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2章・切り裂き症候群‐前編

午後9時になると、ゲームばかりしていたせいか、目が疲れてそろそろ、布団を敷いて修学旅行気分を味わおうということになった。


「なあ遊。寝るときは自分の部屋なんだろ?」


こちとら健全な男子高校生2名様だ。

いくら幼なじみでも、異性と一瞬に同じ部屋で布団を敷いて寝るのは抵抗がある。

いやまず遊のほうだって抵抗を感じてるはずだ。


「でもさそれじゃ泊まりじゃなくね?いつもと同じなんじゃねーの?」


頼むから何も考えて無いなら喋るな。

コイツは遊と俺達が一緒の部屋で寝るということの意味を正しく理解していないんだ。


「そうよそうよ!それに私一人で寝るなんて怖いもん。」


「だ…だけど……」


それはまずい。お前が肯定してしまったら……

相手僕たちならそれはまだいいが、そんなこと絶対他の男の前でいうなよな。

つーかコイツの貞操観念が心配だ…。


「なに…うろたえてるのよ。まさかえっちなこと考えてるんじゃないでしょうね……?」


「考えてないっ!考えてないよそんなこと!」


「なら!大丈夫よね?」


怖いのはわかるが、そこはお前の母さん、美空おばさんの部屋に泊まるとかイロイロあるだろ!


と言おうか迷ったが……

まあ本人が良いならまあ……いいかな。

と納得してしまった。

断じて、いやらしい感情なんか芽生えてませんよ!?


「…わかったよ…。じゃあ布団敷くか」


僕らは各々の荷物を隅に寄せた。


「私、抱き枕が無いと眠れないから持って来るね」


軽快な足運びで、遊は自室に抱き枕を取りに行った。


コイツ本当に一人で眠るのが怖いのか?

真っ暗な自室へスキップで向かったが……。


遊が部屋を出るとすぐに、バッグの上においた遊のケータイが大音量でメールの着信を知らせた。


それを聞きかねるという感じで瀧澤はケータイを開いた。



「おいっ馬鹿!デリカシーって言葉しってっか?しってるなら……」


瀧澤は真面目な顔をしてボタンを押してメールを開いた。



「おい!聞いてんのか!!」

個人情報保護法の関係から語勢を強めて言った。

遊は枕を取りに隣の自室に行っただけですぐに帰ってくるんだから…。

もし、こんな光景を遊が見たら怒るに決まってる。遊だけじゃないだろうが。



「たっ……太郎ッ…!!!!」


瀧澤の表情は尋常じゃなく、小さな潜むような声で言った。、声色も異常事態を知らせていた。


震える手でケータイの画面を見せる…



《こんばんわ》



登録されていないメールアドレスからだった。



呼吸が苦しい。心臓が大きく胸をつう



「なッあ……嘘だろ…?」



自分とは関係ない事件が、僕らが巻き込まれていることが……信じられない。










「きゃあああああああああああああッ!!!」

隣の部屋から聞こえた…その悲鳴は遊の物だ。



「遊ゥゥ!!!」

僕は叫びながら、瀧澤とともに遊の部屋に向かう



なんでだ!なんでだ!なんでだ!

なんで遊がッ!


災厄は無差別だとは知りながら、けれどだからって納得できなかった。


玄関を乱暴に入り、そのまま廊下を突っ切りリビングへ向かう。



そこにはベランダを指差し尻餅をつく遊がいた。



「いやああッ!太郎!!あれっ!」


指が指し示す方を見る。



そこには

朝、友覇のパソコンの画面にいた。


黒いコートの大男。


スケキヨのような真っ白、のっぺらした仮面のせいで、冷たい無機物のような感じがした。


殺意は感じない。

感じるのは狂気。



「切り裂き…ジャック……!」

僕は咄嗟にそう呟いた。

どんな感情表現も、悲鳴も必要なかった。



そう呼ばれたのが嬉しいかったかのようにケラケラと子供のような声で笑う。

そして懐からハンマーを取り出す。



「遊!!離れろ!」

突破されると思った。

防犯用強化ガラスなのだが

大体、当たり前のように8階のベランダにあわられたアレを

普通の防犯用強化ガラスで止められるとは思えなかった。



まともじゃないっ!


それがアレに抱いた第一の感情だった。


「腰が抜けて……動けないよぉ!!」



アレはハンマーを振り下ろす。


ビギィィィン



が、予想に反して強化ガラスは突破されない。

だが蜘蛛の巣の用にひび割れが入る。


2激目の為にアレが振りかぶろうとした瞬間


「うおおお!!」


身を低くし遊の元へ最速で向かう。



ビギィィィン


また予想より遥かに強かった強化ガラスは、けれど先程より確実に突破に近づいている。

3激目が振り下ろされる前に、僕は遊をおぶり部屋からでた。


「…これから、ど…どうしたら…」


瀧澤は怯えきっていた。今後どうせすればいいかさえ、自分で出来なくなっていた。



ビギィィィィン




ハンマーでガラスを叩く音が聞こえる。




「どこへにげるんだよ太郎!ここなら安心っつてたじゃねぇか!!」



「しょうがないだろ!そんなこと言ったって!!!」


何したらいいか、何処に逃げればいいか…そんなことは解らずにただ自分の部屋に向かって走った。


「おいっ……何処へ行くんだ!太郎!!」


瀧澤の声は今までに聞いたことのないくらい焦っていた。



背中にはガクガクと震える遊がいた。


恐怖の余り声が出ないのだろうか。



自分の部屋に駆け込んだ僕は妹と弟に部屋に鍵を閉めるように言った。


「なんだよ?鍵なんていつもかけてるよ」


生意気な弟の声も



「はぁ〜い。わかったぁ」

妹のおだかやか声も


今は愛しい。



「何やってんだ!狙われてんのは俺らなんだぞ」


怒鳴る瀧澤を無視して

玄関のドアの鍵を閉めた。


「わかってる…」


そう呟いた。



パリィィィン

ガシャィィィン



ガラスの割れる音とガラスの破片が床に飛び散る音が響いた。


「……入ってきたのか……!?」


信じられないような顔して瀧澤は言った。

それでも突破されると思っていた僕は、強化ガラスが予想以上によく堪えてくれた、と思った。



おばさんは明日の1時まで仕事で帰ってこない。


友覇も友愛も狙われてるわけじゃないし、部屋も玄関の鍵も閉めた中にいる。



これでこの階で僕ら以外がアレに襲われてしまうようなことは起きない。



何より…狙われてるのは僕らだ。



下手にエレベーターを使わず階段で下に降りてた。



「外に出るのかよ!!?ここで……管理室!!管理室とかで鍵を閉めて隠れてようぜ!!あそこなら突破されないだろ!!」



そうは思えない。

アレはどんな所に篭ってようと…時間をかけて突破されるだろう…

それに…


「もしも突破されたらッ終わりだ!アレはまともじゃない!!!」




「ひっ……!た…っ太郎っ!!上っ!」


その声聞いて

階段の踊場で足を止めた…


上の階から僕らに飛び掛かる


「うわあああああああああっ」



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