面を眺める


「……っうわあっ!??え!?なんで!?太郎!?」


パジャマに冬服の制服を上に着ていたが、胸の辺りは開けていて、口にはパンをくわえていたのだが落としてしまった。



「随分とオシャレだね〜」



「ふぇっ!?」


良く目を凝らしてみると、自分が物凄い格好をしてることに気づいて絶叫した。










「お邪魔しま〜す」

ちゃんと着替えた遊は、せっかくなので遊びにきた。



「チーッス!朝っぱらからいいコメディーだったな!」

我が物顔で、コタツに居座る瀧澤はケラケラ笑っている。


「な…ッ!?」

(瀧澤がいたの……?…はぁ久しぶりに太郎が呼んでくれたと思ったのに…)


ちょっと残念そうな顔した遊を、ニヤニヤ見つめる瀧澤。


「三人とも、臨時休校の知らせメールに気付かないなんて、逆にすげーよな」

僕は追加分の湯のみを用意しながら行った。


「違うのよ!私は一回気づいて二度寝して、忘れてただけっ!!」


必死に弁解する遊。


「結局、覚えてないんじゃおんなじですー」

と湯のみもセットし終わったので、コタツに足を入れる


「むっ……ぅ…、、、」


遊は渋々コタツに座ってお茶を啜る。



「にしても、あの慌てっぷり凄かったなあ」


笑う瀧澤の前で遊は羞恥でどんどん赤くなってゆく。


「その慌てっぷりじゃ…パンツとかも履きわすれてんじゃねーか?あははは」


ちょっとふざけて言ってみたのだが。


「はっ…はいてるわよ!!!ヘンタイッ!大体、さっき着替えて来たんだから、もうテンパっ……て………あれっ??…うっ…うそ…!?」

立ち上がって遊は固まった。



「えっ…まじ?」

ふざけ半分で聞いたのに、有り得ない反応がきたから、思わず聞き返してしまった。


スカートを押さえながら ぷるぷる 震えている。


「うわあああん!!何も言うなあああああ!!」






その悲鳴が引き金になったかのように

友覇の部屋のドアが開いた。


「今朝は、随分賑やかだね。」


珍しいものを見るように

瀧澤と遊はキョトンと、友覇を見つめた。


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