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2章・切り裂き症候群‐後編

一瞬の出来事だった。

真上からハンマーをもった大男が目の前に降りたった。


木製の柄に金属の槌のハンマーだ。

当たり所がわるければ…あれでも死んでしまうだろう。


階段の踊場はそれほど広くないため、アレと僕との距離は1Mとない。


ケラケラと子供のように笑い始めた。


アレの声、息遣い、動きすべてが恐ろしい。



恐怖で硬直するしかない僕に、


「さようなら」


といいながらハンマーを振り下ろす



僕の足は、縫い付けられたように動かない。


悲鳴をだそうとしても上手く空気が吸えない。

もうだめだ…


そう思った僕には

目をつぶることしか出来ない





ドッ






肉を撲る音が確かに聞こえた…


しかし

痛みはない。





何故ならその一撃は、僕の後ろにいたはずの瀧澤の首筋に当たっていた。








「うッ…がアアアアア!!!」


ケモノのような瀧澤の叫びに

ケラケラというアレの笑い声は押し潰された。


瀧澤はそのままアレの腕を持ち背負い投げた。


突然の動きにアレは反応出来ていないようだった


そのまま、瀧澤の“技”は決まった。



僕らが降りた階段に全身を叩き付けられたアレは


少し痙攣して動かくなった。


「ハァ……ハァ………な………なにこれ……やったの?」


荒い息を元戻し瀧澤はキョドっていた。



僕はといえば…

しばらくなにが起きたか理解できなかった。



「ははっ…!…スゲ……瀧澤凄いよ!」


父親が柔道の師範だった瀧澤は、柔道の有段者だった。


「えっと……あれ……これからどうすりゃいいんだ?」


余りにも大きなことをやった反動で瀧澤は何時にもまして馬鹿になっていた。


「…太郎っ、太陽!110番110番だよ…!」


遊はしばらく緊張が続いていたせいで、頭が冴ていた



「そうだな、110番だ。……僕、110番なんて初めて使うんだけど」


そういいながら僕はケータイを取り出した。



「ま…まだ、俺心臓がバクバク…いってるわ。いってぇー」


瀧澤はこちらを向いて尻餅を着きながら

ハンマーで撲られた当たりを摩っている


僕は

ディスプレイに現れた1 1 0 の番号を新鮮な気持ちで見ていた。



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